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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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第13/12話

登場人物


―第十二話・第十三話―



三神凌牙


LOOP世界へ送り込まれた一般男性。

セラの記憶と完全同期を始め、“今代のセラ”として覚醒していく。



セラ


幾度ものLOOPで戦い続けた存在。

三神の中に記憶と因果が流れ込んでいる。



終焉のセラ


“未来の三神”とも呼べる存在。

無数のLOOPの果てに絶望し、世界を終わらせようとしている。


管理者すら破壊できる規格外の力を持つ。



クロガミ


LOOPを維持してきた観測者。

終焉のセラの危険性を誰より理解している。



ララガミ


時の鐘を鳴らし、“存在しない門”を開いた少女。

クロガミを強く慕っている。



フィリア


鐘楼を守る少女。

崩壊寸前の世界でも、希望を捨てていない。



時頼の巫女


時間とLOOPを観測する最古の巫女。

終焉のセラの存在を知る数少ない人物。



管理者


LOOP世界を修正・排除する超越存在。

終焉のセラの出現により異常反応を起こす。



用語


時の鐘


LOOP・時間・世界線へ干渉する禁忌の鐘。

ララガミによって再び鳴らされた。



存在しない門


時の鐘によって開かれた異空間の門。

本来この世界には存在しないはずの領域へ繋がっている。



終焉のセラ


無数のLOOPの果てに生まれた“終わりの未来”。

世界そのものを終わらせようとしている。



FINAL EXECUTION


管理者による世界完全消去処理。

終焉のセラ出現後、制御不能状態へ移行する。

第十二話


―時の鐘―


世界が限界を迎えていた。


空は崩れ。


海は割れ。


LOOPは悲鳴を上げる。



その中心。


巨大な“目”。


世界全域を覆う存在。



管理者


完全顕現。



空に文字。



FINAL EXECUTION COMPLETE



処刑光が降り始める。


世界そのものを消す光。



鐘楼。


その前で。


黒翼を広げる男。



クロガミ


彼は空を見上げる。


静かに。



背後。



時頼の巫女



フィリア



そして。


三神凌牙


その瞳には。


もうセラの記憶が宿っていた。



空気が震える。


管理者が口を開く。


声ではない。


世界そのものへ響くノイズ。



異常観測体

クロガミ

排除開始



クロガミが笑う。


疲れた笑み。



「毎回それやな」


その瞬間。


黒い光。


処刑槍。


世界を貫く一撃。



クロガミが前へ出る。


黒翼展開。


空間防壁。



激突。


超爆発。


鐘楼が揺れる。



フィリア。


「クロガミ様!!」


クロガミ。


「まだや」


だが。


黒翼が崩れていた。


ノイズ化。


限界。



時頼の巫女が前へ出る。


時間停止結界。


時計展開。



「時間固定」


世界が止まる。


一瞬だけ。



管理者。


時間干渉確認

排除対象追加



時頼の巫女が目を細める。


「やはりそう来ますか」



その時。


三神の中で。


セラの記憶が完全覚醒。


炎。


仲間。


死。


祈り。


全部。



三神が前へ出る。



「……ここまでか?」


静寂。



クロガミは少し驚く。


セラの声だった。


完全に。



クロガミ。


「弱気やな」


三神。


「お前のせいだ」


クロガミ。


「せやな」


苦笑。



空が崩れる。


管理者の巨大な光が迫る。


もう避けられない。


終わり。


誰もがそう思った。



その時。


鐘の音。


カァァァン……


優しく。


だが。


世界全体へ響く音。



全員が振り返る。


鐘楼。


そこに立っていた少女。


黒い髪。


クロガミによく似た瞳。



ララガミ


彼女が。


“時の鐘”を鳴らしていた。



クロガミ。


「ララガミ!?」


ララガミは震えながら叫ぶ。



「終わらせない!!」


鐘が鳴る。


もう一度。


カァァァン!!



