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ゴースト・ガード!~超人気配信グループを男装女子がお守りします~  作者: 天咲リンネ


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10/26

10:衝撃の事実

 お弁当を食べ終えて先輩たちと別れ、わたしたち一年グループは三人で廊下を歩いていた。


「立切さんって、意外と普通の人だったんだね」

 教室に戻る途中、春宮くんが唐突にそんなことを言った。


「え? どういう意味?」

 わたしは思わず足を止めて、春宮くんを見た。


「あ、失礼だったかな、ごめん。気にしないで」

「気になるよ。教えて」

 食い下がると、春宮くんは気まずそうに頬を掻いて言った。


「うーん。実はね。正直に言うと……立切さんはちょっと変わった人だと思ってたんだ」

「変わった人? どこが?」

「だって、いつも一人でブツブツしゃべってるでしょ?」

「え……?」

 わたしは固まってしまった。


 ――いや、一人でしゃべってたわけじゃなくて、クロとしゃべってたんだけど……。


 でも、みんなにクロは見えてないから、一人でブツブツしゃべってたように見えるんだ。


「みんなが言う通り、ちょっと危ない、関わっちゃいけない人なのかなあって思ってたんだよね。そんなことなかったのにね。ごめんね」

「!!」

 わたしがボッチだったのは、縁切り神社の娘だからとか、嫌われていたとかじゃなくて。

『一人でしゃべり続けている不気味な女子』だと思われていたから……!?

 凄まじいショックを受けて、わたしはへなへなと廊下に座り込んだ。


「立切さん!? 大丈夫!?」

 春宮くんは慌ててわたしのそばにしゃがんだ。


「だ、大丈夫……不気味な子だって思ってたのに、それでも優しくしてくれてありがとう。そうだ。春宮くんに渡したいものがあったんだ」

 わたしはどうにか立ち上がり、スカートのポケットから小さな包みを取り出した。


「これ、うちの神社の破魔鈴はますず。お父さんが特別に祈祷した鈴で、邪念や悪霊を跳ね除ける力があるの。霊障からも守ってくれるはずだよ」

「霊障?」

 春宮くんは包みを受け取って、首を傾げた。


「邪念や悪霊は負の感情の塊みたいなものだから。近づかれたり、取り憑かれたりすると、心や身体の不調を招くんだよ。そういう現象をまとめて『霊による障り』――つまり『霊障』って呼ぶの。春宮くんは特に取り憑かれやすい体質みたいだから、お守りに持っておいてほしい」

「うん、わかった。開けてもいい?」

「もちろん」

 春宮くんが包みを開けると、そこにはビー玉よりも少し大きいくらいの、銀色の鈴が一つ。

 鈴には赤い紐がついていて、キーホルダーにもできるんだ。

 春宮くんが鈴を振ると、チリンと、冷たく澄んだ音が廊下に響いた。


「……ありがとう、立切さん。大事にするね。これから肌身離さず持つことにするよ」

 春宮くんは繊細なガラス細工を扱うように、優しく鈴を握って微笑んだ。

 どうやら、すごく喜んでもらえたみたい。


「えへへ」

 春宮くんと和やかに微笑み合っていると、これまでずっと黙っていた白銀くんが口を開いた。


「立切さん。おれにもその鈴、もらえないかな。おれも霊感があるせいで、色々苦労してるから」

「わかった。お父さんに頼んでみるよ」

「ありがとう。よろしく」

 心なしか、白銀くんは嬉しそうだった。




「ねえ、クロ」

 自分の席に戻った後、わたしは大真面目な顔でクロに呼びかけた。

 クロはわたしの机の上にちょこんと座り、金色の瞳でわたしを見上げている。


「わかっている。もう学校についてくるなと言いたいのだろう?」

「うん。明日からは一人で登校したい。クロがいると、どうしてもしゃべっちゃうもん。そしてますます変な人だと思われる……!!」

 わたしは慄きながら、両手で顔を覆った。


「……そうだな。あげはももう中学生だ。あまり過保護なのも良くないだろうし、これからわたしは神社で過ごすことにする」

「ありがとう、クロ!」

「ただし、何か問題があればすぐに呼べよ」

「うん! クロ、大好き!!」

 わたしは両腕でクロを包み込んで頬擦りした。


「……見て。また立切さんが一人で何かやってる。こわ……」

「しっ。見ちゃダメ!」

 近くの女子グループが何か言ってるけど、聞こえないふりをした。 

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