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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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第10話

クロガミ

第十話


―フィリア VS クロガミ―


雨だった。


冷たい雨。


海上帝国を静かに濡らしていた。



鐘楼。


祈りの鐘。


その前で。


フィリア は立っていた。


一人で。



鐘は鳴らない。


静まり返っている。


それが逆に不気味だった。



背後。


足音。


コツ……


コツ……



黒コート。


黒翼。


疲れた笑み。



クロガミ


彼はフィリアを見る。


静かに。



「こんな時間に珍しいな」


フィリアは振り返らない。



「……クロガミ様」


声が震えていた。



クロガミ。


「何や」


静寂。


雨音だけが響く。



フィリア。


「どうして」


「全部隠してるんですか」


空気が変わる。



クロガミの笑みが少し消える。



「何の話や」


フィリアが振り返る。


涙目だった。



「もう限界なんでしょう!?」


叫び。


鐘楼が揺れる。



「LOOPも!」


「世界も!」


「クロガミ様自身も!!」


クロガミは黙る。



フィリアが前へ出る。



「どうして誰にも頼らないんですか!」


「どうして一人で壊れようとするんですか!!」


雨が強くなる。



クロガミ。


「……慣れとる」


フィリア。


「そんなの理由になりません!!」


轟音。



その瞬間。


フィリアの身体から光。


鐘の力。


祈りの魔力。



クロガミが目を細める。


「おい」


フィリア。


「止めます」


クロガミ。


「何をや」


フィリアが涙を流す。



「クロガミ様をです!!」


空間震動。


鐘が鳴る。


カァァァン!!



巨大な結界。


鐘楼全体を覆う。



クロガミ。


「……マジか」


フィリア。


「もう無理なんです」


「クロガミ様は」


「自分を消そうとしてる」


静寂。



クロガミは苦笑する。



「バレとったか」


フィリア。


「当たり前です!!」


涙。


怒り。


悲しみ。


全部混ざっていた。



「ずっと見てたんです!!」


「セラ様が死ぬたび!」


「世界が壊れるたび!」


「クロガミ様だけが残って!!」


鐘の光が強くなる。



「だから!!」


「今回は絶対に!!」


フィリアが両手を広げる。



「消えさせません!!」


その瞬間。


鐘の結界がクロガミを拘束する。


黒翼停止。


空間固定。



クロガミ。


「うわ」


「久々に効いた」



フィリア。


「三神様が来るまで」


「ここから出しません」


クロガミ。


「監禁やん」


フィリア。


「はい」


即答。



クロガミが吹き出す。


少しだけ。


本当に少しだけ。


楽しそうに。



「強なったなぁ」


フィリアは泣きながら叫ぶ。



「強くならないと!」


「みんな守れないから!!」


その瞬間。


空が割れた。


巨大な“目”。



管理者


完全展開。



空に文字。



KUROGAMI DETECTED

EXECUTION RESTART



クロガミ。


「……来よったな」


フィリアは震えながらも前へ立つ。



「絶対に渡しません」


小さな身体。


だが。


決して退かない。



クロガミはその背中を見る。


静かに。


そして。


少しだけ寂しそうに笑った。



「ほんま」


「お前ら似てきたな」


その視線の先。


三神凌牙が鐘楼へ走っていた。

フィリア

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