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ヴァルハラゲート  作者: taxi
13/17

青春5

弱みのない人間は強者である。

家族、恋人、そして自分の自分の尊厳までも守らなくて良い人間。

守るべきものがある人間には必ずしも弱点があり、

そこをつかれると身動きが取れなくなる。

社会に出ると特に痛感させられる。自分が弱い立場であれば、

常識はずれな条件でも飲まなければならない。

生きる上で、理不尽な要求を我慢し、自我を抑制することは

人として必要不可欠なスキルである。



しかし、今のヨコシマには、そんなことを考える必要はなかった。



もはや自分の過去も、今も、未来も、渋谷によって

台無しにされたヨコシマには、どうやって標的の惨殺するかしか

頭の中になかった。



「まずは足からだ。逃げられたんじゃ話にならない。」



ヨコシマが近付いていくと渋谷は焦りの色を見せた。



「ヨ、ヨコシマさん、こ、交渉しようじゃないか。

 君の腕を見誤っていた。その剣術はボディーガードとして

 非常に評価できる。い、今までの倍の金額を出そう!

 専属のボディガードになってくれ!!」



渋谷は交渉を始めたが、それに対してヨコシマはガッカリとした様子だった。



「アンタはいつもそうだ。そうやって目先の事ばかり言って、

 搾るだけ搾ったら、ゴミのように捨てるんだ。

 まぁ俺も捨てられるまで、自分はそうじゃないと信じていたけどな。」



そう言い放ったヨコシマはため息をつきながら、

渋谷の両足の腱を切った。



室内は渋谷の絶叫が響き渡ったが、室外には漏れていないだろう。。



「く、狂ってる・・・。」


ヨコシマは振り返ると、絢子が地面にヘタレており、

床には失禁したのであろう、水溜りができていた。




そこからヨコシマの拷問は10分ほど続いた。



指の切断、腹部の切り開き、耳・鼻の切断、片目の抉り出し・・・

永遠とも感じる惨殺行為は、ヨコシマ以外人間には目を当てることができなかった。



最後に渋谷の首を落とし、髪を掴み、目線の高さまで持ち上げた。





「アンタの大きな野望もあっけない結末で終わったな。」


ヨコシマは少しの間渋谷を見つめていたが、

やがて立ち上がり、机の中を物色し始めた。

机の中からラヴを見つけると、片手で掴めるだけ

鷲掴みし、ポケットの中に押し込んだ。



「さてと、最後の仕事をするか・・・。」



ヨコシマは事務所から出ようとしたが、

ふと、何かを思い出したかのようにヨシアキの方を振り向いた。




「そうそう、お前も俺をこんな風にした原因の一つだ。

 最後まで楽しんでもらうぞ。」

 


