Ver1.254 (猛犬注意! お遊び題名もここまで?)
「ふあああ~~~~・・・ねむ・・・」
あのあと3時ぐらいまで飲んでたがくにさんも酔いつぶれたので黒崎さんに預けて少し寝たが・・・もう少し寝たら良かったんだろうが癖で6時に一旦目が覚める。 体内時計の正確さもこんな時には不便だ。
「あ、師匠おはよ~♪」
「おう、おはようチカ・・・早いなランニングか?」
元気に挨拶してきたチカは少し汗ばんでいた。
「そだよ~師匠もどう?」
折角のお誘いに身体の状態を確認・・・
「ん~・・・筋肉痛は取れたが寝不足に・・・酒が抜けてないから遠慮しとくわ」
「そういえば・・・昨日、日野のおじいちゃんと遅くまで飲んでたんだって?」
心配そうに見てくるチカの頭をポンと押し・・・なんかこいつと居ると女の子と言うより元気な大型犬を相手してるような気分になるって言ったら怒るだろうなとしょうもない考えをするボケた頭を振る・・・おおう・・・効くな・・・あ、そういえば・・・
「チカはまだ走るのか?」
「ううん、今日は軽く流して周りを見てきただけだから終わりかな」
目の前でストレッチを始めるチカの身体は柔らかくバネがありそうだ。 トレーニングパンツから伸びる足は、健康そうで例えるならカモシカのような・・・が、付きそうな持久力より瞬発力に秀でた鍛え方をしてるようだ。
「師匠・・・ジッと私を見つめて欲情した?」
イタズラっぽく笑うチカに軽くチョップ。
「あたっ・・・むう・・・無言でチョップはヒドイ~」
「はいはい・・・よくじょーした、あ~よくじょーした」
「・・・その棒読みもむかちゅく~~~!」
かんだな・・・
「はいはい・・・ならお詫びにオレの部屋に来い」
「へ!? そんな、まだ心の準備が・・・イキナリそんな?」
なんか勘違いしてるが・・・まあ、ほっとこう・・・面白いし・・・イカンナ・・・チカのイジリ方が分かってきたかもしれん。
「何してる、行くぞ! お前の想像してるようなことは全くこれっぽっちも無いから安心しろ」
「そこで完全否定も乙女として傷つくんだけど・・・」
ごねながらホテルのエレベータに乗り込んだチカの頭をポンポンと軽く叩く。
自室に着くとチカがキョロキョロと部屋を眺める。
「どうした?」
「男の人の部屋って始めて入ったけど代わり映えしない・・・」
「そりゃホテルだしな・・・ホレ」
アミューズメントで貰ったビニール袋に入ったモノをチカに渡す。
「?・・・!? こ、これは!!」
中身をみたチカが驚きと期待に目を輝かす。
「『変身ベルト大集合Ver1』全5種コンプリート済み・・・なんか前にハマッタってヤツはこれじゃなかったか?」
「え・・・もしかして初めて会ったときの? そんな言い訳っポイのを憶えてたの!?」
驚くチカ。
「あ~・・・俺も取るのに夢中になってたヤツなんで憶えてただけだ。 要らんからやるよ」
実際バイクで持って帰るのも苦労するし、持って帰ったところで扱いにも困る。 キャッチャーは取る時は良いんだが取った後に困ること多数。
「いいの!? ・・・師匠・・・こんなに私の好感度上げてどうするつもり?」
「どうもせん」
「むう・・・でも、ありがとう! どうも私、あのキャッチャーが下手で全然取れなかったんだ~」
こずかいをそれなりに費やしたのだろう・・・チカは無念そうだ。
「昔仕事でクレーンを使ってたからな・・・オレは取るのが好きなんだ。 ま、機会があればまたとってやるよ」
「師匠・・・大好へヴ!?」
突っ込んできたチカの額あたりに手を出して突進を止める。
「汗臭いから抱きつこうとするな、オレも酒臭いから人のこと言えんが風邪ひく前に風呂ナリ入ってこい」
ただでさえ空調が効いて火照った身体が冷えやすい。 若いとは言え気をつけるに超したことはない。
「うう~・・・クンクン・・・へへへ~~~でも師匠~私だって女の子なんですから、でりかしーくらい持って下さい~臭いはひどい!」
デコを押さえながら気付いたように自分の身体の匂いをかいで見て顔をしかめる。 気になるほどじゃ無いがな。
「ああ、クンクンとか子供みたいな事をしなくなったら考えてやる」
「もお~~~・・・あ、ここで入っていっても「GET OUT! GO TO HOUSE」私犬扱い!?・・・ワンワン」
「そういう冗談は「心の準備」がどうとか何とかしてから言っとけ」
途端に真っ赤になって動揺するチカ。 こうなるからウカツなんだ・・・この娘は・・・背伸びしたい年頃なんだろうがな。
「じゃ、じゃあハウスしま~す!」
「ちゃんと風邪ひかんように汗を流しておけよ。 夏風邪ひいたら笑ってやるから」
「師匠のイジワル~でも笑われたくないから分かった~じゃあね~」
