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危害のないダンジョンです。潰さないでください。  作者: もりお


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9/10

階層を増やそう

さて、名前が決まったものの、まだこのダンジョンには何もない。


試しに生み出したモンスターも売っぱらってしまった。


じゃあ、次にすることは――


「よし、階層を増やそう。」


「よっしゃ来た!」


盛り上がる二人。


そこへ、


「あのー、私はもう帰りたいんですが……」


と、タルタルが口を挟んできた。


「ああ、そうだったな。んで、俺はどうすればいいんだ?」


「でしたら、この業務完了届にサインをいただきまして……はい。それから検査員の証明が必要ですので、今回はクロノス様にもサインをいただきまして……では、こちらが請求書になります。」


⸻


請求書


ハームレス

ダンジョンマスター 黎二 様


この度はワーキャット派遣サービスをご利用いただき、誠にありがとうございました。


業務の完了に伴い、下記のDPを請求いたします。


一金 100DP


以上


⸻


……まあ、ご丁寧なこと。


「確かに拝受した。んで、どうやって払うの?」


「ダンジョンマスターの機能からお支払いいただけたかと存じます。」


「【オープンリスト】」


メニュー

物品▼

工事▼

委託▼(完了していない業務があります)


ん、これだろうな……


委託から今回の業務まで進んでいくと……


ワーキャット派遣サービス

請求払い


あった。これを選んで……


ワーキャット派遣サービスに100DPを支払いますか?


YES/NO


じゃあ、YESを選んで……


払えたっぽいな。


残りのDPを見ると1087になっていて……


「あれ? 増えてる? なんで――」


「はい! 確かに受け取りました! では、失礼いたします~!」


タルタルは元気よく帰っていった。


だが、黎二の意識はまったくそちらへ向いていなかった。


「なあ、DP増えてんだけど!」


「ああ、そりゃ増えるだろ。冒険者が少なからず滞在したんだぞ。しかも、まあまあ高ランクだ。」


「それだけで二百DPくらい溜まったぞ。これは……いける!!」


楽しそうにする黎二を、クロノスはニヤニヤしながら眺めているだけだった。


___________


「さあ、早速階層を増やそう!!」


「めっちゃエネルギッシュじゃん。んで、どうやって増やすか知ってるのか?」


「え? リストで選べばポーンと増えるんじゃないの?」


「それはダンジョンの機能としてならあるな。ただ、お前はダンジョンの機能は使えないだろ?」


「え……でも、リストとかメニューとか使えるじゃねえか。」


少し震える声で尋ねると、返ってきた答えは非常に無情だった。


「あれはダンジョンマスター固有の能力。ダンジョンを改造したり、階層を増やしたりするのは、ダンジョンの能力をマスター権限で使用しているだけだ。」


「ってことは俺、階層を増やすには大掛かりな工事が必要ってことかよ。」


「そうなるな。んで、明日には冒険者の間で噂が広まるだろう。このダンジョンでは金になるモンスターが獲れるってな。」


「そうなると、冒険者は……」


「わんさか来るだろうな。」


「畜生!!」


「さあ、手腕の見せ所だぞ、ダンジョンマスター。」


「やってやる……なんとか生き延びてやる……」


黎二は早速手を打つことにした。


「まずはリストから委託、工事を開いて……」


委託▼

工事


「工事を選択……」


工事▼

修繕

建築


「さらに建築を選択……」


建築▼

モグラ工務店

ネズミ工業

ドワーフ興業


「時間が惜しい! モグラ工務店でいこう!」


⸻


モグラ工務店


地下仕事はお任せ。夜目が利くので三交代で作業します。


契約DP:100DP/1日


⸻


なかなか作業スピードは速そうだ。


ひとまずここに頼もう。


うむ、工期次第で最終的な請求額が変わる感じか。


お願いをしよう。


工事を発注しますか?


YES/NO


YESだ!


ここで悩んでいる時間はない!


召喚魔法陣が現れ、ヘルメットをかぶった者、メジャーを持った者、ツルハシを担いだ者など、さまざまな現場姿のモグラが五体現れた。


「おう、俺たちがモグラ工務店の現場作業員だ。どんな仕事をすればいい?」


「えー、皆様には地下の階層を増やしていただきます。ですが何よりも時間がありません。測量や設計をしている時間もないので、いきなり作業から始めていただきます。」


すると、モグラたちがざわついた。


「兄ちゃんよ。設計書も何もなしに俺たちに作れってのか。いい度胸してんな。俺たちはな、適当な仕事はしねえ。職人なんだ。」


「分かっています。皆様の目を見れば分かります。」


こういう町民も相手にしたことがある。


こういう人たちは、自分の仕事に誇りを持っている。


「皆様は穴を掘るのは得意ですか?」


「得意どころの話じゃねえよ。俺たちは、それができなきゃ成人と認められねえ。」


「なら、なおさら心強い。」


「まどろっこしいのは好きじゃねえ。単刀直入に言いやがれ。」


「皆様には穴を掘ってもらいます。広さ一万平方メートル、高さ二メートルの巨大な穴です。それを地下三階とします。広さ、高さ、そして安全性。この三つだけ満たしていただければ、他は何もいりません。」


「兄ちゃん、それは地下2階っていうより、ただの穴なんじゃねえか?」


「ええ、穴です。ただし、この大穴をこれから舗装したり、手を加えたりして、しっかりした部屋にしていきます。皆様にお願いしたいのは、完璧な穴を掘ることです。」


「はっはっは!! そりゃ考えたな、兄ちゃん。モグラに穴だけ掘らせて、あとは別に発注するってわけか。理にかなってるじゃねえか! それなら掘ってやるぜ、完璧な穴をよ!」


「はい! お願いします! 穴の出来栄え次第では、舗装工事などもお願いするかもしれませんよ?」


「気合も入るってもんよ。このモグラ工務店代表、コンスモールの名に懸けて、完璧な穴を掘ってやるよ!」

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