空間震動。


時間逆流。


LOOP暴走。



管理者の“目”が初めて揺れる。



UNKNOWN LOOP REACTION



時頼の巫女が目を見開く。



「まさか……」


フィリア。


「鐘が……!」



ララガミが涙を流しながら叫ぶ。



「開けぇぇぇ!!」


その瞬間。


空間が裂けた。


巨大な門。


黒と白の狭間。


時空の彼方。



“門”が開く。



クロガミの表情が消える。


驚愕。


本当に珍しく。



「なんでや……」


時頼の巫女が震える声で呟く。



「存在しないはずの門……」


管理者がノイズを発する。


空全体が揺れる。



そして。


門の奥。


誰かが立っていた。


影だけ。


姿は見えない。



だが。


その気配だけで。


世界が止まる。



クロガミが小さく呟く。



「……嘘やろ」

























第十三話


―門の向こう―


静寂。


誰も動けなかった。



空に開いた巨大な門。


黒と白が混ざり合う異空間。


そこから流れ出すのは。


神気でも。


魔力でもない。


“世界そのもの”の気配。



クロガミ は門を見つめていた。


顔色が悪い。


今までで一番。



「ありえへん……」


小さな声。



ララガミ は鐘の前で膝をついていた。


息が荒い。


時の鐘。


禁忌。


それを無理やり鳴らした代償だった。



フィリアが駆け寄る。


フィリア


「ララガミちゃん!!」


ララガミ。


「へーき……」


全然平気じゃない。


身体が透け始めている。



その時。


門の奥から足音。


コツ……


コツ……


空間そのものへ響く音。



管理者の“目”が激しくノイズ化する。



管理者


UNKNOWN EXISTENCE

ERROR

ERROR



時頼の巫女が息を呑む。


時頼の巫女


「管理者が……恐れている?」


ありえない。


超越存在が。


“恐怖”を見せている。



そして。


影が門から現れる。


長い外套。


白銀の髪。


顔は見えない。


だが。


その右目だけが赤く光っていた。



三神の中で。


セラの記憶が暴走する。



炎。


鐘。


絶望。


そして。


何度も。


何度も。


この人物へ手を伸ばしていた記憶。



三神凌牙


「……誰だ」


影が止まる。


ゆっくり顔を上げる。



その瞬間。


クロガミが叫んだ。



「見るな!!」


遅かった。



三神は“顔”を見てしまう。


そして凍りつく。



そこにいたのは。


自分だった。



いや。


違う。


似ている。


だが。


もっと冷たい。


もっと壊れた瞳。



影が口を開く。



終焉のセラ


「久しぶりだな」


「クロガミ」


世界停止。



フィリア。


「セ……ラ様?」


ララガミが震える。



クロガミは苦しそうに笑った。



「最悪や」


「一番来たらアカン奴や」



終焉のセラが周囲を見る。


崩壊した空。


管理者。


鐘楼。


全てを。



そして。


静かに笑う。



「まだ続いていたのか」


その笑み。


優しく見える。


なのに。


絶望的だった。



管理者が空を埋め尽くす。



IRREGULARITY MAXIMUM

WORLD RESET REQUIRED



終焉のセラが空を見る。


面倒そうに。



「うるさい」


その一言。


瞬間。


空の“目”に巨大な亀裂。



全員。


「!?」


管理者が初めて悲鳴のようなノイズを出す。



クロガミ。


「やめろ!!」


終焉のセラ。


「何故?」


静かな声。



「もう壊せばいい」


世界が凍る。



「こんな世界」


「何度繰り返しても救えない」


三神が前へ出る。


震えながら。



「……お前は誰だ」


終焉のセラが三神を見る。


同じ顔。


違う瞳。



「お前の未来だ」


静寂。



クロガミ。


「言うなや……」


終焉のセラ。


「事実だ」



ララガミが叫ぶ。



「違う!!」


涙。



「パパは諦めてない!!」


終焉のセラが初めてララガミを見る。


少しだけ。


本当に少しだけ。


悲しそうに。



「……まだいたのか」


その言葉に。


クロガミの顔色が変わる。



時頼の巫女が前へ出る。



「終焉のセラ」


「あなたは何をしに来たのです」


静寂。



終焉のセラは答える。


ゆっくり。


絶対零度みたいな声で。



「終わらせに来た」

―14の文字時計―


静かな部屋。


誰もいない。


古びた時計だけが置かれていた。



その時計には。


普通の数字がなかった。



Ⅳ……


ではない。



時計盤に刻まれていたのは。


“十四の文字”。


誰も読めない文字列。


古代語。


それとも。


LOOP以前の言葉。



カチ……


カチ……


針が動く。


だが。


逆だった。



右から左へ。


時間を巻き戻すように。


ゆっくり。


静かに。



その時計を見つめる人物。



時頼の巫女


彼女は珍しく険しい顔をしていた。



「逆回転が始まった……」


静寂。



背後。


缶コーヒー。


おなじみ。



クロガミ


「まだ動いとったんか」


時頼の巫女。


「本来なら止まっているはずでした」


クロガミが時計を見る。


その瞬間。


彼の笑みが消える。



針が。


“14”を指していた。



クロガミ。


「……嘘やろ」


時頼の巫女。


「私も見たのは初めてです」


時計が鳴る。


ギギ……


嫌な音。



すると。


十四文字の一つが赤く光る。



クロガミが舌打ちする。



「最悪や」


時頼の巫女。


「知っているのですか」


クロガミは答えない。


珍しく。


本当に珍しく。


目を逸らした。



その時。


部屋へ飛び込んでくる。



三神凌牙


「また何か始まった!?」


通常営業。



三神が時計を見る。


首を傾げる。



「何これ」


「中二病時計?」


クロガミ。


「殴るぞ」



時頼の巫女。


「これは“終末時計”」


「世界の終わりまでを刻む時計です」


三神。


「待って」


「サラッと怖いこと言わないで」



カチ……


逆回転。


止まらない。



その瞬間。


時計の中心。


黒いヒビ。


空間亀裂。



三神。


「うわぁぁぁまた門!?」


クロガミ。


「違う」


静かな声。


重い声。



「これは門やない」


時計が鳴る。


ゴォォォン……


低い音。



十四文字が全て発光。


部屋が赤く染まる。



時頼の巫女が小さく呟く。



「来ます」


三神。


「何が!?」


クロガミが時計を睨む。


そして。


苦しそうに言った。



「“最初の観測者”や」

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