別枠特別編:
暗転した舞台。
拍手が鳴り止まぬまま、スクリーン中央に文字が浮かぶ。
CONTINUE…?
その下には二つの選択肢。
* YES
* NO
しばらく沈黙。
すると黒い手がぬるりと現れ、勝手に YES を押した。
電子音。
♪ピコーン!
闇の中から、あの男が現れる。
クロガミ
「どーもどーも!」
「選ぶ自由なんか最初からあらへんで!」
「全部わしや!」
スポットライトが当たる。
「前書きもわし!」
「後書きもわし!」
「ここまでの陰謀もわし!」
「ついでにコンティニュー押したんもわし!」
客席の 三神凌牙 が立ち上がる。
「勝手に進めるな!」
クロガミ、指を一本立てる。
「まあまあ」
「物語っちゅうんはな」
「終わると思わせて続くもんや」
「ソシャゲも漫画も、人気出たら二部や」
「生々しいわ!」
⸻
クロガミ、客席へ歩きながら語る。
「ここまで振り返るで?」
「転生したんも」
「神々が揉めたんも」
「恋愛こじれたんも」
「裏切りあったんも」
「急にシリアスになったんも」
胸を張る。
「全部、わしの演出や!」
凌牙、呆れ顔。
「盛りすぎやろ」
「いや、まだ盛れる」
「やめろ」
⸻
スクリーンに再び文字。
NEW GAME +
CHAOS MODE UNLOCKED
クロガミが高笑いする。
「次章からもっと無茶苦茶や!」
「敵味方入れ替わる!」
「伏線あと十本増える!」
「関係図が読者泣かせや!」
凌牙が頭を抱える。
「編集呼べ!」
⸻
クロガミ、急に真面目な顔になる。
「せやけどな」
「コンティニュー押してくれる人がおる限り、物語は死なん」
凌牙が少し黙る。
クロガミはニヤッと笑う。
「……とか言うてみた」
「急にええ話風にすな!」
別枠特別編
―クロガミがここまでを振り返る バーチャルゲーム版―
暗闇の中、電子音が鳴る。
♪ピコーン!
巨大な文字が浮かび上がる。
GAME START
ネオンに包まれた仮想空間。
空にはHPバー、地面にはマス目、城はポリゴン、海はやたら反射している。
中央ステージへ、黒いコート姿の男が現れる。
クロガミ
「どーもどーもー!」
「司会、進行、妨害、全部担当!」
「クロガミでぇーす!」
派手なSEが鳴る。
\ワァァァァァ!!/
客席には一人だけ座っている男。
三神凌牙
ポップコーンを持っていた。
「……客、一人?」
クロガミが指をさす。
「今日はVIPや!」
「主人公候補席や!」
「誰が候補や」
⸻
クロガミ、ステージ中央で手を振る。
「さあ皆さん!」
「ここまでの物語、ゲーム形式で振り返っていきましょか!」
背後に巨大スクリーン。
⸻
STAGE 1:転生チュートリアル
画面に学生時代の凌牙。
いじめ。パシリ。理不尽。
トラック接近。
ドーン!
凌牙が立ち上がる。
「ちょっと待て!」
「演出軽ない!?」
クロガミが笑う。
「テンポ重視や!」
「ここで異世界転生、セラ爆誕!」
画面に セラ(三神凌牙) 登場。
剣を抜いてポーズ。
凌牙、客席で腕組み。
「俺、盛られてるな」
⸻
STAGE 2:恋愛イベント乱発編
画面切り替え。
鳥羽姫 登場。
「セラ殿……」
背景キラキラ。
次に 美兎姫。
次に アルテミス(花下翼)。
次々ハート演出。
凌牙、立ち上がる。
「おい!」
「なんで俺だけ乙女ゲームみたいになっとんねん!」
クロガミ、真顔。
「作者サービスや」
「最低や!」
⸻
STAGE 3:マサユキ珍道中
マサユキ が走ってくる。
転ぶ。
怒られる。
また走る。
ミレナ に殴られる。
コンボ表示。
12 HIT
凌牙、大笑い。
「これは正しい」
クロガミも笑う。
「ここだけ史実や」
⸻
STAGE 4:神々のクソ会議
ゼウス
ポセイドン
ハデス
三人が円卓で揉めている。
「我が上だ」
「いや我だ」
「黙れ」
凌牙、呆れる。
「神様ってこんなんなん?」
クロガミ肩をすくめる。
「だいたいそうや」
⸻
STAGE 5:黒翼奪還戦
炎上する城。
焔牙 覚醒。
ド派手なエフェクト。
セラが神像を一刀両断。
スコア表示。
GOD SLASH +5000
凌牙、思わず拍手。
「そこは熱いな」
クロガミ得意げ。
「編集うまいやろ?」
⸻
STAGE 6:全部わしでした編
ステージ暗転。
クロガミが巨大化。
「実は全部、わしの陰謀でしたぁ!」
雷。爆発。回転カメラ。
凌牙が叫ぶ。
「盛りすぎやろ!」
「ラスボス発表会か!」
⸻
クロガミ、客席前まで歩いてくる。
「どやった?」
「ここまで濃かったやろ?」
凌牙、少し笑う。
「……まあ、退屈はせんかったな」
クロガミ、珍しく静かになる。
「せやろ」
「物語っちゅうんは、退屈したら終わりや」
⸻
そして再びいつもの調子に戻る。
「ほな次から後半戦や!」
「神も国も愛も友情も、まとめてひっくり返したる!」
凌牙が席から立つ。
「俺もそろそろ客席降りるぞ」
「主役取り返したる」
クロガミ、ニヤリと笑う。
「それ待ってたんや」
⸻
照明が落ちる。
ステージ中央に二人。
黒幕と主人公。
互いに見据える。
数秒の沈黙。
そして客席のどこからともなく――
パチ……パチ……パチパチパチ!
拍手が広がる。
凌牙が周囲を見る。
「誰や今の」
クロガミ、天を見上げて笑う。
「読んどる皆さんや」
会場全体が拍手に包まれる。
\パチパチパチパチ!!/
CONTINUE…?
黒い幕が下りる。
だがその幕の隙間から、また顔だけ出てくる。
クロガミ
「ほな改めて言うで?」
「CONTINUEや」
「全部クロガミ」
「まだ終わらん」
幕が完全に閉じる。
しかし最後に、場内アナウンスだけが響いた。
次回も強制参加となります。ご了承ください。
凌牙の叫び声が遠くで聞こえる。
「NO押させろぉぉぉ!!」