顔の火照りを誤魔化すようにチカはうつむきかげんで部屋から退散していった。 苦笑しながらやれやれと溜息をつく。 そのすぐに息を吸うとほのかなチカの残り香が妙な落ち着き無さを呼ぶ。 無言で空気取りの窓を開けて換気する。
こういう意識はまだ早かろう。
何だかんだと言ったところで自分の汗臭い&酒臭い&眠気覚ましでシャワーを浴びることにする。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「政さんこっちこっち~」
朝飯を食いにいつものビュッフェに入ると何時もの三人が先に来ていた。
「政様おはようございます」
「師匠~さっきぶり~♪」
「おはよう、昨日はおじいちゃんの相手ご苦労様」
「おう、おはよう・・・ま、お前らは早々に寝ちまったしな大人にゃ付き合いってモンもあるから仕方無い・・・オレもくにさんと飲むのは久しぶりだったからな。 美味い酒だったってことさ」
そういいながらトレイを置くと皆が目を丸くしていた。
「なに・・・その大盛りサラダは・・・?」
「あと、ピッチャーでお水ですか・・・ジョッキにもいっぱい?」
「あれ・・・ドレッシングかかってないけど忘れた?」
「ああ、減量メニューだ。 味は塩とレモン。 塩分とミネラルは必要だからミネラルウォーターを用意してもらった。 ちゃんと肉もハム1枚は取ってる」
大皿の生野菜と温野菜の上に申し訳乗ったハムを指差す。
「減量にしては・・・食べ過ぎじゃないですか?」
「量は少しずつ減らさないと挫折しやすいのと・・・食物繊維はとらないと意味が無い。 無論水分を抜くだけなら一気に減るがそれだと戻るのも早いから大目に取る」
オレの説明に目を丸くし・・・
「それでも減らしてるんだ・・・」
「何時もはどんなけ食べてるのよ・・・」
「健啖家ですね。 家の父もそんな感じです」
「鍛え方が違うからな・・・とかく格闘関係は燃費の悪い者が多いかも知れん言っても人によりけり・・・普通は多少増えるくらいかも知れないが、俺はこんなもんだ」
よく「鍛え方が違う」と言う決まり文句があるが、格闘系で鍛えた者とスポーツ系で鍛えたものは確かに全く違う。 スポーツの場合瞬発力や持久力が主だろう・・・一部例外があるが柔軟性を重視するはずだ。 ただ格闘系はそれも大事なのだが防御の為にある程度の力を込めた時の硬さも重要だろう。 空手等で身体をバットで殴るとかの試しがあるように技術としての防御もいるのだ。 スポーツにそんな余分な鍛え方をする者はよほどのことがない限りいないだろう。
筋肉が付きすぎて関節の稼動範囲が狭まり、肩を壊しにくくなったが球速を落としコントロールも微妙になりましたって投手がいたらバカにされるだろう・・・やるのは本人の勝手だろうと思うが・・・
どちらの鍛え方に優劣があるわけでは無い。 目的の違いと言った方が早いだろう。 流派によって特殊な訓練や修行法があるのも目的の技の習得の下地だったりするそれだ。
そういう視点で見ればボクシングの減量も鍛え方の一種なのかもな。 目的の体重をパスするのが必須の中キッカリパスさせるのだから。
そんなこんなで朝飯が終った。 途中サラダの御代わりに行ったとき更に一悶着あったのは割愛する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おはようございます。 お体のほうは大丈夫ですか?」
「おはようさん。 昨日のシップが効いて夜には痛みはひいてたよ。 ありがとう」
桐生さんに出迎えられて昨日の部屋に入る。
「ところで・・・その袋はなんですか?」
オレの持ってる大きなビニールが気になったようだ。
「ミネラルウォータ、氷砂糖、あと塩を買ってきた」
「なるほど・・・でも補給する時は昨日も言いましたがちゃんとログアウトして下さいね。 今日は信号遮断のLVを少し上げてますんで」
そう言いながら機械のセットを着々と進めていく。
「了解! ありがとよ」
桐生さんに礼を言ってポッドに横たわる。 無論袋はその横に置いている。
「水だけでも冷やしておきましょうか?」
「ああ、がぶ飲みするから常温でいいよ。 あんまり冷えてても腹を壊しちまう」
「昨日のを見てると壊しそうに思えませんね・・・主任にもあなたの健啖ぶりを聞きましたし・・・」
「我が胃袋に未消化と言う文字はない・・・ってね」
おどけて誤魔化すセリフはさすがの・・・から。
「ふむ・・・言ってたとおり・・・体重が約2kg戻ってますね・・・」
「だろ? 初めてじゃないしな。 しげさんも言ってたんじゃないか?」
桐生さんは軽く苦笑して
「「心配するだけ無駄だ」」
二人して笑いあい一息ついたところで
「じゃあ、始めましょうか」
「ああ、やってくれ」
二回目のテストはこうして始まった。
次回からゲームに入ります
今回短めなので連続投稿
リアル編の題名に一貫性は無く作者のお遊びですのでご了承下さい




