特別航空作戦隊
「報告。
攻撃隊の戦闘準備、完了いたしました」
飛龍の艦橋。
前方を眺めるタモン・ヤマグチこと山口多聞司令長官に、上野博少将が報告する。
ランデル国第二海軍の青い軍服とは違い、黒。
ミッドウェーの海で飛龍と運命を共にした当時の軍服を、修繕しながらも今も大切に纏っている。
後ろには貝塚武男中将の座乗する瑞鶴が続き、その甲板には日の丸の描かれた攻撃機『鋼龍』が新型の零戦と共に並べられている。
『ランデル国海軍。
特別航空作戦隊』
大日本帝国海軍の航空戦隊を中心に編成された航空部隊であり、死さえも恐れない異常なまでの勇猛さから高難度の特殊作戦を任されている。
「ついに始まるか」
椅子から立ち上がり、山口が一歩前に進む。
フォセストリア大陸へと続く海。
波は荒く、モンスターの気配はない。
甲板に上げられた航空機には必要な兵装がすべて備えられ、出撃の時をただただ待っている。
「長官、よろしいでしょうか?」
「なんだね?」
長官に話しかける加来止男中将。
一枚の羊皮紙を山口に見せる。
「これは、交易品のリストかね?
…」
リストを見る山口。
描かれたとある絵と文字に目が留まる。
パーラの文字とその上にある真珠の絵。
「山口長官、パーラ湾を我々の言葉に訳すと、真珠湾になります!」
「…皮肉なものだな」
かつて、太平洋戦争の始まりとなった真珠湾攻撃。
それと似た地形、同名の地名、そして奇襲作戦。
「…加来君」
「はい」
「今度こそやりとげるぞ!」
ウルスラ海の荒波を乗り越えて進む艦隊。
開戦の時は、刻一刻と迫っていく。




