第33話 サボらないで攻撃しようね
第98層の地下はどうやらアンデッド系のモンスターの棲家らしい。普通のパーティーがここを通ることは可能なんだろうか?
現代において、基本的にアンデッド特攻の魔法を扱えるものは存在しない。古代文明時代にはたくさんいたらしいが、なぜかほぼいなくなってしまったのだ。そのため、普通のパーティーはアンデッド系の階層でとても苦戦する。何せ力でごり押すしかないからな。
しかし、このパーティーに限っては話が変わってくる。「勇者」であるユリウスがいるからだ。
改めてだが、この「勇者」とは、光属性魔法を扱える人間のことである。
そしてその光属性魔法とは、現存する唯一の浄化魔法である。
要はアンデッド特攻ってこと。やったね。
とはいえユリウス一人だと明らかに魔力不足でぶっ倒れるので、他のメンバーもちゃんと戦う。
それでも火力は異常に高いメンバーだらけなので、攻略できるはずだ。
まあ、一つ問題があるとするならば…………
「そろそろ外出て攻撃しようよ、ホノカ」
「アンデッドやだ。むり」
おそらくこの戦闘メンバーで最も火力の高いホノカが攻撃に参加していないこと。
そう、なんとアンデッドが苦手なのである。
「いやー、気持ちはわかるんだけどね? でもさ、乗り越えないといけないものがあるじゃん」
「全部れおがなんとかしてくれる。乗り越えないといけないものなんてない」
「…………」
こうなったらセンチネルの車内から攻撃できて勝手に攻撃する魔法でも……、いや、そんなものはないな。さて、どうしたものか。
……ん? ない? それだけ????
「ホノカ、今からちょっと魔法作ろっか?」
「なんで今から?? 帰ってからでもいいんじゃない?」
「いやー、このままホノカがサボってるのは流石にどうかと思うから。センチネルの中からでも攻撃できる魔法を作れば戦闘に参加できるでしょ?」
「たしかにー! やろっ!」
おや、センチネルに乗っている他の人がめっちゃこっち見てくるな。
「あの、どうかしましたか?」
「いや、あの、えっと、あの、魔法を今から、作るって、言いましたか?」
「?? そうですけど?? 何か問題でもあるでしょうか?」
「いや、えっと、アレオさん。普通はそもそも魔法を作らないんですよ。作れないんです。それをダンジョンの中で、思いっきり戦闘中に作るっていうのはどういう頭していらっしゃるんでしょうか」
「?? 魔法ないなら作ればいいだけじゃないですか」
「「「…………」」」
「魔法陣見えたらまずいので、仮眠スペース使いますね。入ってこないでください」
「あ、はい」
三十分後、自分で勝手に敵を攻撃してくれて、離れていても使える魔法が完成した。
ベースとなった魔法は【炎龍】と前の休みに作った魔法【炎鞭】《フレイムストライプ》。片方は最上級魔法なのだが、本気で改造したら三十分でできちゃった。てへっ。
というわけで早速使ってもらっている。
見た目は【炎龍】に似ている。頭部で敵を捕捉、体当たり、ブレス、体全体を使った締め付けのいずれかで攻撃する感じだ。
威力は【炎龍】とほぼ同等。魔力消費はより少なくしてある。
これはいいもんを作ったな。




