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112.解除方法

 不安な気持ちを押し殺し、右のドアをこじ開けて恐る恐るゆっくりとドアの先を覗き込むニール。

 そんな彼をこっちで待ち構えていたのは……。

(あっ、階段か……)

 ドアの先は、人が2人すれ違うのがやっとと言える位のらせん階段に通じている。

 反対側のドアの先には恐ろしいものが待ち構えている訳だし、ここで躊躇していても何も進まないので、意を決してニールは足を踏み出して階段を上り始める。

 この階段は一体何処に続いているのだろうか?

 そもそも、何でこの塔は自分以外の人物には見えていないのだろうか?


(まさか魔術とかって奴が関係しているんじゃ……)

 そうだとしたらやっぱり色々と自分にとってもこの世界の住人にとってもタチが悪いし、物凄く迷惑なので何とかしてまずは塔が外に見える様にしたいと考えるニール。

 そもそもこのタワーの入り口は縦長の頂点部分に存在しているので、タワーの裏側から来てしまった来客に対して遠回りをさせてしまう様なデザインである。

 それにこの階段を上り始めてから気が付いたのだが、明らかに「人間では無い」呻き声みたいな音がさっきから階段の上から下に向かって聞こえて来ている。

 いや、タワー中に響いていると言った方が正解だろうか。


 まさか魔物がこのタワーの中に居るのだろうか?

 居るとして、もし遭遇した時には戦わなければならなくなってしまうだろう。

(こんな事なら、事前に他のメンバーに頼んでこれのトレーニングをさせて貰うべきだったかもな)

 カラリパヤットの武器術の経験も豊富だが、流石にこの世界の魔物が相手になると通用するかどうかまでは怪しい。

 その腰にぶら下げているハンドメイドのショートソード2本と、ロングソード2本に視線をくれてから更に階段を上って3階部分に一気に辿り着いた。

 2階部分にはドアがあってその先は何処かに続いているらしかったが、こっちは金属製のドアになっていてカギも掛かっていたので諦めて3階部分までやって来たのである。


(こっちは通路からそのままドアも無しに続いているみたいだな)

 それならそれでまたドアをこじ開ける手間が省けて助かったと思うニールだったが、その3階部分は何と行き止まりの小部屋になっている。

 そして、またもやこの中世ファンタジーな世界観には似合わない設備が鎮座していた。

(コントロールルームの様な場所……か?)

 最初のドベリンコ遺跡の地下1階の奥で見つけた、サーバーらしき大型の機械や監視用らしきモニターが鎮座している部屋がフラッシュバックする。


 またあの時の様に何かスイッチらしき物があるのでは無いか、とその設備に近づいてみるニールの目に留まったのは、いかにも「それらしき」赤くて四角いボタン。

(これを押してしまったらどうなるんだ……?)

 この部屋に閉じ込められてしまうのだろうか、それともあるいは何か得体の知れないものに襲われてしまうのだろうか。

 俳優として初めて舞台に上がった時よりも緊張しているニールだが、意を決してそのモニターの手前に鎮座している赤いボタンをポチッと手のひらで押してみた。


 その瞬間、今まで薄暗かった部屋の中がパアッと一瞬にして明るくなった。

「……!」

 間違い無くこの赤いボタンを押した結果だろうが、それと同時にタワーの至る所で何かが色々と起動する音が聞こえて来た。

(このボタン……さしずめシステムのスタートアップとシャットダウンのボタンって所か?)

 目の前のモニターにも映像が映り、まるでこの場所だけが地球からトリップして来た様な、あるいは自分が地球に戻って来た様な錯覚に陥るニール。

 まさかこのタワーが起動した事によって地球に戻ったのでは? と期待をして部屋の外にある窓から外を覗いてみるが……。


(あ、景色は変わってないか……)

 やっぱり何でもご都合主義で上手く行ってくれるとは限らないらしい。

 とりあえず外の景色は変わっていないものの、このタワーの中の様子はかなり変化があった様なのでここから更に調べるべくコントロールルームを後にしてニールは1度階段を降りる。

(あの2階のドアも開くって事かな?)

 他とは明らかに経路の違う金属製のドアにもロックが掛かっていたのだが、これで開いてくれると嬉しい。

 もし開かない場合は1階に戻り、また「あれ」が居る部屋に入らなければならないだろう。

(いやー……でも、かなり厳しいと思うがな……)


 なので先に、出来ればあの金属製のドアの向こう側から調べたいと思っているニールは、そのドアの手前までやって来てから耳をドアに当ててみて、まず音と気配で向こう側の様子を何とか探ろうと試みる。

 しかし、金属の冷たい感触が耳から伝わって来るだけでそれ以外の事は分かりそうに無かった。

(くそ、ダメか……)

 防音加工でもされているのかも知れないと思いつつ、ドアの取っ手に手を掛けてグイっと押してみる。

 すると先程の木製のドアの時の苦労が嘘の様に、すんなりと開いて先に進める様になった。

(やっぱりそうか!!)

 自分がさっきの赤いボタンを押した事でロックが解除されたらしい、と踏んだニールはそのドアの先に進もうとしたのだが、彼の耳にその時バタバタと階段の下から何者かの足音が聞こえて来た。

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