戦勝
「以上が、今回のご報告になります」
十二月二十二日。
ガンダル王国謁見の間。
玉座に座る国王アレクサンドルに、今回の戦争の最終報告書を宰相のアルバーニを介して提出する。
「ご苦労であった。
しかし、セストリアを処刑するとは。
残念だ」
セストリアの処刑に残念そうな表情をするアレクサンドル。
オッドアイの見た目が好きだっただけに、処刑と聞いてがっかりする。
「…陛下、残存勢力に関しては、セストリアに書かせた降伏文書を使います」
「うむ」
セストリアの書いた降伏文書を読む。
レイリア国民の生命保障を条件に降伏を求める内容。
文字には力がなく、完全に心が折れていることがはっきりとわかる。
「しかし、これを書くとは、よほど追い詰められていたようだな」
「話によれば、ミノタウロスに仲間が全滅させられたそうです」
「そうか、哀れな話だな」
「現実は非情なものでございます。
して、戦勝パレードの件でございますが、宰相」
話題を切り替えるカレッサ。
王の隣にいる宰相に戦勝パレードの話を振る。
「はい、パレードに関しては、年明けにカレッサ将軍を先頭に王城から出立し、英雄広場にて陛下自ら受勲などの式典の行います」
将軍をはじめ、将兵の皆々様方に恥をかかせないように、豪華絢爛な内容にいたします。
「それは光栄なお話でございます」
宰相の示したパレード案に、感謝の意を示す。
すると、そこへヴァルディア帝国の使者を連れた臣下がやってくる。
「陛下、ヴァルディア帝国の御使者を連れてまいりました」
使者と一緒に片膝をついて敬礼すると、口を開き要件を述べる。
「アレクサンドル陛下、この度の勝利、誠におめでとうございます」
アレクサンドルの顔を見上げ、祝辞を述べる。
「当国といたしましては、ガンダル王国との友好関係を一段と深めたいと思っており、交易だけでなく、第四段階の魔法技術の輸出を行いたいと考えております」
「なんと、第四段階の魔法技術をですか!?」
驚く宰相。
魔法技術。
魔石を媒介にして行使される力であり、水や植物などの生物以外の自然物を生み出す基礎的な第一段階から、発火や破壊などの物理化学現象を起こす第二段階、生物や人工物を生み出したり性能を変化させる第三段階、そしてそれらをさらに強化させる第四段階の魔法技術。
第三段階までならば生活インフラや軍事技術を補佐する程度ではあるが、第四段階となれば文字通り世界が変わってくる。
城塞が陸と海を進み、兵士個人が一個軍団に匹敵する力を持つようになる。
人々の生活も一気に変わり、機械が日用品を大量に作り出し、山さえも貫徹し道を通すことも不可能では無い。
「ヴァルディア帝国の使者殿、はるばるご足労であった。
専用の部屋を用意するゆえ、旅の疲れをゆっくりと癒すがよい」
「はは、アレクサンドル陛下のご厚意、深く感謝いたます」




