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Frange ruinam   作者: S
記憶編
53/84

第五十三話 足跡の先には

破壊神がルイーナの失踪に関わっているのなら――

その居場所に、ルイーナがいるかもしれない。


「えっと……確か、駝荊毀壊城跡だっけ」


モラは小さく呟いた。


「……どこなんだろ」


しばらく考え込む。


「図書館の本とかに、場所載ってるかな……。そういう本があるのは――あそこかな」


そう呟くと、モラは街外れの図書館へ向かった。



薄暗い館内を歩きながら、モラは神について書かれた本を探した。


「……これだ」


手に取ったのは、【神の伝承】と書かれた本だった。

そこには各地に伝わる神々の特徴や居場所、そして数々の逸話が記されている。


「あれ……二冊ある?」


同じ題名の本が、古い書架に並んでいた。違いは出版日だけだった。古い方には、より多くの神の記述が残されている。新しい方に載っていないのは――製造神、記憶神、創造神、時神などだ。


「……駝荊毀壊城跡、遠っ」


モラは思わず顔をしかめた。


「……行こう」


そう呟くと、モラは本を閉じ、駝荊毀壊城跡へ向かった。



「……迷った」


モラはぽつりと呟いた。


空は藍色に染まり、辺りは静寂に包まれている。

そのとき――遠くに、かすかな光が見えた。近づいてみると、それは淡く光る川だった。


「……綺麗」


思わず、声が漏れる。


「うわっ……!」


不意に足元がもつれ、何かに躓いた。視線を落とす。

地面に、何かが埋まっている。


「……何だろう」


恐る恐る土を掻き分けると――そこにあったのは、白骨化した手だった。


「……ひっ」


もしかして――この下に、死体が……?


「怖い……もう帰ろ……」


モラはそう呟くと、足早にその場を後にした。



モラが立ち去った後――川の淡い光が、ふっと消えた。水面が静かに揺れる。次の瞬間、水中から一人の女の精霊が姿を現した。


「女神様……貴方のことは、私が覚えていますよ」


精霊は、どこか寂しげに呟く。


「……待っていてください。私も、すぐに後を追います」


静かに目を閉じる。そして、自らの頭にそっと手を当てた。――その瞬間、水が鋭く形を変え、頭部を貫いた。


精霊の体が崩れ落ちる。赤い血が、ゆっくりと川に広がっていく。地に倒れたその顔は――どこか穏やかだった。

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