奇襲計画
「以上が、報告になります」
国防総省宿舎。
サクルティスから手に入れた情報を書類にして提出する。
「パーラ湾とワグス港か」
「パーラ湾には軍船が、ワグス港には多数の商船が停泊しています。
首都を落とし、掃討戦に移行しているであろう現在、これらの稼働率は低下しているはずです。
おそらく、停泊させたまま持て余しているかと」
「奇襲には絶好の環境だな」
地図上にチェスの駒を置くエル。
黒のコマを敵軍、白のコマを味方艦隊に見立てて並べる。
「あとは練度の問題だな。
..司令長官をお呼びしろ。作戦成功のためにも会議にご出席いただきたい」
「は!」
エルの指示に従い、省内の電話室に向かうガロン。
入れ違いに陸軍大将のニャルマーがやってくる。
「ニャルマー大将、いかがされた?」
「上陸作戦に備えて協議したい」
対面に座り、エル・ゼナを見据える。
「兵站を奇襲で破壊したとして、そのまま何も無ければ王国軍は少数でも掃討部隊を動かしてくるだろう。
本隊到着までの残りの二ヶ月分の時間を稼ぐとなれば、陸上戦力は必要不可欠だ」
「なら、奇襲の混乱に紛れて陸上戦力を上陸させる必要があるか...
何処がいい?」
「現地の地勢が分からない以上、下手な場所は選べない。
上陸した場所が敵の要塞の目の前だったら最悪だ。
それに兵站の問題もある。
敵地に上陸かつ二ヶ月も現地調達しながら継戦するとなると、一個歩兵中隊が限度だ」
「なら、パーラかワグスに直接上陸するか?
空襲で敵の兵装をあらかた破壊しまえば上陸の難易度は一気に減らせる。
そこからは交易路を中心に輸送部隊相手にゲリラ戦を繰り広げるなりして敵を翻弄しつつ、現地の友軍と合流してしまえば、あとはどうとでもなる」
「それで行こう、直ぐにメンバーを選抜する」
そう言ってニャルマーは退室する。
「さて...」
先程の会話を元に、さらにコマを置く。
(時間稼ぎにあたって、施設を完全に占領する必要は無い。
要は機能不全にしてしまえばいい)
ガロンが海警局の押収品から持ってきた各施設の見取り図を広げ、攻撃エリアを探る。
(船を全て沈める必要はない。
破壊した船や施設の残骸で港の入口を封鎖するなり物資を焼き払うなりして出られなくするだけで十分だ。
欲を言えば艦砲射撃で港全体を破壊尽くしたいところではあるが、今回は我慢しよう)




