第62話 見上げるだけでは終わらない
お昼休み、僕はいつになく屋上でお昼にしていた。
それは一人、空を見上げながらの食事をしていた。といっても、弁当はないのだけど。
今日はなんとなく一人でいたかった。
雲は大きな一群となって緩やかに流れ、その雲に隠れ太陽は地を照らす。
「……」
膝の上には一枚の絵。体育祭用に僕が描いた絵だ。
それはなんとも無機質で、ありがちなもの。
描き直そうとも思ったけど、会長はこのままでいいと言う。
僕は何か腑に落ちない。勢いに任せ描き殴った子供の落書きにしか思えない。
どこか虚しさがある。
一人でいるのはそれだけではないのだけども。
「──先客が居たんだ」
珍しいなって思った。
式垂さんと屋上で会うのは。
僕が屋上に来る事自体が珍しい事なんだけどね。
「ごめん、邪魔してるよ」
「別に。先に居たんならいいよ」
半分閉じた目は僕を見ずに立ち尽くす。
「基本立ち入り禁止だけど、絶対ってわけでもないしね」
僕の隣に座り込み、彼女、式垂 述さんは空を見上げる。
彼女はヘッドホンを耳に掛け、音楽を聴いてる様子もなくただ空を見つめていた。
「……」
僕も同じようにして空に目線を移す。
心地良く頬をなでる風、太陽の暖かな光で綺麗な青を描く空、この空間だけ切り取られてしまったかのような感覚を覚える。
前にも感じた感覚。だけど、その時とは違った感覚。
なんだか、落ち着かないな。
相反して気持ち良くもある。
「……空は」
「?」
「空は、嘘を吐かない」
「……うん、そうだね。僕もそう思うよ」
緩やかに流れる時は今も動いていて、止まる事がなく世界の中にひっそりと混じっている。
「ありがとう、なんだか少し元気が湧いたみたい」
「そ。別に何かしたつもりはないけど」
「うん。僕は行くね」
その場を離れ式垂さんと別れる。
何か吹っ切れた気がする。
「よし、今日も生徒会だ!」
まだ目標は達成されていない。




