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貴方は最終兵器(1)

「ここが……報告にあった屋敷……」


 街から離れた場所の森の中にあった、寂れた屋敷の前で、私センカ・ギンガイは一人呟いた。


 現在、私は『本部』の命令により、失踪したある研究者の捜索と、ある兵器の回収の任務に当たっている。


 本部というのは『悪魔対策本部』の事であり、数十年前より突如この世界で出現する様になったと言われる怪物『悪魔』に対抗する為に設立された組織である。


 因みに、私はその本部の末端構成員の一人である。


 そして、私が捜索している研究者というのは『ヘクター・ゴート』という人物で、この悪魔に対抗する事の出来るとある兵器を開発していたという。


 それこそが『クリミナル・ワン』、私が今回の任務で回収する事を仰せつかった兵器の名である。


 曰く、世界に蔓延る悪魔共を駆逐する事が出来ると言われている最終兵器との事で、近年数も被害も増え続けている悪魔共からこの世界を救える最後の希望と言われていた。


(そんな最後の希望の回収に……何で私一人だけなのよ……!!)


 今回の任務、上層部は私以外の人員を寄越してはくれなかった。万年人手不足な組織とはいえ、あまりにも酷い仕打ちだと私は心の中で嘆いていた。


 お陰で、ここにくる道中にも数回悪魔の襲撃に遭い、一人で相手取る事になった。そして、人手を寄越さなかった上層部の人間共を刀の錆に変えてやろうかと、何度も思った。


(……上の人間共こそ悪魔じゃないの?)


 そうして私は、屋敷の敷地の中に足を踏み入れた。


 この屋敷は、例の研究者ヘクターが最後に目撃されたという情報があり、恐らくここでヘクターは兵器の開発をしているという。が、


(……人の住んでる感じはしないんだけど……)


 屋敷はボロボロに朽ちており、屋根や壁にはあちこち穴が空いて、窓も殆どが割れていた。


 とてもじゃないが、人が住んでいるとはとても思えなかった。


 私はノックもせずに屋敷の扉を開けようとする。扉には鍵が掛かっておらず、すんなり開いた。


 そのまま中に入り、屋敷のエントランスに出る。見た感じ、やはり人が住んでいる感じはしなかった。


 取り敢えず私は、屋敷の中の部屋を虱潰しに探そうと思い、一階の部屋を順々と見て回った。


 そして、私はそれを見つけた。屋敷内の右端の方の一室を調べた時だった。


「なっ……これは!!?」


 部屋の中央に鎮座されていた棺桶の様なカプセル、何か内側から途轍もない力で開けられたみたいに、その蓋が外されて床に転がっていた。


 そして、その傍らには、既に白骨化した死体が一つ転がっていた。


「まさか……!!?」


 私は死体に駆け寄り、その死体の身に付けている私物を確認する。


 そして、『彼』の持ち物にあった手帳に、名前があった。


 『ヘクター・ゴート』


 ヘクターは既に死んでいた様だ。この白骨化した状態から察するに、恐らく死後相当な時間が経過している。


 私は次にカプセルとその周りを調べた。そして、そのカプセルから部屋の扉に向けて、床の埃が一部ずつ無くなっているのに気付いた。


 そして、その形はまるで足跡であった。


「まさか……クリミナル・ワンは、既に起動して――きゃっ!!?」


 突如、轟音と共に屋敷が揺れた。私は蹌踉めき、カプセルにしがみ付いて倒れまいと踏ん張った。


 轟音がしたのは、この屋敷のエントランスの方であった。私はヘクターの手帳だけ回収し、エントランスへ向かった。

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