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フォセストリア戦記  作者: 影光
三章 激動のフォセストリア
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内情

 オルランが喚問されている頃、ワグス港に外務省の職員が上陸する。

「ここが、魔法のある大陸ですか」

 外交官の代表であるクロウ。

 今まで訪れたどの土地でも感じたことのない不思議な空気の感触に、わずかな気味の悪さを感じながらも、総督府へと向かう。

「お初にお目に掛かります、本戦役での外交交渉を担当するクロウ・エンデバーズです」 

「総督のベルガー・ラッセルだ。

 短い付き合いになると思うが、よろしく頼む」

 互いに挨拶を済ませる二人。

 すると、そこにエル・ゼナが入室する。

「挨拶も済んだようだな。早速だが、今後の計画について話したい」

「承知いたしました」

 会議室に移動し、今後の計画について話し合う。

「現在、終戦へ向けた動きとしてレイリア領の完全返還及びレイリア王国民すべての解放を最低条件とした交渉分を用意しております」

 簡潔にまとめた外交文章を見せるクロウ。

「賠償については、終戦後に協議してその額と範囲を決めていく予定です」

「…妾としては異存はない。

 ベルガーどう思う?」

「ガンダル王国相手『だけ』なら十分通せるかと」

「ヴァルディアか」

「あの国の連中は国家のメンツをとにかく大事にしたがる。

 なんせ世界最強でもっとも偉大な国家だと思っているからな。

 艦隊に手を出さなければ交渉の余地はあったんだがなぁ…」

「対空砲火を放置するという選択は無い、あの状況では妾でも撃沈を命令していた」

「そうだよな…とにかく、ガンダルとの早期講和を目指すのなら、ヴァルディアが本格的に動き出す前に、決着をつけたほうがいい」

「了解した。クロウ殿、こちらに来て早々すまないが、王都に向かってくれ」

「承知いたしました」

 総督府を出て軍用車に乗るクロウ。

 空を見上げれば、暗雲が広がっている。

=====

 首都ベルファスク、大統領府。

 宮殿のような建物の前に、一台の車が止まる。

 密輸組織のボスのギオ・ナーランレスと、その側近である白い竜人のケスタ。

 表向きは大統領の政治活動を支える大口のスポンサーとして、正面ゲートから堂々と入場する。

「ボディチェック失礼します」

 黒スーツとサングラスの護衛官による身体検査を終え、ペルーダのいる西棟へ進む。

「こちらでお待ちください」 

 応接室に通されると、五分ほどしてペルーダが書類を抱えてやってくる。

 ケスタの妹。

 手入れしたばかりの絹のような毛並みの尻尾を揺らし、白いネクタイを照明に輝かせる。

「非常時で忙しいため、失礼ですが食事をとりながら進めさせていただきます」

 大統領の側近に似つかわしくない簡素な食事。

 片手で持てる携行食を食べ進めながら、会談をはじめる。

「まずは、フォセストリアの様子を聞かせてくれ」

「現在、戦況自体は優勢に進んでいます。

 現地の協力者を確保し、現在は首都攻撃ないし終戦交渉の準備を進めております」

「なら、この状況もすぐに終息するのか?」

「それは、わかりません」

 ケスタの問いに、表情を曇らせるペルーダ。

「介入当初、海軍航空隊は奇襲を行い、敵艦隊を壊滅させましたが、その中に相手国との友好国の艦隊が含まれていました。

 もし、相手国がこちらに宣戦を布告すれば、それこそ国家…いえ、大陸規模の総力戦になるでしょう」

「・・・・・」

 静まり返る応接室。

 ペルーダがクッキーをかじるポリポリという音だけが静かに響く。

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