帝国の使者
「ゲーベン提督とザラード将軍をですか?」
翌、十二月二十三日。
ヴァルディア帝国の使者であるエリザベートの発言に、ガンダル王国の外交官であるマールは驚く。
新しいものに目がない男であり、ヴァルディア帝国から送られたシルクハットとジャケットを身につけている。
「この度の戦勝パレード、ぜひとも当国の将軍たちを出席させていただきたい。
もちろん、パレードの資金も提供いたします」
「それは願ってもいない申し出でです。
して、どのような手段で来られますか?」
「二十九日に新型の魔導戦艦で来訪しようかと」
「となれば、パーラ湾に停泊させるのが最適ですね。
国賓として、お迎えいたします」
筆を執り、当日の予定を書き記すマール。
パレードの準備を進める儀典長に部下を通して予定を伝えると、エリザベートと一緒に王都の散策へ向かう。
戦勝に盛り上がる王都ゲンゲル。
各建物には戦場を祝う国旗が掲げられ、国民たちは朝から酒を飲んで盛り上がる。
「とても賑やかな街ですね。
協力したかいがありました」
馬車に乗り、王都のメインストーリーを進むマールとエリザベート。
十分程して英雄広場に降り立つ。
その名の通り、王国の英雄たちの顕彰するための広場であり、王城を背景に複数の英雄像が建っている。
「それでは一枚、失礼します」
エリザベートが王城を背景に英雄像を撮影する。
「その機械は?」
「写真機です。
こうやって景色を記録できるのですよ」
現像したフルカラーの写真をマールに見せるエリザベート。
「これは素晴らしい」
「しばらくしたら、あなたもこれを持てるようになりますよ」
「それはそれは、楽しみにしております」
十二月二十四日。
王城を後にしたエリザベートは、マールを伴って飛空艇に乗ってパーラ湾へと向かう。
今後の大陸間貿易において最重要になる水域。
その現状を直々に視察する。
「これはこれは、ようこそいらっしゃいました」
出迎えるのは王国一の規模を誇るセントリオ商会商会長オルラン。
後ろにはゴルドバーグとブラウを連れている。
「お近付きの印にこちらをどうぞ」
オルランから二人に手渡される小箱。
開ければとても美しい大粒のダイヤモンドを散りばめたアクセサリーが入っている。
「これは大層なものを」
アクセサリーを太陽に照らし、キラキラと輝かせる。
アクセサリーをしまい、パーラ湾の商業港であるダーバスへと向かう。
セントリア商会主導の下で行われる港の改装作業。
雇われた大勢の作業員が必死に働いている。
「改装は順調な様ですね」
ヴァルディア帝国の持つ巨大な交易船。
それを停泊、運用するための巨大な港湾設備を用意している。
「それにしても、思い切った投資をされますな。
特にこのヴァルディア製の巨大クレーン。
輸送だけでも相当掛かったはずでしょう」
「ええ、飛空艇を三隻は買える程に。
しかし、将来の利益を考えれば破格でございます」
「さすがは王国、いや大陸一の豪商。
素晴らしい考えにございます」
オルランにへつらうエリザベート。
豪商に気に入られればいざという時の費用調達も楽になるため、ひたすらおだてる。




