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Frange ruinam   作者: S
未来編
79/84

第七十九話 取引

気がつくと、私達は冥界にいた。


「……あれ?」


周囲を見渡したが、モラとネブラの姿が見えない。まだ来ていないのだろうか。傍には、ペルデレが浮かんでいた。


「……そういえば、何で肉体再生が封じられていたのに、肩から上は再生しているの?」


「意想外な力とだけ教えただろ」


「でも今、私達が殺されないってことは、魔力が使えないってことでしょ?結構時間も経ってるのに」


「……」


「……もしかして、全魔力を肉体再生と意識の維持に使ってるとか?でも、それなら私達を先に殺した方が良いか。考えられるのは……あの時、本当は一度死んでいて、蘇生に莫大な魔力を使った。でも魔力が足りなくて、その“負債”を今も返し続けている、とか」


「どうだろうな」


その瞬間、周囲にモラとネブラの姿が現れた。


「わっ……ルイじゃなくてレナ、もう着いてたんだ」


「行くぞ」


私達は淡く光を放つ場所へと向かった。魂の群れの間を縫うように進み、やがて――光のすぐ近くまで辿り着く。そこには、異形の存在が立っていた。


「人間、悪魔……精霊か」


異形はそう言った。私は今、能力でルイーナの姿へと変わっている。それでも見抜かれている。


「えっと……ハデス様?」


モラは恐る恐るそう言った。


「逕溘″縺ヲ蟶ー繧後k縺ィ諤昴≧縺ェ」


異形は、理解できない言葉を発した。


「……断る」


そして、はっきりとそう言った。


「何がだ?」


ネブラがそう問いかけた。


「境界所有権の譲渡だ」


「えっ……」


モラが驚いた声を漏らす。


私達は何も話していないはずなのに、何故分かったのか。――そしてやはり、こいつがハデス。


「それはこちらとしても困るんだ。知らないかもしれないけど、人間界の国が一つ滅んで、6000万人が死んだんだよ」


「それが理由になるか?……まだ人間は存在するぞ」


「……交渉は無理か」


私は小さく呟いた。


「そういえば、私達がスパティアと戦った時、ハデス様いなかったよね」


モラが袖を引き、小さく言う。


「いたぞ。彼処からは非常に離れていたがな」


(……見ていたのか)


「見てたの?」


「世界の均衡が保たれる限り、干渉はしない」


「じゃあ、今の私達は危険因子ってこと?」


私は微笑み、ポケットから手鏡を取り出した。開き、その表面に指を触れる。


「さて――取引をしよう」


私はそう言い放った。

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