第一話 落下
第一話を読む前に、「プロローグ」をご覧いただくことをおすすめします。
※この作品には残酷な描写やシリアスな展開があります。
魔術、異世界、戦闘などの要素を含むため、苦手な方はご注意ください。
本作はプロローグから主人公の成長と、三つの世界を揺るがす事件を描いていきます。
どうぞ最後までお付き合いください。
「――――――ル
―――――――
――――――イル――――ゼイル!
早く起きないと入学式遅れるよ!」
「――ん?もう朝か…
お母さん今何時?
...ってヤッバ!
遅刻するじゃん!
早く準備しないと...」
「も〜、何でこんな日に限って
寝坊するのよ。
朝ごはんできてるから
早く食べて行ってきなさい。」
「ありがとう。お母さん。」
「あ、そう言えば
今日も花に水やるの?」
「うん。そのつもりだけど、
なんで?
いつもはそんなこと
聞かないじゃない。」
「いや、今日
入学式と軽くオリエンテーションが
あるだけだから。
すぐ帰れるんだよ。
そんで、
時間できるからたまには
水やりでも手伝おうかなって。」
「.......ゼイルも
“ たまには ” 良いこと言うのね。」
母は少し小馬鹿にしたような顔で笑う。
「“ たまには ”ってなんだよ...
“ たまには ”って...」
まったく…母には敵わないな。
母は趣味で花を育てている。
それはそれはもうー
綺麗に
―青々と―
咲いている。
きっと、不器用な僕がやったら
花を枯らしてしまうだろう。
....さすがにないか....
今日は魔術学校の入学式。
新たな環境についていけるのか。
不安がこみ上げる。
なにせあの学校は、
この世界での魔術教育の
最高機関とのことだ。
さぞ良い魔術を学べるのだろう。
だが、、
正直この学校に行くつもり
などなかった。
できないことを強制される―――
―――苦い過去は思い出したくない。
それにしても、
まさか初日からこんな失態を
かますとは...
「帰ったらお母さんに謝っとくか。」
母は今頃花に水をやっている頃だろうか?
「お、今日は快晴かぁ〜」
――その春の空は
皮肉なくらい晴れていた――
―カチッ―カチッ―
―カチッ―カチッ―
時間が刻一刻と迫っている。
...マズイ、死に物狂いで走った。
走って、―――
走って、―――
走って、―――
―――
(ふぅ〜到着!)
なんとかホームルームに間に合って
一安心。
僕の席は…
あった!
どうやら窓際の席らしい。
(やったー!)
自然をみるのが好きな僕にとって
これはラッキーだった。
何を思ったのか、
ふいに目を向ける。
これからの仲間となるであろう者たちに。
ん?
異変に気づく。
..魔力すげぇな
ただ一人というわけではない。
このクラスにいるほとんどから
その異変は感じられた。
それだけこのクラスは
レベルが高いということだろう。
それに比べて――
―アウェイか。
直接何かされたというわけではない。
ただ…仲間はずれにされた気分だ。
僕は昔からこうだった。
魔術が苦手で、
運動もろくにできないし....
はぁ、、、、せっかくの門出だってのに
昔のことを思い出してしまう。
このクラスでやっていけるかなぁ、、
――ガラガラガラ―――
―ドンッ――
「よし。
みんなそろってるな。」
突然入ってきた不審な男は、
そう言って教壇に向かっていく。
「今日からお前らの担任になる
“ ゼルフィア=ノア ” だ。
よろしく。」
この男はどうやら教師だったようだ。
体型は――まぁ普通
身長は――これもまぁまぁか
ただ、
服装――これは間違いなく普通ではない
まさかローブを着てくるとは....
普通の学校なら許されはずがないほどの服装――
魔術学校だから正装で突き通せる――
そんな服装
周りはどうだ?
......驚いた
みんな担任の服装に
一切の関心を示していないかのような、
絵に描いたような地蔵っぷり。
僕がおかしいのか?
僕が今まで通ってた学校では
少なくとも、
こんなファンタジーな格好じゃなかったぞ。
いや、僕が通ってた学校が
―「この世界」―
の常識とは違っていたのか?
「おい、そこのお前。
さっきから何か言いたげに
先生の顔見てるけど、
俺の顔になんか付いてるか?」
突然の質問に思わず
飛び上がりそうになる。
「え、僕?
いや、別に何も...
ていうかお前って...
僕にはちゃんと
“ ゼイル=レグナード ” っていう
お母さんがつけてくれた名前が
あるんですけど…」
「おう、そうか。
それは悪かったな。
じゃあ改めて、ゼイル。
俺に何か言いたいんじゃないのか?」
「いやまぁ〜
それはちょっと…
プライバシーに
関わるというか――」
――その刹那――
視界の横を―
“何か” が通り過ぎる―――
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