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フォセストリア戦記  作者: 影光
三章 激動のフォセストリア
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王都への道

 翌日の朝、ワグス湾より十キロ先の街道を陸軍特殊部隊の機械化歩兵隊が進む。

 王都ゲンゲルへと続く交易路をゆっくりと進む三台の装甲車と四台の装甲兵員輸送車。

 先頭車両にはセントリオ商会の旗が掲げられており、兵員輸送車には商会長であるオルランが搭乗している。

「なかなかの乗り心地ですね。

 しかし、やはり商品を運ぶのであれば飛空艇の方が…」

 商人の視点で輸送車を評価している一方、ハッチからはシュヴァルツが身を乗り出し、遠くの交易路に敵の輸送隊やモンスターがいないか確認する。

 当初はゲリラ戦で輸送隊や兵站拠点を破壊するつもりであった中隊。

 しかし王国一の豪商であるオルランと契約を結べた現在、彼の影響力を利用して都市を懐柔しつつ、王国ののど元に刃先を突き付ける作戦に転換する。

 道行く人が異形の兵器に怯えて逃げだす中、通報を受けたのか都市専属の防衛隊二百名が駆け足でやってくる。

「とまれ!」

 道を塞ぐように展開する兵達に、シュヴァルツは行軍の停止を指示。

 兵たちが装甲車に槍を構えて威嚇する中、シュヴァルツは無線機を通じて要請する。

「オルラン氏、お願いいたします」

 すると、輸送車からオルランが降りて門番と対峙する。

「オルラン商会長!

 構えを解け!」

 兵長の指示に全員が構えを解く。

「商会長、これは一体どういうことで?」

「これは兵士長、わざわざ出迎えご苦労さまです。

 実のところ、当商会は彼らと新たな契約を締結することとなりました。

 つきましては、エヴァルカの都市にもご協力いただきたく存じます」

「…承知いたしました、総督にお伝えいたしますので、付いてきてください」

 都市の経済に大きな影響力を持つセントリオ商会。

 そのトップであるオルランをないがしろにする訳にはいかず、陸軍中隊を取り囲んで警護する形でエヴァルカの都市に案内する。

 重厚な鉄門。

 魔鉱石を混ぜて作られた門は魔法攻撃をたやすくはじき返す。

「シュヴァルツ様、まずは私が総督と話をつけてまいります。

 正式な入場許可を得られれば、都市内での行動も問題なく行えます」

「承知した」

 開門した扉を都市兵に守られながら、入場するオルラン。

 三時間ほどして、オルランは正式な入場許可証を手に戻ってくる。

「申し訳ございませんが、許可が下りたのはあなた様の分だけでした」

 シュヴァルツに手渡される二枚の許可証。

 一枚目はエヴァルカ、二枚目は総督府への入場許可証。

 どちらも総督に印がはっきりと着けられている。

「さすがだな…」

「金は都市よりも重いですからな。

 どんな都市も、金がなければ動きませんからな」

「恐ろしい方だ」

 ほっほっほと笑うオルラン。

 しかしその眼はどんな人間よりも野心に満ち溢れている。

 許可証を門番に見せ、通された総督室。

 オルランが事前に話を付けてくれたおかげでスムーズの会議は進み、二枚の契約書がシュヴァルツとエヴァルカ総督の前に差し出される。

「では、契約成立ということでよろしいですね?」

 魔石ランタンの炎が揺らめく総督室。

 オルラン立会いの下、マルタ総督がシュヴァルツと契約書に署名する。

 ランデル国とエヴァルカで交わされた密約。

 内容としては「三カ月の間、一部例外を除いてランデル国軍に対して何もしない」というたった一つの約束。

 危害を加えることはもちろん、反対に物資などの支援も行わず、ランデル国側のいかなる要望に対してエヴァルカの行政は一切介入しない。

 「完全無視」それが王都の近くに位置する都市、エヴァルカが出せる最大限の譲歩である。

「・・・・・」

 エヴァルカの一画。

 廃墟の区域に駐屯している中隊。

 都市の人から警戒されながら、シュヴァルツたちは次への準備を進める。

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