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ヴァルハラゲート  作者: taxi
11/17

青春3

そこは異様な雰囲気が立ち込めていた。


まるで日本ではないような雰囲気、

道は薄暗いような気がしたし、

ゴミがそこら中に散らばっている。

少し深く呼吸をしようものなら、様々な臭いが混じった異臭で

むせてしまうほどだ。

そんな通りでも、バーニーズだけはネオンが光り輝き、

入り口付近には人だかりができていた。


よく見てみると日本人だけではなく、アメリカ系、

アラブ系、アフリカ系など様々な人種がいた。


まだ暗くなりかけの時間だというのに、

この雰囲気は異常だった。


受付らしい場所があるが、異様な雰囲気に飲み込まれ、

なかなか近付くことができなかった。



「くそっ、時間がねぇ・・・」


時計を見ると19時まで残り10分だった。


意を決して受付に向かうが、その道中に、

入り口付近の連中がヨシアキのことを笑っているような気がした。


しかし誰も話しかけては来ない。



ヨシアキは、受付にレターケースに入っていた招待状をみせ、

中に入る手続きを済ませた。



荷物を持ち、入り口に入ろうとした際にガードマンに止められた。



「ヘイ、ボーイ?背中にあるのはサムライソードかい??」



ヨシアキは、いざという時のために、武器を持ってきていた。

だが、入り口のガードマンに気付かれてしまうとは、ヨシアキも予想外だった。



「クッ・・・これはサムライソードじゃない・・・。」



このまま強行突破しても良かったが、中にどれだけの人がいるか

わからない。情報が少なすぎる今の状況では騒ぎを大きくするのは

得策ではない。ここは正直に言うしかなかった。



「これは、サトウキビだ。ディス イズ シュガーウッド!」



「ワッツ?シュガーウッド?」



ヨシアキはガードマンにサトウキビについて詳しく説明をした。

沖縄原産のサトウキビは非常に良質で、そこから精製される砂糖は、

甘味が強く、大変人気であることも事細かく説明した。



「オーケーブラザー。サトウキビのことはよくわかったYO。

 俺たちの故郷メキシコシティもサトウキビは有名だ。

 ファミリーも皆大好きだ。ただな、怪しいからNE、

 念のために、その黒い布から中身を出してみろYO。」




絶対絶命だった。

もちろん、サトウキビなわけがない。

親父が家宝にしている名刀義村だ。



「仕方ねぇ・・・殺るか・・・。」



義村を腰に掛け抜刀の構えに入る。



ヨシアキは、「ふぅ・・・」と短く息を吐いた。

周りの音がすべて消え、目を獲物の首元に合わせる。





しかし、ガードマンの目線は別の所にあった。



「オー、Mr.コウザイ!まだスタンバイしていなかったのですNE!」



コウザイと呼ばれた男は、ポケットに手を入れ、

大股でこちらのほうへ歩いてきた。



「なーにやっとんやお前ら!

 俺らの大事なお客様によ!

 なぁ・・・川崎君やっけ?一緒に入ろうや!」



コウザイはヨシアキのことを知っていた。

恐らく、バーニーズの幹部なのだろう。

ここで揉め事を起こしても仕方がない。



ヨシアキは素直にコウザイと共に店内へ入っていった。





中には、予想以上の人数で埋め尽くされていた。

恐らく200名はいるだろう。



「なー、川崎君はバーニーズ初めて来たん?」


騒音の中、片耳を手でふさいだコウザイが話しかけてきた。



「初めてだ。来たくもなかったし、今後来ることもない。」


ヨシアキはこの状況に苛立ちを隠せなかった。

この何処かにナツキがいる。


必死で回りの情報を得ようと首を動かしていた。



「まぁまぁそう言うなや!せっかく来たんやけん、楽しまんと!」



そう言われ、連れていかれるがままに、奥の部屋へ入って行った。



一枚のドアを越えるとそこは静寂な空気に包まれていた。



「この奥に皆がおるで!」



この先にナツキが??



ヨシアキはゆっくりドアを開けた。


しかしそこには得体の知れない3人の男と

絢子の姿があっただけだった。



「絢子・・・てめぇ・・・やっちゃいけねぇことに

 手を出したな。」


絢子は一瞬怯んだが、すぐに男の影に隠れた。



「渋谷さん、コイツが川崎ヨシアキ!

 剣道もすっごく強くて、皆の人気者なの!!」



渋谷を呼ばれた男は、ソファーに座り、腕を組んでいた。



「やぁ、君の武勇伝は耳にしていますよ。

 君の大好きなナツキさんも安全な場所で保護しています。

 どうですか、少しお話をしませんか?」



渋谷は丁寧な口調で、ヨシアキと交渉を始めようとした。



ヨシアキは渋谷がここのボスだと直感で感じ取った。

その渋谷を人質にとってナツキを開放させようという計画を思い付き、

一歩ずつ近づいて行った。



「俺もバーニーズの噂は耳にしている。

 やり方は気にくわねぇがすごい稼ぎようだってな。」



ヨシアキは適当なことを話し間をもたせた。

あと1歩で、間合いに入る、、、、、いまだ!



「おい。」



横にいた長髪の男に呼び止められた。



「お前の背中のそれ、よこせ。」



「おやおや、ヨコシマ君。それは失礼じゃありませんか。」



渋谷がヨコシマと呼んだ長髪の男は、一瞬目を渋谷の方に向けたが、

またこちらの方を向いた。



「いいから、よこせ。」



この時、この二人が最大の敵になることは、

誰も知るよしはなかった。



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