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攻略不能ゲーム攻略作戦 〜濃厚ホモエンドを回避せよ!〜  作者: めの。
高校生編

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mission85 ヤマタノオロチとの戦いに勝利せよ!

 前回のあらすじ。

 墓参りに来たらヤマタノオロチが出た。


「クッソ、ふざけんなよもぉぉぉおおおおお!」

「えぇ!? ほーちゃん急に何、ひょぼぁ!?」


 見えていないらしい箱森を抱えて墓の裏に逃げる。先ほどまでいた場所が炎に焼かれて、って本当に何のゲームなんだよこれはっ!


『あ! あれを見るぷん!』

『おお、カッス! 弱点か何か見つけたのか!?』

『ダブルレインボーぷん! 初めて見たぷんっ!』

『縁起がいいな、馬鹿野郎!』


 こんな時でも役に立たないカッスはともかく、あのヤマタノオロチをなんとかしないと……なんとかできるもんなのか、あれ? とある有名RPGでも中盤後期くらいに出てくるキャラじゃないか?


「ほーちゃん、ただいまー。ってうわぁ!」

「おかえり、ドラゴン! 気をつけろ!」


 もう自分自身ですら何に気をつけたら良いのか分からないが、何か色々買ってきた太郎に注意を促す。しかし何をあんなに買ってきたんだよ、ライターだけじゃ…………あれ?


「わわわ、私は何に、何を気をつけたら。急に抱きしめられて夏のトキメキが」

「やかましい箱森! こんな状況でトキメキなんてあってたまるかっ!」

「ひどいっ! 学校中に言いふらしてやるんだからっ!」

「無駄に行動力高いなっ! もういい、ドラゴン、箱森を頼んだ!」


 箱森を太郎に投げ、ビニール袋から目的のものを引き抜く。先ほど吐いた炎は溜めが必要なのか、すぐには吐いてこない。今のうちに――――。


「避けろっ! 笹川!」


 笹川が避けた瞬間に。

 太郎が買ってきた酒をヤマタノオロチに思い切りぶちまけ――――ようとして。


「紙パックタイプだから勢いが弱い!」

「あ……でも、寄ってきたよ…………」


 地面にできた小さな酒たまりを目がけて、ヤマタノオロチがゆっくりと寄ってくる。八つの頭でぴちゃぴちゃと大人しく舐めて……犬みたいだな。


「はーい、押さないでね。はいはい。君にもあげるから」


 飼育員のような気分であちこちに酒を撒いては、頭を撫でて褒めるようになっていた。なんだこれ。


「緩い時代で……良かったね…………」

「そりゃそうなんだけど……これで、このあとどうすりゃいいんだよ。あ、あめふらしも欲しいのか? はいはい、やるから」

「ほーちゃん、大丈夫ー?」

「ああ、多分もう大丈夫なんだが……ドラゴンはなんで酒買ってきたんだよ」

「仏様といえば酒かなって!」

「そうか……頑張ったな」


 今回はそれで助けられたし。満足したのかヤマタノオロチもペロリと顔を舐めてきた。酒臭い。


「鱗もらったー」

「よかったな」

「ね、ねぇ! なんだったの!? 急に二人に抱きしめられるし、ほーちゃん達は虚空に話しかけてるし、笹川さんは槍で私つついてくるし!」

「笹川、いじめてやるな。箱森、世の中目には見えないものがたくさんいるんだ。また設定ノートのネタにでもしとけ」

「扱いが雑!」


 そんなこんなで、あの炎はなんだったのかというくらいすんなりとヤマタノオロチは帰っていき、あめふらしは物欲しそうにこちらを見ていた。もうなんもねぇよ。


「でも、何事もなくお墓参りできて良かったね!」

「ドラゴン的にはあれば何事もなかったのか……」


 ふと、偶数じゃないと駄目だとかなんだとかの設定を思い出した。これってもしかしてイベントバトル的なやつで、他のギャルゲーでも、誘うメンバーによって勝ち負けが決まる……みたいなものがあったような。


「ふふっ…………」


 そちらを見れば、笹川が意味深な笑みを浮かべていた。もしコイツがいなかったら……まさか、な。


「お母さん、今日は友達と彼氏二人と来たよ」

「流れるように嘘をつくな」

「ぴょっ!」


 俺がお母さんなら倫理観のない娘が心配になるわ。



「制服姿、見せるの遅くなっちゃってごめんね」



 もう、母親は決して見ることのできない箱森の姿を。


「毎日、すごく楽しいよ。すごいの、文化祭みたい」


 その笑顔を、母親が眠っている、墓に向けて見せて。

 それを見て――――自然に目を閉じて。手を合わせた。



「ありがとう。お母さんに友達紹介できて、嬉しかった」



 目尻に溜まった涙には気付かないふりをして、同じように笑みを向ける。


「えっと、それでね。夏休みもほーちゃん達に頼みたいことが」

「あいにく、どの年のどの時間軸も空いてなくてな。残念だよ」

「断り方が段々ひどくなってるっ!? お母さんの前なのに!」

「調子に乗るな」

「夏休みも遊ぼうねー」


 そんないつもの箱森は置いておいて。


「ドラゴン。箱森は荷物が多そうだし、送っていってやってくれるか?」

「いいよー、じゃあ帰ろう。箱森さん」


 もうひとつ。ずっと気になっていたことに目を向ける。



「笹川」



 笹川さらら。ミステリアスなオカルト少女は。



「まだ、時間……あるか?」



 首肯して、静かに笑った。

お読みいただきありがとうございました!

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