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Ver2.02

今回短めです




「トンテンカン~ハンマーを~♪」


 トン!トン!トン!トン!カン!!


「トンテンカン~ふりおろす~♪」


 トン!トン!トン!トン!カン!!


 小気味良いハンマーが釘を打つ音が響く


「よし、エイシャ次6番の柱!」

「はい、師匠!」


 元気良く返事をしたエイシャに6と炭で書いてある木材を手渡されそれを今まで組んだ物にまた釘で固定していく。 オレはオレで『歌唱』と『声色』を上げながら作業を続けていた。


「政様、切った材料はここでいいですか?」


 桜花が切断面が綺麗に切れた数本の木材を持ってきた。

 ノコギリより剣の方が切り口も寸法も綺麗なのはなんか納得いかんが・・・まあ使えりゃ良い。


「ああ、ソコにおいといてくれ」

「ハイ、大分形になってきましたね・・・」


 桜花はオレが組んでる物を見て感心しているようだ。


「昔、旅をしてた時に大工の親方のとこで世話になっててな。 バイト代わりに手伝ってたたんだが・・・気付いたら仕込まれてた。 まあ、実際役に立ってるからいいけどな」

「私は政さんの過去の統一性の無さが一番気になるわよ・・・ 考えてみたら、私とチカを助けてくれた時はヒーローショウ。 さっきは屋台の図面ひいて。 今はそれを組んで大工仕事・・・黒崎さんとは同門の武術を習ってたり。 何よりおじいちゃんと旧知の仲って・・・おじいちゃんが他人にあんなに打ち解けて嬉しそうにしてるとこを初めて見たわ・・・」


 呆れた風なライズは外板をファイヤーウェポンのかかった手の平で満遍なく黒く焦がしながら愚痴をもらしていた。


「まあ、昔にちょっとな・・・あ、焦がすのはそれくらいでいいから後はぼろ布で炭を落としていってくれ」


 手本に黒ずんだ板の表面を何度も布でこすり表面を手で触っても汚れないぐらいにふき取ると材料の木の木目が綺麗に浮かび出る。


「へえ・・・年季の入った木造の壁板みたいになるのね・・・この大きさの板を何枚も・・・は大変そうだけど」


 自分が焦がした何枚かの外板の群れを見てライズがゲンナリとしてため息をつく。


「ぼやくなぼやくな・・・桜花はもう手は空いたろうからライズを手伝ってやってくれ。」

「はい!」


 なぜか意外に桜花は楽しそうに満面の笑みを浮かべ元気に返事をかえす。


「何か皆でこういう風にしてると学園祭みたいで楽しいね」


 不思議そうにしてるオレを見てか、エイシャが組んでいる屋台の骨組みを押さえながら話しかけてきた。


「ああ、そういうことか・・・」

「?」


 かえすオレのセリフに小首を傾げる。


「いやな、ライズは愚痴をこぼしながらも案外黙々とやってるし、桜花は見れば分かるくらい楽しそうなんでな・・・罰則クエストの『屋台修理』を嫌々やってねえんで・・・確かに皆で一つの物を作るってのは仕事として見なけりゃ面白いかもな」


「師匠は楽しくないの?」


 エイシャが不思議そうに聞いてくる。


「ふむ・・・確かに趣味的な日曜大工っぽいところで楽しいかもな・・・過程を楽しむか・・・」


 作業をしながら思うと終った後の達成感はあるだろうが、途中の過程を楽しむというのを忘れていた気がする。 それが当たり前と思いつつ日々の仕事もそんなモンなんだろうな・・・と苦笑。 初めて1つの仕事を任された時は確かに不安や恐れ、期待に喜び・・・色んな感情もあったがやってる間は楽しかったのだろうと今になって思う。


「フッ・・・ハハハッ! そうだな、楽しんだモン勝ちだ!」


 こういうのが弟子に学ぶと言うことなんだろうな・・・とこみ上げる衝動に抗うことなく笑うオレと共に不思議そうにしながらも笑うエイシャだった。




 遅ればせながら今は訓練所から一旦解散している。


 ガイPTは夜を待たず訓練の成果を試したいとフィールドに、ガルはオレの追加注文と共に夕方までに仕上げると店に戻っていった。


 後の残った3人とオレは明日の護衛任務の前に、街の罰則クエストを消化することになる。 3人は多少クエストを消化したが手間取る物が残ってたのでオレも手伝うことにした訳だ。


