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ていく いっと いーじー。

異世界の森をゆく俺たち。若い米兵が話しかけてくる!う!どう答えるべき?英語の女神ニューホライズンよ!我に力を‼

RPGっぽい異世界なう。

奇妙な草木が生い茂る異世界の森。

どこかでシャアッシャアッ、とかクココココッ、とかなんらかの生き物の鳴き声がする。生き物本体は見えないが。

足元は下草まばらな…砂利っぽい地面。歩きにくくはない。

時々、プ〜ンと小さな羽虫がとんでたり、茂みがカサッとちょっと揺れたり。ここはここで土着の生物が…ちゃんと生態系を成して生息してるっぽいな。

うおっ、木にくっついてる黒いカタツムリみたいなのでけえ。

バレーボールくらいある。


うーん…腕が痛え…。

足も…完全に筋肉痛。

昨日の練習試合二連戦と…足はもなみ追っかけてダッシュした時か…。

一応寝る前ストレッチしたけど…オタク青年の基礎体力不足を補う程の効果はない、か。

ってかヤワだなぁ、俺。

ぶっちゃけ勇者とか…百、ガラじゃねえよ。

向こう帰ったらジョギングだけじゃなくて短距離の走り込みもしよ。

筋トレも…腕立て腹筋背筋と全然違う筋肉なんだな、剣振るのって。多分細かく言うと、刀剣の種類やファイトスタイルによっても…違うな、必要な筋力が。

公園でブロードソードなんて素振りしてたら捕まるかな…。けど練習はちゃんと自分の剣でしたいなぁ…木刀やバットじゃなく。重さや長さが違うと…変なクセとかつかない?

…でも向こう帰ったら剣術自体が必要ないか?

…いや、なんにせよ体は鍛えといた方がいいよな。なんかこの探索が終わっても…いつまた強制召喚されるかわからんし。

…頼むから就職活動中とかやめてくれよな?

「どしたん、ヒロ。難しい顔して。」

ああ、昨日エレンとアベさんと剣術の稽古してさ、ガチで筋肉痛。

「癒し、使う?」

いや!いいよ。もっとヤバイ状態がこれからあるかもだし。

「じゃあ夕暮れ間近に。回数が残っとったらな。」

…おう、そうか!月が出れば回数リセットか!

回復魔法…へへへへ、あの気持ち良さ、久しぶり。楽しみ。どうか回数が残りますように。

「ヒロ…顔がなんかやらしいで。」

む!いかん!勇者勇者!セルフコントロール、セルフコントロール…すー、はーっ、すー、はーっ…。


海兵隊は一班四名の三班プラス現場指揮官一名で、計十三名。

ほぼ二列縦隊で森を行く。

先頭はアベさんwith鳥ウィンドウと小柄なポイントマン。そのすぐ後ろに白人の背の高い中尉…この人が隊長…と、エレン。

列の半ばにヴァリーとラムだっちゃ姉さん。

…あの二人…なんか仲いいな。

サブシナリオ発生?

しんがりが俺とファム、だ。

海兵隊一班に二名ずつ、RPGキャラメンバーが混ざってるって感じ。


に、しても暑い!

湿度も高い!

たらたら汗が出る。真夏の体育館で部活中、みたいな。

手拭いで汗拭いてたら、ipodの兄ちゃん、振り向いて話かけてきた。

「Sir Hiro,Can you understand our language?」

う!なんて答える?もなみが打ち合わせしようって言ってたのはこういう個別のシチュエーションに対して…か。

でも…もなみも喋れるわけだし、ここは…。

あ、りろう。

「Good.We’ll take a brief break,10minutes.…OK?」

危ね、つい腕時計見るアクションしそうに…ぐっとこらえて!

おーけ。のーぷろぶらぁ。

ipod兄ちゃん、ちょっと笑ってうなづいた。

「ヒロ、なんて?」

ああ…10分休憩だってさ。

「ジュップン?」

ええと…火にかけたちっちゃ目の鍋の水が沸く位の間。…ま、目安にはなるだろ。

「まあ、ちょっと休憩ってことやね。にしても暑いなぁ、汗が止まらんわ。」

ぱたぱたと胸元を開け閉めするファム。

じー…っと注目しそうになるのを我慢して、俺はぐるっと辺りを見回した。

…あれ?今の…いや、気のせいか?茂みの向こう…ちょっと離れた場所に、ぼーっと立ってる人影みたいのが見えた気がしたんだが。再び見直したときは何もいなかった。…疲れてるのかな。…手足は筋肉痛で痛いし暑さにバテ気味なのは間違いない。

え!なに?なんか同じ班の黒人の兄ちゃんが話しかけてくんだけど…えれえ早口で聞き取れない…これ英語?

そーりぃ、ぷりーず とーくもあ、すろうりぃ。

「Sir Hiro,Do you have any taboo with foods?」

食事上の禁忌はあるか?かな?

のー、あいどん。

「Any caloric restriction?」

カロリックレストリクション?

宗教上の制限のことか?

のー、あいどん。

あいはぶのーれすとりくしょん、うぃずふーず。

黒人の兄ちゃんバックパックからなんか出すと投げてよこした。キャッチ!う…筋肉痛が…!

あ、お菓子だ。

本場のチョコバー…スニッカーズ!

いかん!初めてみるような態度しないと…‼

黒人の兄ちゃんがパッケージ破いて食べるんだよ、みたいにジェスチャー。

恐る恐る…剥くフリする俺。

うわ…暑いからドロドロだぞ。

黒人の兄ちゃん、もくもく食って目をむき、うまいぞ!みたいなアクション。

そうっとひとかじりする俺。

甘いし…ぬるっ!

ぎこちなく微笑んで

さんきゅ。

「ヒロ、それ何?おいしいん?」

と、ファム。

向こうの世界のお菓子だ。

甘い。少〜しほろ苦い。食べてみる?

俺から受け取ったスニッカーズをがぶっと食べるファム。

一口目からガッツリいったな。

バラエティー向きだ。

「なにこえ!もぐ、おいひい!もぐ、なんへおはひ?」

…しゃべるか食べるかどっちかにしろよ。お菓子の名前、俺が答えたらおかしいじゃん。…別にシャレじゃないぞ。

あ、そだ。

ごそごそ。

異世界名物、かったいジャーキー。

へい!どぅゆらいくどらいみーと?

「Ja,zeker!」

やぁぜぇかぁ?どっち?

…まあ、やっとけ。

俺は自分用の食料袋から掌半分くらいの大きさのジャーキーを出すと黒人の兄ちゃんに投げた。

とらいざっと!

兄ちゃん、上手いことキャッチして、

「T! K! SM! 」

…口語の会話でもティーケー!って言うんだ。

なんでここでSMっつった?

…ま、いいか。

わい、だぶりゅう。

ジャーキーをかじる兄ちゃん。

で一言。

「…Hard! 」

あいしんくそう。

なんか知らんが笑えて来て、俺は黒人の兄ちゃんとひとしきり笑った。

振り返ると、黙々とチョコバーを食べるファム。

口の周りがチョコだらけで、昭和のドロボーみたいになってて、更に吹いた。

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