番外編 雨の日は傘をさして 香苗目線
読みやすさ向上のため、分割作業を行いました。
香苗が雨の中ブランコを漕ぐ数時間前。
コツコツ、と少しヒールのあるサンダルで少女―堀香苗は階段を登っていた。
キラキラと輝くイヤリングとお気に入りのセットアップを着こなした香苗は鼻歌混じりに重いドアを開く。重いドアの先にある廊下を少し歩いていくとすりガラスの扉があり、手慣れた様子でその横のインターホンを押した。
すりガラスの横の看板には【テント フリースクール】とデカデカと原色で印字されている。
(ビルの中なのに看板を置く意味ってなんなんだ?原色も趣味が悪いなー)
香苗はテントに来るたびに心でそうぼやく。すぐにドアが開かれ、眼鏡とマスクをした貴婦人が現れた。
「あら、香苗ちゃんいらっしゃいっ」
軽快な挨拶を繰り広げたのはテントのスタッフ都だ。アロマパッチが貼られたマスクとメガネを掛けていた。心理士資格と英語教員免許持ちというチート能力をもった都はパートではあるものの発言力を持っている。
「都さん、おはようー」
「もう、おはようじゃないけどね」
都は壁がけ時計を指差す。時刻は正午を回っていた。
「まだ、おはようです!」
香苗はノーブランドの黒いリュックを下ろすとごろりとソファに寄りかかる。ここのフリースクールはテントという名前なものの開放感ある一室だ。駅徒歩3分と非常にアクセスが良い。壁は一面ガラス張りになっていて外からは見えないが部屋からは下が見渡せる。
たまに、通っている子が駅前からでてきた人を見て「人がゴミのようだ」と言いスタッフに怒られている。
学校に通っていない・たまに行っているけどほぼ学校に行っていない、いわゆる【不登校生】そんな子がここに通っていた。いつ来ても大丈夫、何時に来ても大丈夫、小中学生誰でも来て大丈夫。それが【フリースクール テント】だ。
「正しくはGood afternoonだね」
ここぞとばかりに英語の勉強を差し込んでくる都。香苗はしかめっ面で返す。
ブーブーとポケットに突っ込んだスマホがバイブレーションする。取り出して件名を確認すれば、珍しく疎遠になった友人――由美からだった。
「かーなーえーちゃん?スマホ禁止!」
「ちょっとこれだけ」
お願い!と上目遣いでお願いすると都は控えめに頷く。香苗はメールを確認すると目を見開いた。
「涼花ちゃんが学校に行ってない?おっ!仲間発見」
かくして香苗は雨の中ブランコに乗ることになった。
本編の続きは次からになります!ぜひご覧いただけると幸いです♪
次は一話の続き鈴花のお家で叶えがおしゃべりするシーンです!
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