ヨコシマは、覇気のない目でヨシアキを見つめ言い放ったが、

ヨシアキは、声が出ないのか、喉を鳴らし唾を飲み込んだ。




ヨコシマが部屋から出ると、ヨシアキは周りの状況を確認した。



部屋は血液と体液に塗れており、

絢子と香西は、小さなうめき声をあげていた。



突然と戦慄と化した状況だったが、

ヨシアキは渋谷から解放されたことに少し安堵した。

しかし、まだナツキが解放されていない。



咄嗟にモニターでナツキの様子を確認した。

するとステージに向かうヨコシマの姿が映し出されていた。



「まさか・・・。」



先ほどのヨコシマの言葉を思い出し、

ヨシアキは血の気が引いた。



「ゆっくりしている場合じゃない!」



ヨシアキは自分の腰元にあるはずの硬い感触を確認して、

ステージへと走って行った。








「さてさて、皆さま!お楽しみの所だと思いますが、

 本日のショータイムの前に、バーニーズ恒例の、

 ラヴドッキュンを行いたいと思います!」


ステージ上の和田が会場を煽ると、参加者は大いに沸きあがった。



「うぉーーー!ラヴをくれーーー!!」


「はやく、は、はやくーー!!」


「ラヴをくれーーーー!!」



目が血走った輩たちは、今にもステージに上がる勢いで、

ラヴを求め、会場は異様な熱気に包まれていった。




「それでは、ラヴを思いっきり、出し惜しみなしで、

 放出しちゃいますよー!ラヴバズーーーーカ、カモン!!」



和田が両手を振り上げ、後ろを振り向くと、そこには

ヨコシマの姿があった。



「ヨ、ヨコシマ君・・・?」



和田はヨコシマが手に持った渋谷の首を刀が目に入ると、

声と膝が震えた。



ヨコシマは、和田を避け、ステージの中心に立つと、

突然の状況に静観している参加者を煽るように話始めた。




「えーー、渋谷ですが、死んでしまったため、

 代表から降りることになりました。

 理由は、自分の利益のために、殺人・強姦などを行ってきました。

 目に余る行為でしたが、我々はそれを黙認していました。

 しかし、現在バーニーズの経営状況が芳しくなく、

 皆さまが命より大切にしているラヴに混ぜ物を入れ、

 水増しを行い、利益を稼ぎ始めました。

 このままでは、バーニーズの破滅を招くと思い、

 私の一存ですが、渋谷に代表から降りてもらうことにしました。

 もちろん執行役員の私には、様々な権限がありますので、

 純正のラヴを皆さまにご提供することができます。」



ヨコシマはポケットからラヴを取り出し、

参加者へ放り投げた。



参加者たちは疑心難儀になりながらも、

そのラヴを取り合った。



「突然のことで皆さまが混乱しているのもわかりますが、

 渋谷はもう死んでしまいました。

 私がその首を持ち、皆さまの元で話ができているということは、

 この場の一番の権力者は、私ということになります。

 つまり、私のことを皆様が支えて下されば、

 今まで以上に皆様にラヴ還元しちあと思います。

 これは、革命です。」



確かに、和田が仕切るイベントは、

人入りが減ったことから、ラヴの出し惜しみがあり、

参加者の中で不満を感じている者も多かった。

それに加え、ハッタリの混ぜ物という話に、

参加者の疑念は、渋谷への怒りに変わっていった。



参加者の声はやがて、ヨコシマを称えようになってきた。



普通なら、この異常な状況に賛同する人などいない。



ましてや、今までのオーナーが目の前で殺害されているのだ。



しかし、無茶苦茶な話が通用している。



この場には、常識を持ち合わせたものは1人もいないのだろう。



ヨコシマが仕切っているこの状況を、和田は理解できていなかった。




渋谷が死んでいる。


参加者がヨコシマを認めている。


自分の立場は??




「あの、、、ヨコシマ君??」



和田がなるべく話をさえぎらないように、

恐る恐る話掛けた。



ヨコシマは和田の目を見たが、

もはや和田を人間として見ていない目だった。

ましてや最初から和田のことなど何とも思っていなかった。



ヨコシマは和田をステージから蹴り落とすと、



「ソイツも戦犯だ!ソイツを殺せば、

 バーニーズの幹部にしてやってもいいぞ!」


と言った。

それに甘い条件に刺激され、多くの人たちが、

和田を取り囲み、和田は大きな断末魔を上げたが、

すぐに聞こえなくなった。



「さてと・・・」


ヨコシマが横を見ると、目隠しを解かれた、

ナツキが座り込んでいた。



ヨコシマがナツキに近付くと、

猿ぐつわをされたナツキが必死に声を出そうとしたが、

周りの歓声にすべてかき消されていた。



「確かに、皆が注目する理由もわかる。

 良い女だ。どうだ、俺と一緒にここで働かないか?

 悪い思いはさせないようにする。」



ヨコシマがそう言いうと、ナツキは、

鋭い目線でヨコシマを睨み付けた。



「こんな状況じゃ、普通の人間には、

 何を言っても通用しないよな。

 とはいえ、女を従わせる方法は、よく知っているつもりだ。」



そう言い、ヨコシマはナツキの胸元を掴み、

服を剥ぎ取った。



ナツキの白い肌と白の下着が露わになり、

ナツキは籠った叫び声をあげた。



すると、ヨコシマはナツキの猿ぐつわを外し、

顎を掴み、強引に自分の方に顔を向けた。



「黙って俺について来い。」



そういうと、ヨコシマはナツキの口に、指を入れ、

ナツキの舌で遊び始めた。

涎が下に垂れ、ナツキは恐怖で反抗できなくなっていた。



「そろそろか・・・。」



ヨコシマは、ナツキの顔に自分の顔を近付けた。




「うぉぉぉぉぉー。」



ヨコシマがナツキにキスをしようとした瞬間、

突然頭上から、叫び声が聞こえた。



ヨコシマは瞬時に上を見上げた。



すると、ヨシアキが照明の間から飛び降りているのが見えた。



ヨコシマは咄嗟に、義村で身を守ったが、

ヨシアキも短刀を振りかざしており、

2人の刀と刀がぶつかり合う音が響き渡った。



「ヨシ君!!!」



ナツキは涙交じりの鼻声で、ヨシアキの名を叫んだ。



「ナツキから離れろ、くそ野郎!」



「ハハッ、待ってたぜ!」




2人は少し距離を取り、刀を構え、戦闘態勢に入った。



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