青春(最終)
「ヨシ君、ヨシ君!!!」
ヨシアキから出る流血をナツキは必死で
止めようと両手で押さえていた。
しかし血は止まらず、ヨシアキの意識は朦朧としていた。
不敵な笑みを浮かべ、ヨコシマはナツキの元へ
近寄ってきた。
「これで、お前の心の糧はなくなった。
もう一度だけ言う、俺の所で働け。」
ヨコシマはヨシアキを蹴り避け、
ナツキの髪を掴み上げた。
「う、、、」
あまりの痛みにナツキは顔を歪めた。
それでもナツキの顔から強い意志は消えなかった。
「私のことはどうだっていい。
ただヨシ君のことをこんな目に合わせたのは
絶対に許せない。」
その言葉に、ヨコシマは興ざめしていた。
「そうか、それがお前の答えか。
俺は今から王になる。
俺の言葉が聞けない人間には罰を与えるしかない。」
ヨコシマはナツキの下着をずらし、
強行で行為に及んだ。
ナツキの叫び声に、会場の傍観者たちのボルテージも
最高潮になった。
「いやだ・・・嫌だよう・・・。」
言葉ではそう言いながらも、
ナツキは体を仰け反らせ、
体液が床に垂れるほど漏れていた。
「ハハッ、俺が王だ!俺に従わない奴は皆こうなるんだ!」
ほんの10秒程度だったが、その時間が永遠と感じられるほど、
ナツキの叫び声と観客の声で会場は叫び狂った。
ヨコシマが果てた、ほんの一瞬だけ、時間が止まったように感じた。
興奮のメーターが振り切れた観客の何人かがステージに上がってきた。
「ヨコシマさん、、、俺たちにも、俺たちにも分けてくれ!
頭が、、、体が可笑しくなっちゃいそうです・・・。」
下劣に近寄ってくる男が、ヨコシマの肩に手を当てた。
その瞬間に、その男の体が一瞬で血肉となってはじけ飛んだ。
まるで電子レンジに入れられたような内部爆発だった。
「ひぃ・・・!」
一緒にステージに上がってきた、男たちが腰を抜かして
へたり込んだ。
「ここは俺のステージだ。勝手に上がってくるんじゃねぇ。」
ヨコシマは立ち上がり、男たちの元へ向かい、
男の額に人差し指を当てた。
その瞬間に、先ほどの男と同じように、内部爆発が起きた。
「これがヴァルハラの力か・・・。
気持ちがいいなぁ・・・。」
ヨコシマは自分の手を見つめ、
不思議そうな顔で呟いた。
「お前は真理を受け入れた。
これからは余のために働いてもらうぞ。」
ヨコシマの後ろに見覚えがある男が立っていた。
「ジャ、、、ック、、、?」
ヨシアキは朦朧とした頭でその男の顔を認識した。
「なぁヴァルハラ、、、何故アンタはこんなことをさせる?」
ヨコシマはジャックに問いかけた。
「私はミイラと同じだ。長い間力を封印されていた。
その力を取り戻すためには、多くの魂が必要だ。
この娘をパイバスにして、魂の解放者を集っているのさ。
お前には力を与えてやった。自由に使え。」
「たまんねぇなー、血が滾って、体が熱くなって
おかしくなりそうだ。」
ヨコシマはステージから飛び降り、観客達を爆発させだした。
観客たちは一斉に出口に向かうが、それが仇となり、
体勢が崩れ、誰も外へ出られない状況になった。
「ハハ、、、消えていけ、お前ら全員消えてなくなれ!」
ヨコシマが触れた人間は皆消えていった。
床には大量の血が溜まっていた。
「ハァハァ・・・俺が王だ!
誰も俺に逆らえない!!!
ナツキ!そんな所でなにしてる!
俺の所へ来い!!」
ナツキはヨシアキを抱きしめたまま、
その場に座り込んでいた。
「ビッチのくせして、何やってるんだ。
俺にはもうすべて見えてるんだよ。」
ヨコシマは少し憔悴しているのか、
肩で息をしながら近寄ってきた。
「なぁナツキ、これでいいか?」
ヨコシマがヨシアキの体に触れると、
ヨシアキも他の男たちと同じようにはじけ飛んだ。
「い、いや、、、、」
ナツキは絶望し、血だらけの両手で、
自分の顔をふさいだ。
「これまでお前の好きなようにさせてやったんだ。
これからヴァルハラゲートとして、責務を果たすんだ。」
ジャックはそう言いナツキの肩に手を当てると、
ナツキは小さな声で答えた。
「あなたの言う通りにする・・・。
でもヨシ君はそちらの世界に連れていけない。」
ナツキがヨシアキの血を舐めると、
目前の血肉が、再び形を成し、
ヨシアキの姿が戻った。
「ゲートの前で彼の魂を止めた。
あなたの力を使って、形を戻した・・・。」
「もうソイツは死んでるんだぞ?」
「それでも良い、私が生きるためには
ヨシ君が必要なの・・・。」
ナツキとジャックがやり取りをしている間に、
後ろでヨコシマが倒れる音がした。
「全く、慣れない力を使いすぎるからそうなるんだ。
私はコイツを連れていく。あとはお前の好きにしろ。」
ジャックはヨコシマを担ぎあげ、その場から消えた。
「ねぇ・・・ヨシ君。大丈夫、皆の魂を少しずつ
あなたに送るよ。生まれ変わって、また一からやり直そう。」
ナツキがヨシアキを抱きしめた瞬間に、
その場が真っ白になった。
「戻ってきたかい?」
ここは、ヴァルハラゲート、、、
「今のは?」
「昔の君の記憶、、、
それとも前世の記憶になるのかな?
それを見せてあげただけさ。
これで事情はわかったろ。
さぁそれでは本題に移ろうか。」
「本題?」
「新たなヴァルハラゲートが開かれた。
今までの生かされている状況とは違う。
真の力と、永遠の命が与えられる。
君はヴァルハラのために、
多くの人間を殺して欲しい。
君それができるかい?」
真理はヨシアキの肩に手を当て、
見えないはずの表情が笑っているように見えた。




