訪問
「ここね」
次の日の夜――宿屋を出発し訪れたのはセヴィルの住む住宅棟だ。場所は昨日の老人が教えてくれた。
赤いレンガで建てられたお洒落な造りでまだ新しかった。家賃は相当高いらしい。高級住宅とかいうものだ。
緊張気味に入口の扉を押し開け中へ入ると…驚いた。そこには受付が備わっており執事の様な初老の男性がにこやかな顔で出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、お部屋の鍵番号は?」
「あ、えっと、違うんです。知り合いに会いに来ただけなんですが…」
「お知り合い、ですか?かしこまりました。ではお伝えして参りますのでその方のお名前を教えていただけますか?」
「あ、はい。セヴィル、セヴィル・スグナです」
すると執事は目を丸くさせてシャイナの顔をじっくりと見物する様に眺め始めた。
「…もしや、あの方の…」
「は、はい?」
「…あー、はいはい。分かりました」
執事は合点がいったように顔を綻ばせると何度も嬉しそうに頷きながら階段を登っていった。
「………何?あの人」
しばらく経ち―玄関のソファで座って待っていると執事が戻って来た。
「大変お待たせ致しました。セヴィル様のお部屋は3階の1号室です。どうぞ、ごゆっくり」
ごゆっくり、を何故そこまで執事が嬉げに言うのか謎だったがペコリと頭を下げるとクルクルと上に続く螺旋階段を上がっていった。回りながら登る階段は初めての体験だった。
2階まで着いた所で休憩した。なぜなら…
「……気持ち悪。酔っちゃった…」




