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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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第二十三話:

登場人物


セラ


本作の主人公。

神々との戦いを越え、今は家族と仲間を守るために戦う男。

強敵との死闘を潜り抜けてきたが、第二十三章では“宗教の森”という別種の不気味さに直面する。

剣の腕は超一流だが、胡散臭い人物を見抜く勘も鋭い。



空牙


セラの実子。

名を取り戻した少年であり、父の背を追う存在。

まだ幼さと臆病さを残すが、芯の強さを持っている。

第二十三章では宗教の森の異様な空気に怯えつつも、父と共に進む。



焔牙


セラに育てられた青年戦士。

豪快で明るく、皮肉と冗談を忘れないムードメーカー。

重苦しい空気を吹き飛ばす存在であり、戦場では頼れる実力者。

第二十三章ではマサユキを一目で怪しいと見抜く。



烏羽姫


黒翼の都を治める誇り高き姫。

セラの理解者であり、空牙の母。

国の再建と過去の闇に向き合う中でも、常に冷静さを失わない。

第二十三章では仲間たちを率い、宗教の森へ赴く。



レア


白翼を持つ謎の王女。

長き時代を生き、数多くの悲劇を見てきた存在。

冷静で達観しているが、時折見せる本音には深い孤独がある。

第二十三章では、紫炎の怨念を断つ鍵が宗教の森にあると告げる。



マサユキ


白い法衣をまとった、笑顔の胡散臭い男。

自らを“救済者”と名乗り、迷える者を導くと言うが、信用度は極めて低い。

軽薄そうに見えて森の事情に詳しく、底知れぬ一面を持つ。

第二十三章最大の新顔。



毒バチの妻ミレナ


巨大な毒蜂を従える妖艶な女性。

マサユキの妻を名乗るが、主導権は彼女が握っているようにも見える。

鋭い毒舌と危険な香りを併せ持つ人物。

第二十三章ではセラたちをからかいながら登場する。



紫炎将ボサノバ


滅ぼされた国の怨念を纏って蘇った将軍。

かつての暴威に紫炎の力が加わり、より危険な存在となった。

第二十三章終盤、宗教の森で再び立ちはだかる。



正規教ザバス


森の中で唱和を続ける謎の集団。

「救済」や「導き」を掲げるが、かなり怪しい。

第二十三章では不気味さと笑いを同時に生む存在として描かれる。

第二十三章:紫炎の復讐者


―森で嗤う教祖―


 


バイオレットの国の亡霊軍との戦いは、ひとまず退いた。


 


だが勝利ではない。

ボサノバ将軍 の怨念は霧となって散り、再び姿を現す気配を残していた。


 


黒翼の都では負傷兵の治療が続き、民たちは怯えたまま夜を迎える。


 


その中で、レア はセラへ告げた。


 


「紫炎を完全に消すには、“根”を断たなきゃいけない」


 


「根?」


 


「この地の闇と、外から流れ込んだ狂気。その交わる場所――宗教の森」


 


 


小鴉が嫌そうな顔をする。


 


「その名前でもう嫌な予感しかしないよ」


 


 


烏羽姫が剣帯を締める。


 


「行くしかない」


 


 


セラ、空牙、焔牙、烏羽姫、レア。

一行は都の北に広がる禁足地――宗教の森へ向かった。



森は異様だった。


 


木々には無数の札。

枝には奇妙な鐘。

地面には祈りの文字。


 


風が吹くたび、どこからともなく唱和が聞こえる。


 


「ザバス……ザバス……ザバス……」


 


 


空牙がセラの服を掴む。


 


「父さん、帰ろう」


 


「同感だ」


 


 


焔牙が笑う。


 


「親父が珍しく正しい」


 


 


その時、木々の奥から拍手が響いた。


 


ぱち、ぱち、ぱち。


 


 


「ようこそ迷える皆さん!」


 


 


現れたのは、白い法衣を着た細身の男。


 


妙に整った顔。

人懐こい笑み。

だが目だけが笑っていない。


 


 


マサユキ。


 


 


「私は救済者マサユキ」


 


「この森で迷う者を、正しき道へ導く者です」


 


 


セラは即答した。


 


「胡散臭い」


 


 


「率直!」


 


 


その背後から羽音が響く。


 


ぶぅぅぅん――


 


巨大な毒蜂に跨った妖艶な女が舞い降りる。


 


紫のドレス。

長い髪。

細い指先には毒針の指輪。


 


 


毒バチの妻ミレナ


 


 


「あなた、客人に失礼よ」


 


「まず蜂蜜茶くらい出しなさい」


 


 


小鴉が後退る。


 


「蜂そのものが怖い!」


 


 


マサユキは胸に手を当てる。


 


「紹介しましょう。私の最愛の妻、ミレナです」


 


 


ミレナはセラをじろりと見る。


 


「へぇ、この男が噂の」


 


 


烏羽姫が一歩前へ出る。


 


「噂とは何だ」


 


 


ミレナが笑う。


 


「女を増やし、子まで増やす男ってね」


 


 


セラが頭を抱える。


 


「語弊しかない」


 


 


レアがぼそり。


 


「否定しきれない」


 


 


森の奥から再び唱和が響く。


 


「ザバス……ザバス……」


 


 


空牙が震える。


 


「それ、何?」


 


 


マサユキは両腕を広げた。


 


「我ら正規教ザバス!」


 


「迷える者に居場所を! 孤独な者に意味を! 財布ある者に寄進を!」


 


 


全員が黙る。


 


 


焔牙が小声で言う。


 


「最後だけ本音じゃね?」


 


 


マサユキは咳払いした。


 


「誤解です」


 


「さて本題を。あなた方はボサノバ将軍の怨念を追っている」


 


「その核はこの森の地下にあります」


 


 


セラが目を細める。


 


「なぜ知ってる」


 


 


「私は導く者ですから」


 


 


ミレナがため息をつく。


 


「要するに盗み聞きと覗き見よ」


 


 


小鴉が即答する。


 


「やっぱ胡散臭い!」


 


 


だがその瞬間、森全体が揺れた。


 


地面が割れ、紫の炎が噴き出す。


 


木々の奥から現れたのは、巨大な鎧武者の影。


 


紫炎将ボサノバ


 


「我が復讐、まだ終わらず……!」


 


 


マサユキが一歩下がる。


 


「では皆さん、実践編です」


 


 


「お前も戦え!」


と全員が叫んだ。


 


宗教の森で、紫炎の決戦が始まる。

―第二十三章を終えて、戦いは“怪しさ”の領域へ―


第二十三章は、これまでの重厚な神話戦争や王朝の亡霊との戦いから少し角度を変え、

不気味さと滑稽さが同居する章 として描きました。


ここまでの物語では、


* 神々の支配

* 血筋の呪い

* 滅びた国の怨念

* 家族の再生


といった、非常に重いテーマが続いていました。


そこで今回登場したのが、宗教の森です。


ここは剣や力だけでは測れない場所。

人の不安、孤独、救われたい気持ち、信じたい心――

そういった弱さにつけ込むものが根を張る場所でもあります。


つまり、今までの敵が「強大な力」だったのに対し、

今回の敵は 人の心の隙間に入り込むもの です。

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