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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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第五十四話:

登場人物


―第五十四章:月下に映る未来―


ゲッセンカ


月天の月居館を治める当主。

幻術・未来視・夢を司る月の観測者。


静かで穏やかな女性だが、その瞳は無数の未来を映している。

見る者へ未来を流し込み、精神へ干渉する力を持つ。


⸻


クロガミ


“外側”を知る観測者。

月天の月居館だけは苦手としており、ゲッセンカとも古い因縁を持つ。


未来視によって“最悪の未来”を見せられる。


⸻


鳥羽姫


白都の姫君。

ゲッセンカの未来視によって、自身の消滅する未来を目撃してしまう。


⸻


焔牙


セラの右腕。

月天の月居館の幻術に苦戦する。


未来の可能性に存在する“闇堕ちしたセラ”の姿を目撃する。


⸻


セラ


現在は昏睡状態。

しかし月天の月居館では、“無数の未来の姿”として観測される。


その未来は神にも怪物にもなり得る。


⸻


管理者


未来観測領域へ侵食を始める絶対存在。

満月そのものへ干渉し、未来の破壊を試みる。


⸻


用語


月天の月居館(げってんのつきやかた)


六居館の一つ。

幻術と未来視を司る月夜の居館。


永遠の夜と巨大な満月に包まれており、現実と夢の境界が曖昧になっている。


⸻


未来視


可能性世界を観測する能力。

月天の月居館では、複数の未来を同時に見ることが可能。


ただし精神への負荷が非常に大きく、“見すぎた者”は壊れるとも言われている。

第五十四章:月下に映る未来


―月天の月居館―


夜だった。


永遠に。


空には巨大な満月。


雲一つない。


風すら静か。


音の存在しない世界。


そこに浮かぶ白銀の居館――


月天の月居館(げってんのつきやかた)


