第2話 第96層
「いつも通り、完璧な仕事だ。感謝するよ」
「ありがとうございますギルド長。では、俺はこれで」
今回も何とか正確に記録できた。よかったよかった。とはいえ、他の記録がないから正確かどうかは僕にしかわからない。
もしも、記入に漏れがあったのならば……その事実は無かったことになる。完全に。ダンジョン内で起こった|真実とは、全てが、俺の書いた記録だ。俺がその気になってしまえば、完全に情報を操作できてしまうということになる。なんといっても、この記録用魔道具は俺にしか使えないようにできているのだ。他の誰も干渉をすることはできない。もしもできるとしても、神ぐらいだろう。
もちろん俺は記録を改竄する気はn
「ォ……レオ? 聞いてるの? ご飯だよ」
「っ、ごめんごめん。考え事してた」
「もうっ、冷めちゃうから早くして? やっぱりご飯なしにしよっか?」
「たべますたべます大変申し訳ございませんでしたどうかお慈悲を」
今日もホノカがうるさい。なんでフロアボス倒してきてこんなに元気なんだよ。黙ってれば可愛いのにな。
俺とこいつはパーティーハウス暮らしではない。近くの一軒家に住んでいる。この家はもともと僕が別の仕事をしていた時に稼いで買った家だ。パーティーハウスに近いのはたまたま。
今までもこのうるさいのがよく遊びにきていたのだが、僕がパーティーに入ってからというもの、この家に住むとか言い出した。認めてないはずなのだが、なんか住んでいる。
なにもなしだと本当に食費を増やしていくだけの居候になってしまうので、料理を作らせている。こんなんなのに料理だけは本当に美味しいのだ。解せぬ。神が実在するかは知らんが、不平等すぎないか? 明らかにおかしいだろ。許さんぞ。
「……いただきます」
「どう? 今日はレオの好きなハンバーグだよ? 意外と子供っぽいもの好きだよね」
「うるさい。黙ってれば可愛いのに…………美味しい」
「よかった。待って今可愛いっていったよね?ね?レンって私のことすk
マジで黙っててくれ。
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<探索記録 大迷宮・勇者パーティー DUT 342年10月24日>
DUT 342.10.24 8:39:12.14
敵モンスター(データベース登録なし,新種)三体を確認。
第96層第一回遭遇戦開始
シズネがユリウスに【剛力強化】、【俊敏強化】、【精密強化】、【鋭利上昇】を、
ホノカに【魔力増幅】、【集中強化】、【精密強化】を、タケルに【耐久強化】を付与。
ホノカ魔法構築開始。
DUT 342.10.24 8:39:18.01
タケルが敵攻撃を防御。
DUT 342.10.24 8:39:21.05
ホノカの【炎弾】により敵モンスター一体を撃破。
DUT 342.10.24 8:39:25.91
ユリウスが残り二体を斬りつけ。敵それぞれHP204,HP187に。
DUT 342.10.24 8:39:40.00
ホノカの【爆発】により残り二体を撃破。
第96層第一回遭遇戦終了
<第96層第一回遭遇戦>
時間:0:0:27.86
場所:第96層転移魔法陣より約100m
敵:新種のモンスター三体。
消費:
シズネのMPが143減少。ホノカのMPが52減少。タケル使用の盾の耐久値が3減少。
<敵モンスター情報>
データベース登録なし。新種。
移動形態;四足歩行
外見:虎に=*#おり、腹部に!%#+$*=)?”’れた紋章あり。
最大HP:800
ドロップ:なし
その他:
撃破後光の粒となって迷宮に吸い込まれていった。攻撃の分析が不可能。映像の撮影が不可能。これまでに確認されたモンスターでは見られない傾向であり、警戒が必要。
データベース登録完了(種番号135824番)
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「⬛︎さ⬛︎⬛︎⬛︎で⬛︎ると⬛︎⬛︎k⬛︎⬛︎⬛︎なら⬛︎⬛︎⬛︎る」
また、声が聞こえる? おかしいな、大迷宮の深層で、このパーティーしかいないはずなのに。…………気のせい……なのか?
この後、3kmほど進んだところで今日の攻略は終了。転移魔法陣から帰還した。
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「アレオ様、ギルド長が「姿を見せ次第、すぐにギルド長室に呼んでくれ」、と」
いつも通りにギルドに行ったところ、ギルド長に会えと言われた。おかしい、定期面会は昨日だった。…………なにか変なことをした記憶はない。ただ、いつも通りに攻略についていって記録しただけだ。記録も迷宮を出た際に自動で送信されていたはずだ。
不思議に思いながら扉を開ける。やけに空気が重々しい。本当になんだかわからない。
「アレオ、私は君に全幅の信頼をおいている。君の書いた記録はいつも非常に正確。百分の一秒まで記録する圧倒的な正確性だ。他のメンバーにも確認してもらうことがあるが、文句のつけどころがないそうだ。もちろん欠けなんてあったことがない。だからこそ、問う必要がある。一体これはどういうことだ?」
それは先ほど自動送信されたデータだった。
「新モンスターの情報に解読できない文字列がある。君の持つ魔道具が壊れたかと思ったが、送信されたデータが欠けていたわけではない。これが正しいデータなのだ。つまり、君が記録の際にこの文字列を入力したということ。なぜだ?ここにはなんて書いてあった?」
「……………………少なくとも、俺は正確な情報を入力したはずです。その部分には……あれ? ……………………申し訳ないですが、思い出せません。でも僕に隠蔽するメリットはないと思います。」
「……そうか。いや、そうだな…………思い出したら教えてくれ。」
「もちろんです。ご迷惑おかけして申し訳ありません」
こんなこと今までなかったのに。おかしいな。




