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ゴースト・ガード!~超人気配信グループを男装女子がお守りします~  作者: 天咲リンネ


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25/26

25:ライブ終了後

 ライブを終えたわたしたちはショッピングモールの従業員通路を歩き、控室に向かった。

 控室といっても、いまだけそうなっているだけで、本当は会議室なんだけどね。


「皆さん、お疲れ様でーすっ!! 最高のライブでしたよ!!」

 控室に入るなり、『staff』のパスを首から下げたルネちゃんが駆け寄ってきた。

 ルネちゃんはこれまでよく頑張ってくれたから、玲央先輩が特別に予備のパスをあげたんだ。


 ――オレらには和臣さんっていう立派なマネージャーがいるけど、ルネちゃんはサブマネージャーな。

 そんなことを言われて、ルネちゃんは大喜びしてた。


「……いや、最高とは言えないけどな」

 ライブの出来に満足していないらしく、玲央先輩は頭を掻いた。


「え?」

 戸惑っているルネちゃんを見て、玲央先輩は気を取り直したように手を下ろした。


「まあ、それは後でいいや。ルネちゃんのうちわ、ステージからちゃんと見えたぜ。応援してくれてありがとな」

「えへへ、どういたしまして。徹夜で作った甲斐がありました! これ、使ってください!」

「ああ、気がきくね。ありがとう」

 ルネちゃんが差し出したタオルを、玲央先輩は笑顔で受け取った。

 ライブ直後でみんな汗をかいてるけれど、玲央先輩は一番激しく動いてたから、汗びっしょりだ。


「はい。ルネちゃんが用意してくれた、冷たいタオルだよ~。気持ちいいでしょ~?」

 司先輩がふわふわした笑顔で、わたしの首筋にタオルをかけてくれた。


「ありがとうございます、司先輩」

 パイプ椅子に座って汗を拭いていると、白銀くんが近づいてきた。


「今日は本当にお疲れ様。おれたちのために頑張ってくれて、ありがとう」

 白銀くんは未開封のスポーツドリンクを差し出して、微笑んだ。


「……どういたしまして」

 思いがけない笑顔にドギマギしながら受け取って、スポーツドリンクを飲む。

 乾ききった喉に冷たいスポーツドリンクが染みわたって、生き返ったような気分。

 他のメンバーもそれぞれ椅子に座って、一息ついている。


「見てください、SEASONがトレンドの上位を独占してますよ。ほら、あげはも見て。キリヤがトレンド入りしてる!」

 玲央先輩にスマホを見せてから、ルネちゃんはわたしにも見せてくれた。

 スマホに表示されたSNSのトレンドは、SEASON関連のワードで埋め尽くされている。

『キリヤ』という単語もトレンド入りしていた。


「わあ、本当だ! すごい!」

「やったわね! おめでとう!」

「うんっ!」

 わたしがルネちゃんとハイタッチしている間に、司先輩が玲央先輩に聞いた。


「ねえ、玲央。さっきルネちゃんに『最高とは言えない』って言ってたけど、どういうこと? ラストのフォーメーションはバッチリ決まってたし、観客も大盛り上がりだったと思うんだけど~」

「ああ、それね。あげはちゃん」

 玲央先輩は司先輩から、わたしに視線を移した。


「前半は全然集中できてなかったよな? たまに変なアレンジ入れてたし」

「あ、それは――」

 事情を知らない玲央先輩が怒っているんだと思って、わたしは慌てて説明しようとしたけれど。


「いや、言わなくてもわかってるよ。また何か『いた』んだろ? 今度はどんな悪霊だったわけ?」

「え? どうして何か『いた』ってわかったんですか? 先輩は何も見えないのに」

 わたしは驚いた。


「そりゃ、あげはちゃんが意味もなく変なアレンジ入れたりするわけないじゃん。オレたちの足を引っ張らないように、必死で努力してたの知ってるし。ダンス練習のない日も自主練習してたんだろ」

 ルネちゃんを見ると、ルネちゃんは黙ってVサインした。どうやら、自主練習に付き合ってくれていたルネちゃんが玲央先輩に報告していたらしい。


「悪霊が出てきたわけではなくて、ファンの人たちから悪い念が飛んできていたんです。ステージを投げ出すわけにもいかないので、踊りながら祓ってました。白銀くんは気づいてたよね?」

「うん」

 目を向けると、白銀くんはうなずいた。


「踊ってて空気が異常に重いなと思った。空気が粘土みたいにまとわりついてくるっていうか……すごく嫌な感じがしたんだ。でも、立切さんが踊るたびに、だんだん軽くなっていった。サビが終わったあたりで、感じていた重さは全部消えた。あれって、立切さんが念を祓ってくれたからでしょう?」

「ううん、念を祓ったのはクロだよ。わたしも頑張ったんだけど、踊りながらだとさすがに難しくて。困ってたところを、クロが霊力の炎で焼き払ってくれたんだ。玲央先輩、わたしたちの話、信じてくれますか?」

 わたしは白銀くんと一緒に、玲央先輩を見つめた。


「まーたこの二人は、意味のわかんねーこと言ってんなあ――って、前のオレなら呆れてたところだけど。もちろん信じるよ。オレたちを守ってくれてありがとう。さすがはオレたちのゴースト・ガードだな」

「ふふ。任せてください」

 出会ったばかりの頃は幽霊もお祓いも信じてなかったのに……玲央先輩、本当に変わったんだな。

 それに、わたしの努力を認めてくれてたのも、嬉しい!


「立切さん。クロはいま、肩の上にいるの?」

 白銀くんがわたしの肩を見ながら言った。


「ううん、いないよ。多分、気を利かせて先に帰ったんだと思う」

「そう。そこにいるなら、お礼が言いたかったんだけど」

 残念そうな顔をしている白銀くんを見て、胸がほんのり温かくなった。


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