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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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第11話

登場人物


―第十一話:時頼の巫女―



三神凌牙


LOOP世界へ送り込まれた一般男性。

“今代のセラ”として覚醒し始めている。



セラ


幾度ものLOOPで死と崩壊を繰り返してきた存在。

三神へ記憶と因果が流れ込んでいる。



クロガミ


LOOPを維持してきた観測者。

長い孤独の末、初めて“助け”を求めた。



フィリア


鐘楼を守る少女。

クロガミを救うため、鐘の結界で彼を拘束する。



時頼の巫女


時間とLOOPを観測する最古の存在。

管理者すら警戒する超越的巫女。


クロガミとは古い因縁を持つ。



管理者


世界修正を行う超越存在。

“FINAL EXECUTION”を開始し、LOOP世界の完全消去を進める。



用語


時頼の巫女


時間観測を司る最古の巫女。

LOOPそのものへ干渉可能な特殊存在。



時間観測


過去・現在・未来を同時認識する能力。

LOOP変動や世界崩壊すら感知できる。



FINAL EXECUTION


管理者による最終処刑段階。

世界・LOOP・観測者を完全消去するための終末処理。

第十一話


―時頼の巫女―


世界が止まりかけていた。


空は赤黒く染まり。


海は静止し。


時間そのものが軋んでいる。



鐘楼。


祈りの結界。


その中心で。


フィリア は立っていた。


震えながら。


それでも退かない。



背後。


拘束されたままの。


クロガミ


彼は空を見上げる。


巨大な“目”。


管理者。


完全処刑形態。



管理者


空に文字。



EXECUTION PHASE 2



クロガミ。


「最悪やな」



その時だった。


鐘楼の空間が揺れる。


違う。


“時間”が揺れた。



カチ……


カチ……


時計の音。


どこからともなく響く。



フィリアが顔を上げる。


クロガミの表情が変わる。


珍しく。


本当に珍しく。


驚いていた。



「……まさか」


空間が裂ける。


だが。


そこから現れたのは破壊ではなかった。



無数の時計。


止まった時間。


白銀の光。



その中心に。


一人の女性。



長い銀髪。


蒼い瞳。


白い巫女装束。


時間そのものみたいな静かな存在感。



時頼の巫女


彼女が現れた瞬間。


世界の崩壊が一瞬止まった。



フィリア。


「……誰?」


クロガミが小さく呟く。



「生きとったんか」


時頼の巫女は静かに歩く。


足音すらない。



そして。


クロガミを見る。


まっすぐ。



「久しぶりですね」


「クロガミ」


静寂。



クロガミ。


「何百年ぶりやろな」


フィリア。


「知り合いなんですか……?」


クロガミ。


「まぁな」


「最悪の古株や」



時頼の巫女は鐘へ触れる。


優しく。



カァァァン……


鐘が鳴る。


だが。


今までと違う。


時間そのものへ響く音。



空の“目”が揺れる。


管理者が初めて反応した。



UNKNOWN TEMPORAL ENTITY DETECTED



時頼の巫女。


「遅かったですね」


管理者へ向けた言葉。


まるで対等。



フィリアが息を呑む。


クロガミは苦笑する。



「相変わらず怖いなぁ」


時頼の巫女は無視。


そして。


三神を見る。


いつの間にか鐘楼へ辿り着いていた。



三神凌牙


彼女は静かに言う。



「あなたが今代のセラ」


三神。


「今代……?」


時頼の巫女。


「何度も失敗した」


「何度も死んだ」


「何度も世界を壊した」


静寂。



「ですが」


彼女の瞳が少しだけ優しくなる。



「今回は違う」


クロガミが目を細める。



時頼の巫女。


「なぜなら」


「クロガミが“助けを求めた”から」


空気が止まる。



フィリア。


三神。


二人とも驚く。



クロガミは頭を掻く。


珍しく気まずそうに。



「……ノーカンやろあれ」


フィリア。


「カウントです」


即答。



時頼の巫女が小さく笑う。


初めてだった。



その瞬間。


管理者の“目”が完全展開。


世界全域へ処刑光が降り始める。



FINAL EXECUTION



クロガミ。


「雑談終わりやな」


時頼の巫女は静かに前へ出る。



「では始めましょう」


「最後のLOOPを」

―時頼の巫女の祈り―


静かな夜。


鐘楼。


雨は止み。


世界は少しだけ落ち着いていた。



無数の時計。


止まった針。


その中心で。


時頼の巫女 は一人座っていた。


目を閉じ。


静かに祈っている。



カチ……


カチ……


時計の音だけが響く。



そこへ。


缶コーヒーを持った男。



クロガミ


「珍しいな」


「アンタが祈るとか」


時頼の巫女は目を開けない。



「祈りますよ」


「私も」


静かな声。



クロガミは壁にもたれる。


少し疲れた顔。



「未来見えるんやろ」


「なら結果も分かっとるはずや」


時頼の巫女。


「見える未来と」


「辿り着く未来は違います」


静寂。



鐘が鳴る。


カァァァン……


優しい音。



時頼の巫女が小さく呟く。



「昔」


「あなたはもっと笑っていました」


クロガミ。


「やめぇや」


時頼の巫女。


「セラも」


「ポセイドンも」


「皆いた」


クロガミは苦笑する。



「昔話は嫌いや」


だが。


否定はしなかった。



時頼の巫女は空を見る。


赤く歪む世界。


崩壊寸前の空。



「それでも」


「今回は少し違う」


クロガミ。


「何がや」


彼女は小さく笑う。


本当に少しだけ。



「あなたが諦めていない」


静寂。



クロガミは何も言わない。


ただ。


鐘を見つめていた。



時頼の巫女。


「だから私も祈ります」


「最後まで」


「誰も消えない未来を」


時計が動き出す。


止まっていた針。


一斉に。



カチ……


カチ……


カチ……



クロガミは目を細める。


少しだけ。


本当に少しだけ。


救われたように笑った。



その時。


遠くから。



三神凌牙


「また世界壊れかけてるぞぉぉ!!」



時頼の巫女。


「早かったですね」


クロガミ。


「通常営業や」



空。


巨大な“目”。



管理者


全員。


「あ」

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