2/30
出発
30分後―
厩舎の前には全身を覆い隠す程の黒いマントに身を包んだシャナとルカがいた。
シャナは意気揚々としているのに対し、ルカは乗り気のない顔をしている。
「……ねぇ、ほんとに行くの?」
鹿毛色の馬に鞍を着けながらルカは聞いた。
黒馬に颯爽と跨りシャナは答える。
「い・く!」
言い出したら聞かない叔母の性格に諦めルカも馬に乗った。
「シャナ様…ルカ様…」
隣では心配な気持ちを隠せないココが半分泣きそうな顔で見ている。
「大丈夫よ、ココ。あなたは言った通り知らない振りをしてくれたらいいわ。誰に聞かれても『存じ上げません』の一言を貫くの。わかった?」
「……頑張りますけど、でもやはり、お嬢様達。ほんとに早く帰って来てくださいね!」
「勿論!ね、ルカ」
「早く…ねぇ」
訝しげな顔のルカにイラついたシャナはいきなりルカの乗った馬の尻を足で蹴り上げた。
驚いた馬は激しく嘶くと全速力で走りだした。
「シャナの馬鹿〜!!」
草原にはルカの叫びだけが轟いた。




