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転生したら劉禅だったので、諸葛亮に有給休暇を取らせます~MBAホルダーの阿斗、関羽の孤立・張飛のパワハラ・孔明の過労死を組織改革で止める~  作者: 東雲 諒杏
第四部 関羽を死なせるな

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第65話 呂蒙は本当に病気ですか


呂蒙は病気だった。


少なくとも、完全な嘘ではなかった。


長年の軍務。


過労。


持病。


身体状態は悪化している。


しかし、前線を離れなければならないほど重いか。


それは別問題だった。


呉から届く情報を集めた。


公式発表。


《呂蒙将軍、重病により建業へ帰還》


商人の話。


《呂蒙の屋敷へ医師が出入りしている》


共同監査員の報告。


《呂蒙本人は会合へ出席せず》


別の商人。


《夜間、呂蒙軍の船が増えている》


烽火台。


《呉側で兵糧輸送が増加》


登録所。


《白い布と商人用衣服の購入量が増えている》


最後の情報が不自然だった。


呉軍が、なぜ大量の商人服を必要とする。


視界の情報分析画面が開く。


【呂蒙病状分析】


身体的疾患

事実


前線離脱必要性


完全休養

虚偽


軍事指揮継続可能性


偽装目的

推定・関羽の警戒低下


白衣渡江準備度

41%


病気を利用している。


体調が悪いことは事実。


その事実を拡大し、作戦へ使っている。


関羽へ陸遜の書状が届いた。


樊城戦線からの返書。


《陸伯言は、礼を知る若者だ》


危険な反応である。


《呂蒙が退けば、呉の脅威は一時的に下がる》


下がっていない。


形が変わっただけだ。


関羽は荊州の守備兵を、さらに北へ送る案を出した。


現時点で残している兵力は、事前に定めた最低人数を上回っている。


追加移動をしても、規定上は違反ではない。


しかし、制度を作った時点では、白衣渡江の具体的な準備までは把握していなかった。


俺は緊急書状を書いた。


《呂蒙殿の病は事実です》


《しかし、軍務を完全に離れたとは確認できません》


《陸遜殿の書状は、叔父上の警戒を下げる目的がある可能性があります》


《守備兵を減らさないでください》


関羽から返事。


《陸遜を警戒せよという殿下の言葉は覚えている》


《しかし、警戒だけで好機を逃すこともできぬ》


正しい。


敵の罠かもしれない。


だから動かない。


それを繰り返せば、戦機を失う。


「守備兵を減らさず、前線兵力を増やす方法はありませんか」


俺が尋ねた。


馬良が考える。


「現地の義勇兵を使う」


反曹操勢力。


荊州北部の住民。


魏から離反した小部隊。


関羽へ呼応した者は多い。


ただし、訓練と指揮統制に問題がある。


趙雲が言った。


「正規兵を守備へ残し、義勇兵を補助任務へ用いるべきでしょう」


前線輸送。


負傷者搬送。


道の修理。


船の管理。


正規兵が戦闘へ集中できる。


蔣琬へ制度案を送り、短期間で名簿様式を作った。


義勇兵も登録する。


誰の指揮下か。


何日働くか。


食料をどこから受けるか。


武器を返す期限。


勝手な略奪は禁止。


「制度を作る間に戦が終わります」


龐統から抗議が来た。


「最低限でよいです」


「最低限を書き始めると、孔明殿が十項目増やします」


諸葛亮は反論した。


「必要な項目です」


「だから遅いのです」


費禕が五項目へまとめた。


最終的に三日で導入された。


関羽は守備兵を大きく減らさず、前線の補助力を増やした。


【陸遜謙譲策への対応】


関羽警戒値

19 → 47


荊州守備兵力

最低基準を維持


白衣渡江成功率

推定28% → 19%


代償


義勇兵管理負担

増加


前線指揮の複雑化

増加


また、良いことだけではない。


組織を増やせば、管理も増える。


関羽は、戦場で複雑な部隊を扱わなければならない。


その頃。


魏軍の増援が到着した。


徐晃。


字を公明。


関羽とは旧知の間柄である。


曹操軍の中でも、軍律と指揮に優れる将。


【徐晃 字・公明】


統率 95

武力 91

知略 87

軍律 100

包囲突破 98


固有特性


【私情と軍務を分ける】

親しい相手であっても、戦場では任務を優先する。


【長駆直入】

敵の防御線の弱点へ、連続的に圧力をかける。


徐晃は、関羽へ使者を送った。


《雲長殿とは旧知である》


《戦場で会うことは残念だ》


《しかし魏王の命により、樊城の包囲を解く》


関羽は返事をした。


《公明との旧交は忘れぬ》


《されど戦場では、互いに主へ忠義を尽くそう》


二人は分かり合っている。


だから戦う。


徐晃は正面から急がなかった。


関羽軍の陣を観察する。


義勇兵が増え、指揮系統が複雑になっていることを見抜く。


偽情報を流す。


複数方向へ攻撃の兆候を見せる。


関羽軍を動かす。


本当の攻撃地点を隠す。


魏軍は少しずつ包囲線へ近づいた。


前線からの報告。


食料はある。


兵もいる。


荊州の守備も残っている。


だが、関羽軍の疲労が上がっていた。


【関羽軍】


兵士疲労 平均78

関羽疲労 72

関平疲労 81

周倉疲労 86


撤退提案


関平 検討中

周倉 賛成

関羽 反対


関羽自身が書いた条件。


主要将三名が同じ危険を報告した場合。


まだ二名ではない。


関平は迷っている。


父から届く帰還命令も、まだない。


漢中では勝利が確定しつつある。


父は漢中王への推戴を受けようとしていた。


蜀全体が、二つの勝利に酔っていた。


その中で、俺だけが南の船を見ていた。


共同登録所から、異常報告が来る。


呉側の商船登録数。


減少。


一方、建業周辺で商人用の大型船が大量に徴発されている。


船が消えたのではない。


名義を変えようとしている。


俺は国境の烽火台へ、最高警戒を命じた。


毎日一回だった信号を、一日三回へ増やす。


主烽火台が応答しない場合。


予備烽火台が警報を上げる。


商船は、二つの登録所で確認する。


国境兵へ、呂蒙と陸遜の作戦可能性を具体的に伝える。


「商人を疑いすぎれば、交易が止まります」


馬良が心配する。


「止めません」


「では」


「確認します」


信用と確認は別。


何度使ったか分からない言葉である。


その夜。


呂蒙から、俺へ個人的な書状が届いた。


《殿下へ》


《私の病を疑っておられると聞きました》


《ひどい話です》


文章は軽い。


《医師からは、休めと言われております》


《殿下から孔明殿へ送られる命令と同じです》


《私は、きちんと休んでおります》


最後に。


《ただし、病人が国のことを考えてはならないという法はありません》


認めている。


軍事指揮を続けているとは書いていない。


否定もしていない。


俺は返書を書いた。


《子明殿へ》


《病人が国を考えることは止めません》


《商人の服を大量に買うことは止めたいです》


返事は来なかった。


代わりに、翌朝。


呉の商船団が長江を遡上しているとの報告が届いた。


白い衣を着た船員。


武器は見えない。


登録証も持っている。


だが、船員名簿の文字が。


以前の登録と微妙に違っていた。


白衣渡江が、始まった。


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