悪魔と狩る者達(3)
クロムに話を訊いた所、幾つかの事がわかった。
まず、悪魔について。
数十年前、突如世界に出現した怪物であり、この世界の人間を襲い続け、その数と被害は年々増加してきているとの事。そして悪魔は、先程言っていたテレジア合金で造られた武器でないと倒せないらしい。
「俺はそんな対悪魔用の武器開発を担当してる一人なんだが、年々悪魔も強力になって中々厳しくなってきている。
あのセンカは末端の構成員の中でもかなりの使い手なんだが、まさかアイツが刀を折られるとはな……」
そんな悪魔には、七体の特に強力な個体が存在するらしい。それが、七罪である。この間、俺が相対したヨーゼフとやらもその一人の様だ。
そして、俺はそんな悪魔に脅かされた世界を救うべく、開発された兵器なのだという。
俺を開発した研究者であるヘクターは、自身の書いたレポートにこう記していた。
『七つの大罪の名を持つ悪魔を全て討伐すれば、最後の機能が解放され、悪魔は全て死に絶える』と。
つまり、俺が全ての七罪を倒し、その『最後の機能』とやらを使う事が出来る様になれば、悪魔を全滅させて世界は救われるというのだ。
「……何でその悪魔達と俺の機能とやらが連動してるんだ?」
「それは……わからねぇ。そこは俺も気になってたんだが、ヘクターのレポートには全てが記されてた訳じゃねえ……本人に訊けりゃあ良かったんだが、死んじまってんならそれも無理だな」
「そうか……ありがとうクロム、お陰で大分わかったよ」
「良いって事よ。まあこれから、お前はここで悪魔共とやり合う事になるだろうから、俺達とも多分それなりに長い付き合いになると思う。だから、これから宜しくな」
そう言って、クロムは右手を差し出してきた。
「ああ、宜しく」
俺はその手を取って握手を交わした。
すると、この部屋の扉が開く音がして、俺とクロムが振り向く。センカが仏頂面をしながら戻ってきていた。
「よおセンカ、報告は終わっ……何かあったのか?」
クロムが尋ねると、センカは俺の方を向いてこう告げた。
「明日……彼と一緒にここを出るわ。次の任務よ」
彼とクロムが話をしている最中、私は上層部の人間共の集まる一室の、中央に立たされていた。
一人の男……名前は覚えてないが、上層部の人間である事は間違いない、そのが書類を片手に話し始めた。
「君の報告書読ませて貰った……七罪でも無い悪魔に『祓刀』を破壊され、遭遇した七罪は取り逃がす……この失態、どう申し開きするつもりなのかね?」
一応は任務達成をした事に、労いの言葉の一つでも掛けてくる物だと思っていたら、開口一番これである。しかも失態と来たものだ。
私のそれに対する答えは、既に決まっていた。
「さあ? 采配を誤ったどこぞの無能共の所為じゃないですかね?」
私はそう言うと、上層部の一同は皆顔に青筋を立てており、その中の一人が怒鳴り声を上げた。
「貴様!! 事もあろうに我らの所為だと!!? そう言いたいのか!!?」
「だってそうでしょう? 人類の希望なんて言ってる物の回収に私以外の人員も寄越さないなんて、その癖色々と求めすぎでは? 任務達成出来ただけでもありがたいと思うべきです」
私は肩を竦めながら溜息交じりでそう言うと、上層部一同の怒りは更にヒートアップする。
「ふざけるな!! 任務達成だと!!? 大体、貴様が連れて来たというあの子供が、例の兵器だという根拠でもあるのか!!?」
「ふぅむ……確かにそうですね。決定的に根拠となる物は出せそうにありません」
「ふん!! それ見た事か!! 自身の失態を隠す為に根拠の無い成果を報告するとは――」
そう言う上層部の男に向け、私は『ある物』を投げ渡した。すると、
「ひ、ひゃぁぁぁぁぁ!!!!?」
それを手に取った男は瞬く間に顔面蒼白になり、その驚きのあまりにそのまま椅子から転げ落ちた。
「出せるのは、それくらいですね」
「こ、これは……!!?」
「彼が眠ってたカプセルの傍に落ちてたヘクターの骨です。身に着けてた物ごと回収してきました。調べれば、本人のだってわかると思います
因みに、その骨の死亡推定時刻的に死んだのは私の任務受諾前です。間に合わなかったから私の所為、なんてのも無しですよ?」
「貴様!!」
「さて、報告する事も全部しましたので、私はこれで失礼しまーす」
「おい!! 待て!! まだ話は――!!」
私は上層部達の言葉を聞かず、そのまま部屋を後にした。




