第六十二話:
登場人物
―第六十二章:駄口―
三神凌牙
年齢三十七歳。
LOOP後の世界で違和感を覚え続ける男。
敗北した世界の記憶を断片的に保持している。
“何度も繰り返されている”ことを察し始める。
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ワダ
喫茶店で働く謎の人物。
正体を隠して三神を観測していた。
LOOPに深く関わる存在。
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駄口
ワダの正体。
未来の ララガミ に近い別世界線存在。
“記録係”として無数の敗北世界を観測している。
クロガミ崩壊の危険性を知る人物。
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ララガミ
未来世界から来た少女。
駄口と同系統存在であり、多数の世界線に関連していることが示唆される。
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クロガミ
LOOPを支える“支柱”のような存在。
崩壊が進行している。
彼が完全に壊れた時、全LOOP世界へ影響が及ぶ。
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セラ
LOOP後の世界で微かな記憶を持ち始める。
複数世界線で“敗北”を繰り返している存在。
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用語
LOOPの扉
世界を巻き戻す因果逆流装置。
複数世界線を繋ぐ境界。
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記録係
LOOP世界を観測・記録する役割。
駄口はその担当者の一人。
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世界線観測
敗北した未来や消滅した歴史を記録する行為。
観測者は通常世界の外側に存在する。
第六十二章:駄口
―LOOPの向こう側―
雨だった。
冷たい雨。
見覚えのある街。
見覚えのある交差点。
セラは立ち尽くしていた。
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「……戻った」
LOOP。
敗北した世界。
壊れた未来。
全部。
無かったことになっていた。
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だが。
記憶だけが微かに残っている。
夢みたいに。
頭の奥で軋んでいた。
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その頃。
別の場所。
薄暗い喫茶店。
一人の男がコーヒーを飲んでいた。
年齢、三十七。
独身。
恋人なし。
友人も少ない。
誰にも求められず、誰にも選ばれなかった男。
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三神凌牙
彼は窓の外を見る。
そして。
ぽつりと呟いた。
「……また始まったか」
その声は。
全てを知っているようだった。
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店員がコーヒーを置く。
黒髪。
眠そうな目。
無愛想。
名札。
ワダ
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ワダ
「顔怖いですよ」
三神は苦笑する。
「生まれつきだ」
ワダは勝手に向かいへ座った。
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「今回も失敗ですか」
三神が目を細める。
「見てたのか」
「まあ」
ワダは静かにコーヒーを飲む。
そして。
低く呟いた。
「管理者は強すぎる」
空気が変わる。
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三神。
「お前」
「何者だ」
ワダは少し笑った。
「今さらですか?」
その瞬間。
店内の時間が止まる。
雨も。
時計も。
音も。
全部停止。
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三神だけが動けた。
「……ッ!?」
ワダの姿が揺れる。
黒いノイズ。
崩れる輪郭。
そして。
その背後に現れる巨大な扉。
LOOP
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三神が立ち上がる。
「お前まさか……!」
ワダは立つ。
もう笑っていなかった。
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「ワダは仮名です」
黒い光。
空間歪曲。
店が崩れる。
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「本当の名前は――」
LOOPの扉がゆっくり開く。
眩い光。
その奥に。
一人の女性。
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長い黒髪。
赤い瞳。
クロガミによく似た笑み。
だが。
ララガミより大人びていた。
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駄口
「久しぶりね」
静かな声。
三神の顔色が変わる。
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「……ララガミ?」
女性は小さく笑う。
「半分正解」
「私は未来のララガミ」
「別世界線の観測者」
空気が凍る。
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駄口はLOOPの扉にもたれかかる。
「世界線ごとに役割が違うの」
「私は“記録係”」
三神。
「記録係……」
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駄口は淡々と続ける。
「あなたたちが敗北した世界」
「壊れた未来」
「消えたセラ」
「全部、見てきた」
その瞳には。
何百回もの絶望が映っていた。
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三神が低く言う。
「……何回繰り返した」
駄口は少し黙る。
そして。
静かに答えた。
「もう数えてない」
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LOOPの扉が軋む。
向こう側。
無数の世界。
無数の敗北。
無数の死。
全部見えていた。
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駄口の笑みが消える。
「時間がない」
三神が息を呑む。
駄口は真っ直ぐ彼を見る。
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「今回のLOOP」
「今までと違う」
「クロガミが壊れ始めてる」
静寂。
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三神。
「それがどうした」
駄口。
「クロガミはLOOPの支柱なの」
「彼が完全に壊れたら――」
LOOPの向こう側。
無数の世界が砕ける。
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「全部終わる」
その瞬間。
世界のどこかで。
再びLOOPの扉が開いた。
―ワダと駄口の通販番組―
♪テレレレッテレー♪
謎の明るいスタジオ。
背景キラキラ。
なぜか拍手SE。
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机の前に立つ二人。
ワダ
と。
駄口 。
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ワダ。
「さぁ始まりました」
「深夜三時の怪しい通販コーナー」
駄口。
「今日はこちらです」
バン!!
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机の上。
黒い扉。
小さいLOOP。
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『お手軽LOOPの扉』
観客拍手。
\パチパチパチ!!/
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ワダ。
「なんとこちら」
「ボタン一つで世界巻き戻し可能」
駄口。
「失敗した人生も安心ですね」
怖い。
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映像。
会社員。
「プレゼン失敗したぁぁ!!」
ポチ。
LOOP。
朝に戻る。
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会社員。
「やり直せた!!」
観客。
\おおおお!!/
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ワダ。
「さらに!」
「黒ガミコーティング搭載!」
駄口。
「世界崩壊耐性が違います」
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その時。
スタジオ乱入。
クロガミ
「勝手にワシの名前使うな!!」
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駄口冷静。
「安心してください」
「本人監修です」
クロガミ。
「してへん!!」
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ワダ。
「しかも今なら」
「ララガミ特製“未来警告メモ帳”付き」
駄口。
「死亡フラグを事前察知できます」
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焔牙が後ろで叫ぶ。
焔牙
「欲しくねぇ!!」
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さらに。
画面下テロップ。
※使用しすぎると存在が壊れる場合があります
クロガミ。
「重要事項軽く流すな!!」
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駄口が笑う。
「でも便利ですよ?」
ワダも頷く。
「三回までなら大丈夫です」
クロガミ。
「回数制限あるんかい!!」
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その時。
後ろのミニLOOPが暴走。
空間歪曲。
スタジオ崩壊。
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駄口。
「返品不可です」
ワダ。
「保証対象外ですね」
クロガミ。
「終わっとる!!」
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最後。
画面いっぱいに文字。
『あなたの人生、巻き戻します』
クロガミ。
「怖い通販やめぇ!!」




