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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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50/70

特別枠:

これは、本編の激しい戦乱より少し前――

束の間の平和が訪れた日の物語。


鳥羽姫 と 美兎姫 が、何故か巨大な箱――“コンテナ”の前で立ち尽くしていた。


その中には、未来を告げるという奇妙な魚がいるらしい。


そして案内役は、あの小さな黒鴉であった。

特別枠


―鳥羽姫と美兎姫 お茶会で未来予言者―


春の午後。


鴉天狗の国と白翼の国の境にある、静かな離宮庭園。


花びらが舞い、澄んだ池には鯉が泳ぎ、風はやわらかい。


その東屋にて、二人の姫君が向かい合っていた。


鳥羽姫


美兎姫


机には香り高い茶と、色鮮やかな菓子。


本来なら優雅な時間――のはずだった。



「……美兎姫」


鳥羽姫が静かに湯呑みを置く。


「その水晶玉は何ですか」


美兎姫はにこやかに答えた。


「未来を見る道具です」


「どこで手に入れたのです」


「怪しい行商人から」


「捨てなさい」


即答だった。



しかし美兎姫は嬉しそうに玉を撫でる。


「ですが見えるのです」


「未来が」


鳥羽姫は頭を押さえた。


「また始まりましたか」


「今回は本物です」


「前回も“明日、空から巨大な桃が降る”と言って外れました」


「惜しかったです」


「何も惜しくありません」



美兎姫は玉へ手をかざす。


すると白い煙が立ちのぼる。


「見えます……見えます……」


鳥羽姫が嫌な顔をする。


「ろくでもない予感しかしません」


美兎姫、ぱっと目を開く。


「セラ殿が将来――」


鳥羽姫の姿勢が少しだけ正される。


「……続けなさい」


「巨大な魚と戦っています」


沈黙。


「それは今でもやりそうですね」



再び煙が渦巻く。


「さらに見えます!」


「セラ殿、甘味処で団子を三本食べています!」


鳥羽姫の目が細くなる。


「……誰とです」


「左右に美女が二人」


東屋の空気が凍る。


「水晶玉を割ります」


「待ってください!」



その時、庭の隅から小さな笑い声。


黒い羽根が舞い、木陰に誰かいる。


クロガミ が座布団に座っていた。


なぜか茶菓子まで食べている。


「ええなぁ、この流れ」


鳥羽姫が立ち上がる。


「何故ここに」


「特別枠やからや」


「帰れ」



クロガミは手を振る。


「まあまあ、わしも予言したる」


美兎姫が目を輝かせる。


「本当ですか!」


「もちろんや」


咳払い一つ。


「近い未来――」


「この茶会、めっちゃ荒れる」


次の瞬間、鳥羽姫の投げた湯呑みが飛んだ。


クロガミは避ける。


「当たっとるやろ!」



美兎姫はさらに玉を見る。


「また見えました!」


「鳥羽姫様が将来、セラ殿へ――」


鳥羽姫が即座に口を塞ぐ。


「それ以上言えば白翼との同盟は終わります」


「むぐぐ」


クロガミ、大笑い。


「アッハッハッハ!」


「分かりやすい姫さんや!」


「黙りなさい!」



そこへ庭の外から声。


セラ(三神凌牙) が通りかかった。


「何の騒ぎだ」


鳥羽姫と美兎姫が同時に固まる。


クロガミだけが元気に手を振る。


「おーい主役!」


「今な、お前の恋愛未来予想図やっとったで!」


セラは真顔で踵を返した。


「帰る」


「待ちなさい!」


鳥羽姫が珍しく慌てて追いかける。


美兎姫も続く。


「団子の件だけ確認を!」



東屋に一人残されたクロガミ。


茶をすすりながら頷く。


「平和回も必要やな」


ふと水晶玉を見る。


そこに映った文字。


CONTINUE…


クロガミはにやりと笑った。


「そら、続くやろ」




















特別枠:


―鳥羽姫と美兎姫 小鴉の予言魚―


港町の外れ。


潮風の吹く倉庫街に、ひときわ大きな鉄の箱が置かれていた。


小鴉 が、その上にちょこんと乗っている。


「カァ!」


鳥羽姫が腕を組む。


「……で、この“こんてなあ”とは何です」


美兎姫が嬉しそうに答えた。


「異国の運搬箱です」


「中に未来が見える魚がおります」


「情報量が多すぎます」



小鴉がくちばしで扉をつつく。


ガコン、と重い音を立てて扉が開いた。


中には、水槽が一つ。


その中を、一匹の金色の魚が泳いでいた。


額に妙な文字が浮かんでいる。


予言魚


鳥羽姫は無言で空を見た。


「帰ってもよろしいですか」


美兎姫は身を乗り出す。


「すごいです!」


「本当に額に説明が書いてあります!」



魚が口をぱくぱくさせる。


すると水面に文字が浮かんだ。


近き未来、鳥羽姫は赤面する


鳥羽姫が眉をひそめる。


「何ですそれは」


直後、背後から声がした。


セラ(三神凌牙) が通りかかった。


「何してるんだ、お前たち」


鳥羽姫の顔が一瞬で赤くなる。


美兎姫が拍手する。


「当たりました!」


鳥羽姫が剣へ手をかける。


「魚を焼きます」



魚は慌てて次の予言を出す。


美兎姫、三分後に転ぶ


「失礼ですね」


美兎姫が笑いながら振り返った瞬間、裾を踏んで盛大に転んだ。


「きゃっ」


鳥羽姫がため息をつく。


「本物でしたか……」



小鴉は得意げに羽を広げる。


「カァ!」


セラが魚を見る。


「俺の未来も分かるのか?」


魚はしばらく沈黙し、水面に文字を浮かべた。


苦労する


セラ、真顔。


「雑すぎるだろ」


鳥羽姫と美兎姫は思わず笑った。



さらに魚は震えながら、最後の予言を示した。


この場に黒い厄介者来たる


全員が固まる。


倉庫の屋根の上から拍手。


パチ、パチ、パチ。


クロガミ が座っていた。


「いやぁ、呼ばれてしもたわ」


鳥羽姫が即座に叫ぶ。


「誰も呼んでいません!」


クロガミ、にやりと笑う。


「予言魚、ええ仕事するやん」



魚は慌てて次の文字を出す。


今すぐ逃げろ


クロガミが水槽を覗き込む。


「おっ、君賢いなぁ」


魚は気絶した。



その後、鳥羽姫と美兎姫は予言魚を保護し、港近くの池へ逃がしたという。


セラはぽつりと呟いた。


「結局、何だったんだ……」


小鴉だけが、どこか意味深に鳴いた。


「カァ」

後書き


今回は平和回として、


* 鳥羽姫 の赤面予言

* 美兎姫 の転倒予言

* セラ(三神凌牙) の雑な未来

* 小鴉 の謎行動

* クロガミ の乱入


を描きました。


予言魚はたぶん、もう二度と人前には現れません。

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