第15話 本人乙
【議論】へぁさん、結局3回目いけたのか?
1:名無し
工場事故の動画見直してるけど
こいつ2回出てきてるよな
2:名無し
今さら?
3:名無し
前にも2回やってる
4:名無し
じゃあ3回目いけよ
5:名無し
それな
6:名無し
3回目から有料です
7:名無し
無料版へぁさん
8:名無し
広告見たらもう一回変身できます
9:名無し
> > 8
30秒広告なら待つ
10:名無し
3分しか動けないのに30秒広告は重すぎる
11:名無し
へぁプレミアム
月額980円
12:名無し
何が付くんだよ
13:名無し
広告なし
3回目解放
バックグラウンド再生
14:名無し
何を再生するんだよ
15:名無し
へぁ
16:名無し
いらねえ
「……。」
俺は。
スマホを見ながら。
「好き勝手言いやがって。」
スクロールする。
◇
41:名無し
それより2回目に戻ってきた時の動画見た?
42:名無し
見た
43:名無し
めっちゃ足引きずってる
44:名無し
あれ怪我してんの?
45:名無し
45mでも捻挫するんだな
46:名無し
湿布何枚いるんだよ
47:名無し
病院どうすんの
48:名無し
医者「今日はどうされました?」
49:名無し
へぁ
50:名無し
医者「右足ですね」
51:名無し
へぁ
52:名無し
医者「では保険証お願いします」
53:名無し
へぁ
54:名無し
詰んだ
「……。」
笑うな。
まだ痛いんだぞ。
55:名無し
そもそも保険証入る財布ないだろ
56:名無し
マイナ保険証ならスマホで
57:名無し
スマホも巨大じゃないと無理
58:名無し
病院の入口で詰むだろ
59:名無し
受付だけ外に出てこい
60:名無し
医者「とりあえずレントゲン撮りますね」
61:名無し
無茶言うな
「……。」
俺は。
右足首を見る。
「笑い事じゃねえんだよ。」
スクロール。
◇
103:名無し
俺は瓦礫の方が好き
104:名無し
何が?
105:名無し
へぁさん一回触って
速攻で手離してる
106:名無し
あれ熱かったんだろ
107:名無し
熱っ!ってなってるよな絶対
108:名無し
巨大人型存在にも熱々は熱々
109:名無し
軍手買ってやれ
110:名無し
サイズあるか
111:名無し
ワークマン案件
112:名無し
ワークマン「想定しておりません」
113:名無し
特注しろ
114:名無し
政府予算で
115:名無し
税金でへぁさんの軍手買うのかよ
116:名無し
人命救助用ならええやろ
117:名無し
片方だけでテント何個分だよ
「……。」
俺は。
自分の手を見る。
まだ。
少し赤い。
「熱かったんだよ。」
◇
スレは。
いつものように。
好き勝手な方向へ進んでいた。
だが。
誰かが。
爆発の瞬間を切り抜いた動画を貼った。
◇
186:名無し
これ見ると笑えんぞ
187:名無し
何?
188:名無し
爆発のやつ
189:名無し
足元でまともに食らってるな
190:名無し
思ったより近い
191:名無し
これ普通に痛かったんじゃね
192:名無し
だから足引きずってたんだろ
193:名無し
でもそのあと救助続けてる
194:名無し
一回消えたあとも戻ってきてるぞ
195:名無し
ダメージ持ち越しなのか
196:名無し
2回目も同じ足引きずってる
197:名無し
じゃあ治ってないのに戻ってきたのか
198:名無し
……。
199:名無し
そこまでして戻ってきたなら十分じゃね?
200:名無し
俺もそう思う
201:名無し
いや
結果的に死者出てるから
202:名無し
だから何だよ
203:名無し
3回目できたなら戻れただろ
204:名無し
できるか分からないだろ
205:名無し
だから事前に試せって西村が言ってた
206:名無し
西村乙
207:名無し
本人来てて草
208:名無し
西村へぁさん好きすぎ問題
209:名無し
あいつ全出現履歴覚えてそう
210:名無し
アンチはファンより詳しい
211:名無し
へぁさん検定1級
212:名無し
面接官「へぁさんが初めて光線を使用した場所は?」
213:名無し
西村「海ですね」
214:名無し
即答すんな
「……。」
ちょっと。
笑った。
◇
でも。
スレは。
また戻った。
◇
263:名無し
でもさ
264:名無し
何
265:名無し
3回目できたなら
死んだ人助かったんじゃね?
266:名無し
……。
267:名無し
結果論だろ
268:名無し
人死んでんのに結果論で終わらせるの?
269:名無し
じゃあ3回目でへぁさん死んだら?
270:名無し
死なねえだろあのサイズ
271:名無し
今回普通に怪我してんじゃん
272:名無し
爆発であれならもっとデカいの食らったら分からんぞ
273:名無し
そもそも3回目で何が起きるか誰も知らない
274:名無し
変身できないだけかもしれん
275:名無し
倒れるかもしれん
276:名無し
そのまま戻れなくなるかもしれん
277:名無し
全部想像じゃん
278:名無し
3回目いけるも想像だろ
279:名無し
それな
280:名無し
でも人命かかってんだぞ
281:名無し
へぁさんの命は?
282:名無し
??
