失脚
一月二日深夜。
カレッサ一家と自身の家族を二台の馬車に乗せたギザミは、国外への逃亡を開始する。
目的地はレイリア領を南に抜けた先の小国、アルバライド。
レイリアのかつての同盟国であり、ガンダル王国と不戦の密約を交わしていた。
戦勝と新年の祝いに浮かれる王都。
警備兵すら公然と飲酒するほどに気が緩み、いい加減な検査も相まって特に怪しまれることもなく関所を通過できた。
「.....」
勲章や鎧を捨て、商人になりすましたギザミ。
荷車の一家たちも商人風に偽装を施している。
「よし、追手はいないな」
後ろを確認して安堵するギザミ。
車輪が回るごとに王都が遠ざかっていく。
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翌朝 カレッサは自室で起床する。
豪邸には最低限の使用人しかおらず、家族はだれもいない。
朝の支度を終え、出勤しようと外へ出たとき、衛兵隊長が部下を引き連れて迫ってくる。
「…カレッサ・アルトレウス南方面軍総司令官。
用件はわかっていますね?」
「…」
神妙な面持ちで、カレッサはすべての勲章を衛兵隊長に渡して両手を差し出す。
静かに掛けられる、冷たい手錠。
そのまま王の待つ謁見の間へと連行される。
「陛下、カレッサ将軍を連れてまいりました」
「ご苦労」
冷たく響く、アレクサンドル国王の声。
衛兵隊長が十歩後ろに下がると、アレクサンドルの目がカレッサを見下ろす。
「夜、報せが来た。
パーラ湾とワグス港が攻撃を受け、壊滅したとの急報がな」
「……」
張り詰めた空気。
「招いたヴァルディアの艦艇も攻撃によってすべてが沈んだ。
外交関係には大きな亀裂が入るであろう」
「申し開きのしようも、ございません」
王の言葉に、ただただ詫びるカレッサ。
「明日、この事実を公表する。
国民はもとより、ヴァルディアの使節からも責任の追及が行われるであろう。
これよりそなたの処遇を決める会議を行う。
厳罰は免れることはかなわぬゆえ、覚悟を決めるように。
連れて行け」
「は!」
衛兵隊長に連行され、地下牢へと閉じ込められる。




