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Frange ruinam   作者: S
毀壊編
77/84

第七十七話 雨に打たれて

次回最終章です。

「ネブラ、モラ……」


「レナ!」


モラがそう言った瞬間、私に抱きついてきた。顔には涙が浮かんでいる。


「本当に良かった……生きてて!」


「……実はな」


「聞いたよ。死霊使いの女に」


「そうか」


ネブラは短く答えた。


「……二人共、聞いてほしいことがあって」


「もう長くは生きられない。そうでしょ?」


モラが静かに言った。


「……何で」


「その死霊使いに聞いたの。力の許容量とか。それにしても、死ぬって実感ないね。……そういえば、ここどこ?」


モラは周りを見渡しながらそう言った。


「隣国だよ。私達が元いた国は滅んだから」


「……えっ、どういうこと?」


「あの国にいた人間は、全員死んだんだよ」


「……そんな」


モラの目に涙が滲む。


「……大丈夫だよ、モラ。スパティアの仇は取ったし」


「何が大丈夫なの?だって、こんなの……私達のせいで死んだようなもんじゃん!」


「……そんなことないよ」


(モラも、あの死霊使いと同じようなことを言うんだな)


「……うっ」


モラは涙を拭った。


「……そんなに悲しまないでよ。どうせ、これから死ぬんだし」


「……何でレナは怖くないの?今の状況が」


「だって関係ないでしょ?私達は、死んだ人達と喋った事も関わった事もないんだよ」


「……レナは、もっと優しい人だと思ってた。人に寄り添えて、どんな時も支えてくれて……私の勘違いだったみたい。もう顔も見たくない!」


モラはそれだけ言うと、走って立ち去った。


「おい」


隣からネブラが声をかけてきた。


「何故、あんな言い方をした?」


「何が?ネブラはこっち側でしょ」


そう言うと、ネブラは眉をひそめた。


「……追いかけたらどうだ」


「別にいいかな」


「何故だ。お前、何があった?」


「……じゃあ、さよならネブラ」


私はそう言い、その場を立ち去った。しばらくすると、雨が降り出した。私はそのまま顔を濡らした。


「ごめん、二人共……私は、怖かったんだ」


私はきっと、考え方がズレている。だから、二人から離れるために、わざと嫌われるようなことを言った。二人に嫌われることが怖くて。


「……何が怖いの?」


声がして振り向くと、そこにモラが立っていた。


「何で……」


「レナが泣いてるのが見えたから」


私は涙を拭った。


「……嫌われたくなくて。それがどうしても怖くて……私はどうかしてるんだよ。モラの言う通りで、優しくなんかないんだよ!」


「それ、ちゃんと言ってよ……!」


「えっ?」


「言わなきゃ分からないよ。……それに、私は相手を否定したくない」


「違う。私がさっき言ったこと、少しは本音なの。私は……私は――」


「私は違いを拒まないよ。もちろん、譲れないこともあるけどね。亡くなった人達のことは、やっぱり考えちゃうし」


「モラ……また探させちゃったね」


「そうだよ。でも前よりは簡単だったけどね。ネブラが教えてくれたから」


モラが後ろを見ると、そこにはネブラが立っていた。


「お前ら、城に戻るぞ」


「はーい。レナ、行くよ!」


差し出された手を、私は取った。



「……」


夜、私は眠れずに目を覚ました。隣では、モラがぐっすりと眠っている。


「……お母さん……お父さん……」


モラは毎晩、寝言でそう呟いていた。


「……」


翌日、私は城を出ようとしていた。


「どこ行くの?レナ」


「……二人共、ついてきてほしい」


「何をするつもりだ?」


ネブラが私に問いかけた。


「破壊神を見つけに行く」


「……私達、もう倒したでしょ?」


モラが不思議そうに言う。


「さあ、どうだろうね」


私は小さく答えた。


「まあ、行くとしよう。生きていると困るからな」


ネブラはそう言った。


「えー……もう破壊神の名前聞くのも嫌なんだけど」


私達は、破壊神ペルデレを倒した場所へと向かった。

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