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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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第五十六話:

―六居館、緊急会議―


場所。


神の滝居館。


巨大な円卓。


重苦しい空気。


六居館の当主たちが集結していた。



お館様

静かにお茶を飲む。



アポローン

椅子が燃えてる。


「暇だな」


「燃やすな」


即注意。



トリードン

なぜか水槽持参。


魚泳いでる。


誰も触れない。



ゲッセンカ

静か。


怖い。


誰も逆らわない。



ライコウカ

ずっとバチバチしてる。


静電気が痛い。



そして。


最後。


黒い影から現れる。


夜叉姫


部屋の温度が下がる。


クロガミ小声。


「来よった……」



円卓中央。


半透明状態の クロガミ 。


司会役。


なぜ。



クロガミが咳払い。


「えー」


「本日の議題は」


紙を見る。


「管理者について」


全員真顔。


クロガミ。


「と」


紙めくる。


「会議後の晩飯」


空気壊れる。



ライコウカ。


「帰っていいか」


アポローン。


「鍋がいい」


トリードン。


「魚料理を推す」


ゲッセンカ。


「静かな店なら」


夜叉姫。


「何でも」


お館様。


「若い者に任せる」


クロガミ。


「会議進まへん」



その時。


焔牙の声。


焔牙


「お前ら世界の危機だよな?」


全員。


少し黙る。



クロガミ真顔。


「せやで」


「せやけどな」


笑う。


「飯は大事や」


焔牙。


「ダメだこいつら」



その頃。


遠くで セラ が目を覚ましかけていた。


まだ誰も知らない。


本当の戦いが始まることを。

第五十六章:黒翼の観測者


―黒翼の黒居館―


闇だった。


光がない。


空も。


地面も。


音すら黒い。


世界そのものが“塗り潰されている”。


そこに存在する巨大な居館――


黒翼の黒居館こくよくのくろやかた


六居館最後の領域。


影と観測を司る、最も異質な居館。


そして。


クロガミに最も近い場所。



白都一行は立ち止まっていた。


誰も踏み込めない。


寒いわけではない。


怖いわけでもない。


なのに。


本能が拒絶している。



鳥羽姫 が呟く。


「……何ですかここ」


返事はない。


珍しく。


クロガミ が黙っていた。



焔牙が眉をひそめる。


焔牙


「おい」


「お前が黙るとか逆に怖ぇぞ」


クロガミは黒い居館を見る。


そこには。


巨大な“目”の紋章。


観測者の印。



「……帰りたいわ」


クロガミがそう言った瞬間。


空気が止まる。


鳥羽姫が目を見開く。


「え?」


焔牙ですら驚く。


「お前が?」


クロガミは笑わない。


「ここ嫌いやねん」


その声だけで。


この場所の異常さが分かった。



ギィィ……


居館の門が、ひとりでに開く。


真っ暗。


奥が見えない。


だが。


“誰か”がいる。


見られている。


全員が同時に理解した。



その時。


声。


静かな女の声。


「久しぶりですね」


黒の奥から、一人の女性が現れる。


長い黒髪。


漆黒の着物。


白い肌。


赤い瞳。


歩くたび、影が増えていく。


夜叉姫


彼女が現れた瞬間。


空間そのものが“観測”された。



鳥羽姫が息を呑む。


「この人……」


圧が違う。


いや。


存在感そのものが違う。


まるで。


“物語の外側”に立っている。



夜叉姫はクロガミを見る。


静かに。


まっすぐ。


「まだ消えていないのですね」


クロガミが肩をすくめる。


「しぶといんや」


「知っています」


夜叉姫は少し笑った。


その笑顔が。


怖い。



焔牙が剣へ手をかける。


だが。


動けない。


影。


足元から無数の黒い手。


「っ!?」


焔牙が驚く。


夜叉姫は淡々と言う。


「ここでは」


「影が先に動きます」



鳥羽姫が後退る。


だが。


自分の影がこちらを見ていた。


「……え?」


影が笑う。


鳥羽姫と同じ顔で。



クロガミが頭を押さえる。


「うわぁ……」


「それやめぇや」


夜叉姫。


「面白いでしょう?」


「趣味悪いわ」



黒翼の黒居館内部。


そこには無数の“目”が浮いていた。


壁。


床。


天井。


全部が見ている。


観測している。


記録している。



焔牙が低く呟く。


「何なんだここは」


夜叉姫は静かに答えた。


「世界の裏側です」


「消された物語」


「忘れられた存在」


「書き換えられた未来」


「全部ここへ落ちる」


空気が凍る。



クロガミが目を細める。


「……まだ残しとったんか」


夜叉姫。


「あなたが捨てたのでしょう?」


その瞬間。


空間が揺れる。


黒いノイズ。


そして。


壁いっぱいに映し出される映像。



幼いクロガミ。


笑っていた。


誰かと一緒に。


今とは違う顔で。


鳥羽姫が息を呑む。


「これ……」


クロガミが即座に影を潰す。


バキィ!!


映像消滅。



沈黙。


夜叉姫が静かに見る。


「見られたくありませんか」


クロガミは笑う。


だが。


目だけ笑っていない。


「過去なんて」


「大体ロクでもないやろ」



その時だった。


黒翼の黒居館全体が揺れる。


ゴゴゴゴ……


空間に亀裂。


巨大な“目”。


管理者


「――最終観測領域確認」


夜叉姫の笑みが消える。


クロガミの顔色も変わる。



黒い空が裂ける。


無数の観測線。


世界を書き換える光。


焔牙が叫ぶ。


「来るぞ!!」


その瞬間。


夜叉姫が手を上げた。


影が世界を覆う。


黒。


黒。


黒。


全部が黒へ染まる。



夜叉姫は静かに告げた。


「ようこそ」


「物語の外側へ」


その瞬間。


全員の視界が、“反転”した。

―会議終了後―


結果。


晩飯は鍋になった。



アポローン。


火力担当。


鍋大炎上。



ポセイドン乱入。


「魚追加や!」


海鮮鍋化。



ライコウカ。


雷でIH代用。


「便利すぎるだろ!」



ゲッセンカ。


静かに取り皿配布。


一番常識人。



夜叉姫。


なぜか隣に座るだけで寒い。


鍋が冷める。



クロガミ。


「六居館仲良しやなぁ」


全員。


「違う」


即答だった。

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