貴方は最終兵器(4)
このセンカという女曰く、どうやら俺は『クリミナル・ワン』という名前の兵器である様で、自身の所属する組織の命令で俺を回収しに来たとの事だ。
そして、俺は自身の事についてをセンカに説明した。
「記憶が……無い?」
「ああ。ここで目覚める以前の記憶が無いんだ。
……だけど、覚えてる事が二つだけある。一つは、俺は過去に既に死んでいる事…死因は分からないがな。そして二つ目、俺は昔に何かしらの罪を犯した事だ」
「その罪はどんな罪?」
「……これも分からない。だけど何となく、そんな実感だけがあるんだ」
「そう……やはり、話は本当だったみたいね」
「話?」
「『クリミナル・ワン』という兵器についてよ」
センカの話ではこうだ。
対悪魔最終兵器『クリミナル・ワン』、その兵器を起動する為にはある物が必要になるという。
それは、過去に大罪を犯した魂である。
センカの組織が回収していた俺を造った研究者が残したレポートには、そう記載されていたそうだ。
「それで、その大罪を犯した魂というのが、俺と……」
「レポートの内容と貴方の話を照らし合わせるとそうなるわね。見た所そんなに悪い人には見えないけど……」
「それはどうも……ところで、俺達は今どこに向かっているんだ?」
「『本部』よ。さっき話してた私の所属する組織のね」
現在、俺達は屋敷を出てその最寄りの街から出発する馬車に乗っていた。
街を立ってから俺達は、彼此数刻は馬車に揺られていた。
「随分と遠くから来たんだな、アンタ」
「そうよ。それなのにあの糞上司共は碌に出張費用も人員も寄越さないで、少しはこっちの身にも慣れってのあのクズ共……」
「お、おう……」
センカから発せられる呪詛の様な言葉と、その殺気にも似た空気に気圧され、俺は狼狽する。
理解無き上司にその身を削らされる、可哀想な部下の苦悩の様を彼女から見て取れた。
すると、そんな時だった。
「? 馬車が止まった。着いたのか?」
「え? そんな筈は……まだまだ着かない筈なのに」
センカがそう言うと、席を離れて馬車から外を覗く。そして辺りを見回した。
「やっぱり、まだ森の中よ……どうしたの御者さん? 何かあったの?」
センカは御者台に視線を向けて、何故止めたのか理由を尋ねた。
しかし、御者台には御者は居なかった。
そして、そこには代わりに、
「!!!?」
手綱を掴んだままの御者の手首から先のみが、落ちていた。
「!! センカ、下がれ!!」
俺はセンカの服の襟首を掴み引き寄せる。
「きゃっ!!?」
そして、先程までセンカが顔を覗かせてた場所に、見えない『何か』が食らいついてきた。馬車はその半ばまで、その見えない何かに削り取られた。
俺はセンカを引き寄せながら、そのまま馬車から転がり落ちる。
「大丈夫か?」
「いてて……あ、ありがとう」
センカの無事を確認し、俺はすぐさま起き上がると、馬車の方に視線を戻した。
すると、そいつはそこに立っていた。
「何だぁ? 妙な気配の奴が紛れてるな?」
御者を消し、センカをも消そうとしたであろう人物が、俺の事をまじまじと見つめていた。
「あれは……『七罪』!!?」
「セブンシンズ……?」
「ええ……貴方がいずれ倒すべき、七体の悪魔達の内の一人よ」