六居館の一つ。


幻術と未来視を司る、月夜の神域。


⸻


白い石畳を歩きながら、 鳥羽姫 は空を見上げていた。


「……綺麗」


だが。


どこかおかしい。


月が近すぎる。


まるで見られているようだった。


⸻


隣を歩く 焔牙 が眉をひそめる。


「気味悪ぃなここ」


「静かすぎる」


その時。


後ろから半透明状態の クロガミ 。


「月はな」


「静かなほど怖いんや」


珍しく真面目だった。


⸻


鳥羽姫が振り返る。


「クロガミ?」


クロガミは月を見る。


笑っていない。


「ここだけは嫌いや」


空気が冷える。


⸻


その瞬間。


カラン……


鈴の音。


月光の奥から、一人の女性が歩いてくる。


白銀の髪。


蒼い瞳。


月のような白装束。


歩くたび、床へ花びらが舞う。


圧倒的静寂。


ゲッセンカ


彼女が現れた瞬間。


空間が“夢”へ変わる。


⸻


焔牙が剣へ手をかける。


「……強ぇ」


ゲッセンカは静かに笑う。


「炎の子」


「怒りすぎると、未来を焼いてしまいますよ」


焔牙が眉をひそめる。


「何だと」


⸻


鳥羽姫は息を呑む。


目を合わせた瞬間。


“映像”が流れ込んできた。


崩壊する白都。


泣くセラ。


血塗れの焔牙。


そして。


消えていく鳥羽姫自身。


⸻


「っ……!」


鳥羽姫が膝をつく。


クロガミが即座に支える。


「見るな!」


その声は本気だった。


⸻


ゲッセンカは静かに目を閉じる。


「月は未来を映します」


「見える者ほど壊れる」


その言葉に。


クロガミの顔色が変わる。


⸻


焔牙が怒鳴る。


「てめぇ!」


だが。


剣が止まる。


いつの間にか。


焔牙は“月の海”に沈んでいた。


幻術。


現実感が消える。


⸻


ゲッセンカは静かに歩く。


「ここでは、現実と夢の境が曖昧なのです」


「未来も」


「過去も」


「あなた自身も」


月光が揺れる。


⸻


クロガミが低く言う。


「相変わらず性格悪い幻術やな」


ゲッセンカは少しだけ笑う。


「あなたほどではありません」


「褒め言葉やな」


⸻


その時だった。


満月に“ヒビ”が入る。


パキッ。


空気が凍る。


鳥羽姫が空を見る。


「月が……!」


裂ける満月。


その向こう。


巨大な“目”。


管理者


「――未来観測領域確認」


月が黒く染まる。


⸻


ゲッセンカの瞳が冷たく変わる。


「無粋ですね」


その瞬間。


月天の月居館全体が発光する。


無数の未来。


可能性。


夢。


悪夢。


全てが空へ浮かぶ。


⸻


焔牙が息を呑む。


「なんだこれ……!」


そこには。


無数の“未来のセラ”がいた。


笑うセラ。


死ぬセラ。


闇へ落ちるセラ。


神になるセラ。


全部違う。


全部本物。


⸻


鳥羽姫が震える。


「こんな未来……」


ゲッセンカは静かに告げた。


「未来は一つではありません」


「ですが――」


その瞳がクロガミを見る。


「最悪の未来だけは、近づいている」


静寂。


クロガミが月を見る。


珍しく。


本当に珍しく。


笑わなかった。


⸻


その瞬間。


満月が完全に割れた。


そして。


“月の中”から、何かがこちらを見返していた。

―クロガミホット一息 ヒーロー編―


夜。


どこかの路地裏。


突然、爆発。


ドカァァン!!


悲鳴。


「きゃあああ!!」


そこへ。


マントを翻しながら現れる黒い影。


\デデーン!!/


⸻


クロガミ


「待たせたな!」


「闇夜のヒーロー!」


「クロガミマン参上や!!」


ポーズ決める。


無駄にカッコいい。


⸻


その瞬間。


後ろから声。


「何してんだお前」


振り返る。


そこには呆れ顔の 焔牙 。


クロガミ真顔。


「ヒーロー活動や」


「やめろ」


⸻


そこへ。


なぜか悪役っぽい格好の ポセイドン 登場。


「フハハハハ!!」


「この街はワシが支配する!!」


焔牙。


「何でノリノリなんだよ」


⸻


クロガミが指差す。


「来たな悪の帝王!」


ポセイドン。


「今日は海水撒き散らかすぞ!」


「地味やな悪事が」


⸻


さらに。


空から炎と共に降りてくる男。


アポローン


「太陽戦士サンフレイム!!」


焔牙、頭抱える。


「増えた……」


⸻


アポローンが決めポーズ。


背景爆発。


無駄に派手。


クロガミ拍手。


「ええやん!」


ポセイドン。


「なんでお前ヒーロー側やねん!」


⸻


その時。


静かに現れる白銀の女性。


ゲッセンカ


「月影の戦士」


「ムーンゲッセンカです」


焔牙。


「一番ちゃんとしてる!」


⸻


クロガミが頷く。


「やっぱ月担当はクールやな」


ゲッセンカ。


「帰ります」


「早い早い!」


⸻


そこへ。


上空に巨大な“目”。


管理者


「――世界修正開始」


街が震える。


空が裂ける。


クロガミがマント翻す。


「来たなラスボス!」


ポセイドン。


「テンション上がっとるやん」


⸻


クロガミが叫ぶ。


「みんな!!」


「いくでぇぇぇ!!」


全員。


「おぉぉぉ!!」


⸻


五秒後。


大爆発。


ドゴォォォン!!


煙。


崩壊。


吹き飛ぶクロガミ。


⸻


焔牙。


「弱ッ!!」


クロガミ瓦礫から親指立てる。


「ヒーローは最後まで諦めへんのや……」


ポセイドン。


「ただの事故やろ」


⸻


その頃。


遠くから見ていた 鳥羽姫 が一言。


「……本編でもちゃんとして下さい」


全員、少しだけ黙った。

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