↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴースト・ガード!~超人気配信グループを男装女子がお守りします~  作者: 天咲リンネ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/26

15:ゴースト・ガード?

「わたしが祓ってやろうか?」

 唇を噛んだわたしを見て、クロが冷静に言った。

 実は、わたしよりもクロの方がずっと強いんだよね。

 だって、クロは神様の使いだもの。


「ううん、わたしが祓う! みんなを守るって約束したもの! お願いクロ、霊力ちょうだい!!」

 わたしは痛みを堪えて、クロに右の手のひらを向けた。


「仕方ないな」

 クロは右の前足を上げて、わたしの手のひらに重ねた。

 クロと合わせた手のひらから物凄い霊力が流れ込んできて、身体がカーッと熱くなる。

 わたしの身体から溢れた霊力が、ビリビリと辺りの空気を震わせる。

 霊感のある白銀くんの目には、わたしが発光しているように見えるかもしれない。


 ――よーし、これならいけるっ!!


「ありがとう、クロ!!」

 わたしは右手を強く握りしめ、走り出した。

 再び迫ってきた無数の黒い『手』を紙一重で避けながら、巨大悪霊に突進する。


「消えろおぉっ!!」

 叫んで飛びかかり、巨大悪霊の核に全身全霊で右拳を叩き込む!!


 ――ドォォォォォン!!

 凄まじい衝撃波がトンネル内を吹き抜け、巨大悪霊の『核』は粉々に砕け散った。


 ――ギィイイイイイイアアアアアアアアアアアア!!!


 断末魔の叫びが響き渡る。

 わたしの拳を中心に白い光が爆発し、トンネルいっぱいに広がった。

 巨大悪霊は光に飲み込まれ、浄化されていく。

 やがて光が収まる頃には、トンネル内に充満していた冷気や悪臭は、嘘みたいに綺麗さっぱり消え去っていた。

 そして、何事もなかったように、トンネル内の電気がついた。


「大丈夫だ。もう近くに悪霊はいない」

 明るくなっても油断せずに辺りを見回していると、クロが言った。


「そっか。クロがそう言うなら安心だね……」

 わたしは大きく息を吐いた。

 ――ああ、さすがに疲れた。

 攻撃をガードした腕はジンジンしてるし、背中は痛いし、もう体力も霊力も残ってないよ。できることなら倒れてしまいたい。

 でも、最後まできっちり守らなきゃ!


「みんな、無事!?」

 わたしは力の入らない足に鞭打って、みんなの元へ走った。


「うん。無事だよ、一応」

 玲央先輩が「一応」と言ったのは、春宮くんがいまだに気絶しているからだ。

 司先輩と白銀くんは、白銀くんの腕の中で眠る春宮くんを心配そうに見つめている。


「そういうあげはちゃんは大丈夫? 背中を強打したように見えたけど、平気なの?」

「ちょっと痛いですけど、大丈夫です。トンネルにいた悪霊も、なんとか祓えました。もう心配はいりません」

「良かった。あとは光成が目を覚ましてくれれば……」

 そう言いながら、玲央先輩が春宮くんを見た、まさにそのとき。


「ん……」

 小さな呻き声をあげて、春宮くんが身じろぎした。


「光成! 起きたか?」

 白銀くんが声をかけると、春宮くんは額を押さえながら身体を起こした。


「あれ……ぼく、気を失ってた? いまはどういう状況?」

「立切さんが悪霊を祓ってくれた。もう大丈夫だ」

「そっか。立切さん、ありがとう」

 春宮くんはまだ少し青い顔で微笑んだ。


「どういたしまして……」

 微笑む春宮くんを見た途端、張りつめていた糸が切れた。

 すとんとその場に座り込むと、みんなが慌てたような顔でわたしを見た。


「あげはちゃん!?」

「大丈夫!?」

「大丈夫です。安心したら力が抜けて……はは。皆さんが無事で、本当に良かった……」

 涙ぐみながら微笑むと、みんな、なんともいえない顔をした。

 心配そうな、戸惑ったような――すごく複雑な顔。


「……あげはちゃん。車まで送るから、乗って」

 玲央先輩がわたしに背を向けて、中腰の姿勢になった。


「えっ。いえ、大丈夫です。立てますから」

「つべこべ言わない。頑張ってくれたご褒美ってことで、乗ってよ。お礼がしたいんだ」

「……そういうことでしたら……はい」

 わたしは恐る恐る、玲央先輩の肩に腕をかけ、その背中に乗った。


「じゃあ行こうか。和臣さんも配信が切れて心配してるだろうし、今度こそ本当に撤収だ」

 玲央先輩はわたしを背負って立ち上がり、歩き出した。

 春宮くんたちは三人で会話しながら、わたしたちの後をついてきている。


「……あのさ、あげはちゃん」

 しばらくして、玲央先輩が小声で言った。


「その……これまで、幽霊なんていないとか、お祓いなんてピンとこないとか言って、ごめんな。あげはちゃんは立てなくなるくらい頑張ってくれたのにさ」

 わたしはいま背負われているから、玲央先輩の顔は見えない。

 でも、声の調子からして、気まずそうな顔をしてるんだろうな。


「謝らなくてもいいですよ。でも、これからは、あんまり危ないことはしないでくださいね」

「うん。いきなり吹っ飛んだあげはちゃんや、気絶した光成や怯え切ったみんなを見て、さすがにオレも反省した。もしまた心霊系のネタをやるとしても、学校の七不思議とか、そこまで危なくなさそうなやつにするよ」

「うーん。危なくないなら、いい……ですかねぇ……」

 護衛役としては、もう二度とやらないで、といいたいところだけど。

 配信者としては、動画の再生回数も大事だろうしなあ……。


「でも、今度はわたしが先に現地に行って調査します。危ないようなら行かせませんから」

「お。そういうってことは、頼まなくても付き合ってくれる気なんだ?」

 玲央先輩の声は、ちょっと嬉しそう。


「もちろんですよ。わたしの役目は悪霊や念から皆さんを守ることですから」

「見えない敵から守ってくれる護衛……か。さながら、あげはちゃんはオレらのゴースト・ガードだな」

「ゴースト・ガード?」

 聞き慣れない言葉に、わたしはキョトンとした。


「でも、それだと逆に『幽霊を守る』って感じがしません? ゴースト・バスターのほうが正しいと思うんですが」

「細かいことは気にすんな。かっこよければそれでいいんだよ」

 あっけらかんとした口調で言ってから、玲央先輩はわたしを背負い直し、再びトンネルの出口に向かって歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。