教育
「俺様が副艦長のジャック・ジョンソンだ」
カンナが提督室で寛いでいた最中、副艦長であるジャック・ジョンソンが入り込む。
サングラスをかけた肌の黒い良い男。
黒くて立派な髭を蓄えており、ムキムキの腕を組んでいる。
「お前は今からセイレーンのクルーだ。
だからお前を立派なサブマリナーに教育してやる」
「え!?」
いきなり何を言われているのか分からないカンナ。
そんな彼女のリアクションを無視して、ジャックは持ってきた教本の束とノートと筆記用具をカンナの前にドンと置く。
「働かないクルーに食わせる飯はねぇ。
まずは基本からだ、立て!」
「は、はい!」
ジョンソンの威圧に負け、慌てて起立するカンナ。
「始めに訓示からだ。
「一つ!艦は自らの家と思い、隅々まで大事にすべし!」
「えっえっと…」
「復唱!」
「一つ!艦は自らの家と思い、隅々まで大事にすべし!」
「一つ!艦は自らの家と思い、隅々まで大事にすべし!」
ジャックにビビりながら、聞いた言葉を復唱するカンナ。
「一つ!船員は運命共同体であり、互いを大切にするべし!」
「一つ!言行に恥じることなく、万民の手本となるべし!」
「一つ!至誠に反することなく、誠実に任を務めるべし!」
「一つ!努力を惜しまず、ただただ鍛錬に励むべし!」」
提督室から、ジャックの野太い訓示の声と、それを必死に復唱するカンナの必死な声が狭い艦内に響き渡る。
「まあいいだろう。
次は座学だ。
ノートとペンを取れ!」
渡されたノートを開き、ペンを執る。
軟な大勢の新から一流の軍人を何人も育て上げた、鬼教官と畏れられるジャックの教育。
その過激さから軍部に危険視され、懲罰部隊に送られた。
「…今日はここまでにしておいてやる。
明日の教練に備えてしっかり休め」
「は、はいぃぃぃぃぃ~」
五時間に及ぶ教練でへとへとになったカンナ。
机に顔を突っ伏し、両腕に力はなくだらんと垂れている。
翌日の十二月二十日。
提督服から新兵の服に着替えされられたカンナは魚雷発射管の前にいた。
目の前には砲雷長のグローリー。
セイレーンの火気管制を担当する男であり、胸に飾られた十字形の勲章が電灯に煌めく。
「お前には魚雷の装填作業を担当してもらう」
「ぎょらい...ですか?」
聞いた事のない言葉に首を傾げる。
「こいつのことだ」
グローリーが魚雷に触り、カンナに教える。
カンナの横に置いてある、およそ1.5トンの長魚雷。
セイレーンの前後に各六門ある発射管に装填され、主に水上艦を目掛けて撃ち出される。
担当官がいるからそいつの指示に従って装填しろ。
「は、はい!」
ジャックに教育された通りにキビキビと動く。




