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俺を殺した宝箱に俺が転生してどうすんだよ! ~中に入れたものが全部強くなる収納チート~  作者: ぶらっくそーど
第六部 潮騒の岬編

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第99話「大賢者の遺産」


 出発前夜。


 俺は博士と、大賢者の遺産について話してる。


〝博士 大賢者の遺産って、具体的に何なんだ〟


『知の王が追加で見つけた情報を、本体から受信している。整理しよう』


 博士が講義モードに入った。


『大賢者は八百年前、七つの塔を建てて七人の魔王を封印した。その際に、七つの封印を統括管理する装置を作った。それが〝大賢者の遺産〟だ』


〝装置って、何ができるんだ〟


『封印の状態を監視し、必要に応じて封印を強化したり、解除したりする機能を持つ。大賢者が死んだ後も、自動で封印を維持するための安全装置だ』


〝安全装置か〟


『ただし——安全装置には、もう一つの機能がある。七つの封印が全て解けたとき、〝最後の封印〟を制御する機能だ』


〝それは……前に話していた、魔王の王の封印、か〟


『そうだ。大賢者の遺産を持つ者は、最後の封印を〝開ける〟か〝維持する〟かを選べる。マリウスがこれを手に入れたら——最後の封印を自分の意志で開けられる』


 ……それは、まずい。


〝魔王の王って、実在するのか〟


『知の王も確信は持っていない。だが——七つの塔の封印構造に、〝八番目の封印〟の痕跡がある。七つの塔とは別の、もう一つの封印。それが魔王の王のものだとすれば——実在する可能性は高い』


〝マリウスは知ってるんだろうな〟


『知っているからこそ、遺産を欲しがっている。遺産を手に入れて、最後の封印を開く。|魔王の王の力を手に入れて——王国を、いや大陸を支配する。それがマリウスの最終目的だろう』


 大陸支配。


 にこにこの宮廷魔導士の野望が——でかすぎる。


〝遺産を先に確保しないと、やばいな〟


『やばい。タカラが遺産を確保すれば、最後の封印の制御権はタカラにある。マリウスに渡せば——マリウスが全てを決める』


 パカッ。


〝やるしかないか〟



 ◇



 各地に連絡を送った。スミが手紙を書く。


 ナギへ:「第六の塔に向かう。マリウス派と時間の勝負になってる。砂漠の集落は引き続き任せる」


 メブキへ:「芽吹(めぶき)の里は順調に育ててくれ。焦土帯の回復が進めば、南方交易路がもっと使える」


 灰港の長老へ:「海路の安全は潮音(しおね)が守ってくれてる。潮見のミナトと連携を続けてくれ」


 潮音(しおね)へ:「海の守りを頼む。マリウス派が海から来たら、歌で追い払ってくれ」


 知の王へ(博士経由):「大賢者の遺産の追加情報、ありがとう。第六の塔を解放したら、また塔に寄る」


 ドルトンへ:「マリウスの動きを監視してほしい。王都の情報が入ったら、すぐに知らせてくれ」


 レイスへ:「王都に戻って、セルディスと連携してくれ。マリウスの部隊が第六の塔で何をしてるか、情報を集めてくれ」


 手紙が七通。スミが全部書いてくれた。


「ぷるん」(疲れた)


〝お疲れ ありがとう〟


「ぷるん」(どういたしまして)


 スミ、仕事が増えてきたな。秘書みたいだ。


 ガルドが手紙を確認した。


「七通か。タカラ、おまえの連絡網、広いな」


〝広くなったな〟


「最初は俺たちゴブリンだけだったのに」


〝今は、人間も、魚人族も、木の人も、海の王も、知の王も——みんな繋がってる〟


「繋がりすぎだ。管理職か?」


〝管理職って言うな。宝箱って言え〟



 ◇



 対策会議。


 集会所。俺、ガルド、レグナ、ガウル、リーリア、サガ、レイス。


〝マリウスの部隊が先行してる 追いつくには何が必要だ〟


 レイスが地図を広げた。


「パカラ村から天蓋(てんがい)渓谷(けいこく)まで、通常の道で十日。だが——」


 レイスが指で別のルートを示した。


「ベイルの街から東に出て、砂漠の北端をかすめるルートなら——七日で行ける」


〝三日短縮?〟


「砂漠の北端は、ナギの集落の勢力圏だ。砂蛇族に案内してもらえれば、安全に通れる」


 ナギの集落の勢力圏を使う。


「さらに——砂帝蠍(サンドエンペラー)に乗れれば、砂漠区間を一日で通過できる」


〝砂帝蠍に乗る!?〟


「十五メートルのサソリだ。背中に乗れば、地上最速の移動手段だ」


 ……サソリに乗って砂漠を走る宝箱。


 絵面がすごいけど、速さは確かだ。


「それなら、五日で到着できる。マリウスの部隊より先に着ける」


〝五日か いける〟


 ガルドが拳を握った。


「よし。砂帝蠍ライドだ」


「ガウ。サソリの上で風を受けるの、実は楽しかったぞ」


 ガウル、前の砂漠行きで経験済みか。


 レグナが言った。


「我もサソリに乗ったことはないが、この際、文句は言うまい」


 リーリアが手を挙げた。


「あの、サソリの上って安全ですか?」


〝しがみつけば〟


「しがみつくんですか……」


 サガが笑った。


「行ってこい。じじいは留守番じゃ」


〝チョンは〟


「もちろん行く!」


 チョンが集会所の入り口から飛び込んできた。聞いてたな。


「サソリに乗りたい! でかいサソリ!」


〝聞き耳立ててただろ〟


「立ててた!」


 正直だな。


 パカッ。



 ◇



 【次回】出発の朝。パカラ村を出て、ナギの砂漠へ。砂帝蠍(サンドエンペラー)に乗って、天蓋(てんがい)渓谷(けいこく)へ。第六部、完。

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