283:名無し
お前らさ
284:名無し
へぁさん本人が死ぬ可能性
人数に入れてなくね?
285:名無し
……。
286:名無し
確かに
287:名無し
でも本人が勝手に来てるんだろ
288:名無し
来たら死ぬまでやれってこと?
289:名無し
そうは言ってない
290:名無し
でも言ってることほぼそれじゃね
291:名無し
力持ってるなら責任あるだろ
292:名無し
どこまで?
293:名無し
人が残ってる間
294:名無し
じゃあ100人いたら100人助けるまで?
295:名無し
極論
296:名無し
でも線引きどこだよ
297:名無し
……。
298:名無し
知らん
299:名無し
本人に聞け
300:名無し
へぁ
301:名無し
会話終了
「……。」
俺は。
画面を見ていた。
指が。
止まる。
本人の命。
「……。」
考えてなかった。
俺自身も。
あの爆発を食らうまで。
考えてなかった。
戦車に撃たれてたら。
どうなっていたのか。
あの時。
俺は。
何も知らないまま。
戦場へ行った。
「……。」
スクロールする。
◇
371:名無し
俺は3回目行くべきだったと思う
372:名無し
俺なら行く
373:名無し
絶対嘘
374:名無し
なんでだよ
375:名無し
お前コンビニ行くのも面倒くさがるじゃん
376:名無し
それとこれとは別
377:名無し
45mになってから言え
378:名無し
なれねえよ
379:名無し
なれない奴が
なれる奴に死ぬまでやれって言うの怖くね?
380:名無し
死ぬまでとは言ってない
381:名無し
じゃあどこまで?
382:名無し
……。
383:名無し
2回
384:名無し
今回やってる
385:名無し
じゃあ3回
386:名無し
増えてんじゃねえか
387:名無し
草
「……。」
俺は。
少し迷った。
書き込み欄を開く。
文字を打つ。
◇
421:名無し
へぁさんだって怖かったんじゃないの
422:名無し
本人乙
423:名無し
へぁさん降臨www
424:名無し
> > 421
へぁって言ってみろ
425:名無し
45mがスマホ打ってるところ想像して草
426:名無し
指で画面割れるだろ
「……。」
「早えよ。」
投稿して。
数秒だった。
もう一度。
入力する。
◇
431:名無し
普通に生活とか仕事があるかもしれないだろ
432:名無し
ねーよwww
433:名無し
巨大人型存在の仕事って何だよ
434:名無し
建設業
435:名無し
解体業
436:名無し
灯台
437:名無し
灯台は仕事じゃねえ
438:名無し
職業:へぁさん
439:名無し
履歴書どうすんだよ
440:名無し
資格
普通自動車免許
巨大化
441:名無し
巨大化は資格なのか
442:名無し
特技欄だろ
443:名無し
実は普通の会社員だったりして
444:名無し
ねーよ
445:名無し
営業とか?
446:名無し
スーツ着てんの想像した
447:名無し
課長
448:名無し
部長だろ
449:名無し
いや
あの微妙な立ち位置は係長
「……。」
俺の指が。
止まった。
「……なんでだよ。」
入力欄。
『係長だよ』
「……。」
危ない。
全部消す。
◇
さらに。
スレを読む。
しばらくすると。
一つの書き込みが。
目に入った。
◇
518:名無し
信じなくていいけど
父親があの工場にいた
519:名無し
はい
520:名無し
証拠
521:名無し
こういうのいいから
522:名無し
> > 518
続けて
523:名無し
へぁさんが
熱い瓦礫持ち上げてた場所あっただろ
524:名無し
あった
525:名無し
あの下に父親がいた
526:名無し
……。
527:名無し
マジ?
528:名無し
今も入院してる
肋骨と足を骨折してるけど命は助かった
529:名無し
証拠出せ
530:名無し
出さない
531:名無し
じゃあ嘘松
532:名無し
それでいい
533:名無し
別に信じてもらうために書いたんじゃない
534:名無し
じゃあ何
535:名無し
ありがとうって言いたかっただけ
536:名無し
……。
537:名無し
本人ここ見てないだろ
538:名無し
見てるかもしれんぞ
539:名無し
へぁさん5ちゃん民説
540:名無し
急に嫌だな
541:名無し
> > 518
本当ならよかったな
542:名無し
お父さんお大事に
543:名無し
まあ証拠ないから分からんけど
本当ならよかった
544:名無し
へぁさん見てるかー?
「……。」
俺は。
画面を見ていた。
本当なのか。
嘘なのか。
分からない。
ネットだ。
確認する方法もない。
でも。
あの時。
熱かった。
一回。
手を離した。
それでも。
もう一度。
持った。
「……。」
あの下に。
本当に。
この人の父親がいたのかもしれない。
「……そっか。」
少しだけ。
肩の力が抜けた。
返信欄を開く。
何か。
書こうとする。
『よかった』
「……。」
消す。
俺が書くことじゃない。
スマホを置こうとした。
その時。
◇
551:名無し
まあそれはそれとして
3回目は試しとけ
552:名無し
それな
553:名無し
西村の言ってること
そこだけは正しい
554:名無し
次からちゃんと検証しろよ
555:名無し
本人見てるかもしれないから言っとく
556:名無し
へぁさん
宿題な
「……。」
俺は。
スマホを伏せた。
「うるせえよ。」




