第61話 お礼では終わらない
次の放課後、僕は今日も今日とて生徒会に来ていた。
今日は会長と副会長のペアが先に居た。
「少年」
「はい」
「君はとてもいい目をしているね」
「……いきなりなんでしょう。口説いているんですか?」
「半分はね。けど、心底思っていることだよ?」
「そうですか」
会長の冗談はいつものことなので、適当に流しておこう。
副会長はと言うと、ソファにお行儀良く座ってティータイムと洒落込んでいる。良く様になってる。
「こんにちは、副会長」
「悠人さん。こんにちは。悠人さんもいかがです?淹れ立てのハーブティーは」
「せっかくなのでいただきます」
「はい」
嬉々として注ぎにゆく副会長。甲斐甲斐しくて、どっかの生徒会会長にも垢を煎じて飲ませてやりたい。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
軽く匂いを嗅いで、口に一口含む。
「カモミールですか」
「あ、当たりです。良くわかりました。なでなで」
匂いと味でわかったのは確かだけど、子供扱いだなぁ、これ。
悪い気はしないけど、恥ずかしい。
慣れてないので気後れしてしまう。
「少年はなでられるのが好きなのか?」
「まぁ、嫌いではないです」
「そうか。なら私もなでてやろう」
「遠慮します」
「なんだ、照れているのか」
「照れてません」
会長までなでられると、むず痒い。
つまり恥ずかしいのだ。照れてもいるかもしれない。
「ならまた今度にでも少年の頭をなでなでしてやろう」
会長は何でこうも僕に構うのだろうか。
暇なのだろうか。いや、からかいたいだけなんだ。
「あ、そうそう」
会長は専用の席に座る直前に言った。
「おめでとう、少年。君は頼まれ事をクリアした。褒美はないが、礼を言う。ありがとう」
「いえ、特に何もしてませんけど。どういたしまして」
「え、なんですか?私だけ除け者ですか??」
いきなりで頭が追い付かなかったが、すぐに理解した。
きっと、桜花さんが学校に来たのだ。
ちゃんとクラスにたどり着いたかはわからないけれど。会長は知っている。
だから僕は、少し安心した。
「桃香、私と愛を語らおう」
「お断りします。私は悠人さんの夫になるんですから」
「いやそれを言うなら嫁でしょうっ?」「なってくれるんですか!?」「なりませんけど」
「悠人さん冷たいです……ショボーン」
と、いつもグダグダというかノリがいいというか、生徒会は元気です。
今亡き母、僕は妹の為に頑張ります。
「さあ少年、ショータイムの始まりだ」
「意味がわかりません」
いつも通りの放課後だ。