 ライズの説明によれば罰則クエストに報酬は無い。 ただし経験値やスキルのアップはあるそうなので全くの無駄ではないそうだ。 もう一つ、クエストの進め方でそれの関係するNPCの態度が変わる・・・好感度みたいなモノがあるみたいとも言ってた。 場合によっては差し入れに飲食アイテムの差し入れをくれるとか、罰則の監視だけではなく感謝されることもあったとかで、NPCを単なるNPCに見れなくなった・・・とかぼやいてた。 桜花とエイシャは元から普通の人と同じように対応してたそうだが・・・ここら辺はゲームに慣れてるものとVR初めゲーム初心者の違いなんだろうな。




「よし、完成!」

「やった~♪」

「なかなかの物ね」

「やりましたね!」


 オレの宣言と共に三人がそれぞれの思いを込めて出来上がった屋台を見つめる。 その表情は短時間ながらも、協力してできた物が形となってソコにあるのを認め喜色に満ち達成感に溢れていた。


「もうできたのかい!?」


 そんなオレ達に声をかけたのは今回屋台を壊された被害者でもあるNPCのトマスさん。 串焼肉屋台の店主である。


「おう、見せた設計図どうりだ。 寸法もマンマだから調理器具も前の屋台のまま収納可能のはずだ」


「弁償代わりに作るって聞いたときは正直不安だったが・・・段取りの良さや手際を見るにお前さん本職だったのか・・・」


「そんなことは無えんだが・・・まあ、こいつらががんばってくれたからな。 その分捗ったと思ってくれ」


 実際途中で『大工』『木工』『細工』のスキルが入ったが・・・ まあ、基本のアビリティの器用とか上がってるようで、絵や図面同様思ったように手足が動くのが細かい作業とかやってると特に実感した。

 普通にリアルでなら何箇所か失敗もありえるのだが・・・それがフォローされるような感触・・・案外戦闘面でも体の不具合がなくなっただけでなくそういったフォローが入っているのだろう・・・1LVあるだけで人によっては雲泥の差というかシステム的フォローが入るのはアビリティーによるところが多いのかも?

 思うに今回体力測定で元のリアルのアビリティ的能力が数値化され基本のキャラに与えられた。 基準域があったならば・・・+になった者もいれば-になった者もいるだろう。 もしかしたら・・・最初の草原で武器の振り方や身のこなしがスキルを持っていてもたどたどしかった連中は、器用にあまり振らず元のリアルの器用も低かったから? MMOに慣れすぎたら最初に威力重視で器用系統は0でも多少数字があっても同じようなら取らない人も多い・・・その弊害かもな・・・

 今更ながら・・・幸運以外0だったオレが実力だけで数LVも上の敵を倒せたのも訓練所でスキルを上げてたのに加えてアビリティが上がってたから・・・と考えればつじつまも合うか? 壁のぼりの時はNOスキルで途中にスキルが入った・・・さもなきゃあんなジャンプやアクロバットはできねえしな。 スキルのアビリティ補正も考えればLV1から結構アビリティの補正をあげていたことになる。 スキル経験も上がる時にクリティカルが起こるとアームズさんも言ってたが・・・アビリティにもあるとしたら? クリティカルの補正が幸運に左右されるゲームは多いが、経験やアビリティ上昇のさいのクリティカルにも適用されてたら・・・幸運マックスのオレって上がりやすくねえかい?

 まあ・・・後々考えてみるか・・・


「何にしてもこっちは助かった! 愛着もあったがいい加減ボロくなっちまってた屋台がここまで立派なのに代えてくれるなら願ったり叶ったりだしな」


 喜んでくれて何よりだ・・・こっちはこっちで得たものは大きかったしな。 感情的にも検証的にも。 これでスキルも強化されると考えれば一石ナンチョウだ?


「でも私も屋台壊しちゃったから・・・ごめんなさい。 でも、喜んでくれるならうれしいよ!」


「あんたらも何回も謝らなくてもいいって! こっちが悪く思えてきちまう・・・ なんにせよこんな良いもん拵えて貰ったんだ感謝してるよ!」


 そんな店主の言葉に三人は嬉しそうに笑い合う。 そんな姿を見て微笑ましく思うのは大人の特権かもな・・・


 そんなこんなで『屋台修理』は終り店主にまた食いに来てくれと送られ次のクエストに向かう前にリアルでの腹ごしらえに一旦ログアウトすることにした。




今回のスキル


C『大工』PS

大きな物を作る生産技術

器用にLV分中補正

条件・・・自分より大きな物を加工するとランダムで取得


C『木工』PS

木材を加工する生産技術

器用にLV分中補正

条件・・・SP消費、スキルスクロールもしくは木材を加工するとランダムで取得


C『細工』PS

小さな模様や仕掛けを加工する生産技術

器用にLV分中補正

条件・・・細かい作業の加工をするとランダムで取得


ネタに詰まったわけではなくキリがいいからこの短さになったと言い訳・・・スイマセン

早ければ今日、もしくは2~3日中に続きを出せるかな?

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