表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺を殺した宝箱に俺が転生してどうすんだよ! ~中に入れたものが全部強くなる収納チート~  作者: ぶらっくそーど
第六部 潮騒の岬編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
96/117

第96話「海の仲間たち」


 潮音(しおね)の封印を解いた翌日。


 俺たちは船の上で、潮音(しおね)と魚人族のリーダーと話をしてる。


 潮音(しおね)は海面から頭だけ出してる。銀色の髪が海水に広がってきれいだ。


「タカラ。これからのことを相談したいの」


〝聞く〟


「この海域の魔物たち——封印が解けて、本来の力を取り戻し始めてる。でも、八百年の間に海の生態系がだいぶ変わってしまった。海の民の数も減った」


 魚人族のリーダーが頷いた。


「八百年前は……魚人族だけで千はいた。今は……五十もいない」


 五十匹以下。


「だから——拠点が必要なの。海の民が集まれる場所。安全に暮らせる場所」


〝パカラ村や砂漠の集落みたいな、自治集落か〟


「そう。海の中の自治集落」


 海中の拠点。陸地の集落とは違って、海の中に作る。


「場所は、この岬の近くのサンゴ礁がいい。塔の周辺は魔力が豊富で、サンゴが育ちやすい。海の民が暮らすのに最適」


〝リーダーは〟


「私がやるわ」


 潮音(しおね)が言った。


「八百年前も、私が海の民の長だった。封印が解けた今、また長を務める。今度は——ちゃんと守る」


〝守る?〟


「八百年前は、守れなかった。大賢者に封印されて、海の民を置いて閉じ込められた。今度は——誰にも封じさせない」


 潮音(しおね)の目が——真剣だ。


〝マリウス派が来たら〟


「歌で追い払う。私の歌は、海の中では最強よ。水を操れる。海流を変えられる。この海域に入ってくる船は——私の歌で察知できる」


 海域全体の監視システム。潮音(しおね)の歌が、海のレーダーになる。


「それに——」


 潮音(しおね)がにこっと笑った。


「魚人族がいるから。あの子たちが海流を操ってカシスの船を追い払ったでしょう? あれが、海の民の力よ」


 魚人族のリーダーが胸を張った。


潮音(しおね)様が帰ってきた。我らは……もう、独りではない」


 ……いい関係だ。


 パカッ。


〝じゃあ決まりだ 潮音(しおね)がリーダーで、この海域に海の自治集落を作る〟


「名前は?」


 名前。


 海の集落。潮音(しおね)がリーダー。


潮音(しおね)の海 でどうだ〟


「え、私の名前がそのまま?」


芽吹(めぶき)の里もメブキの名前だ リーダーの名前が集落の名前になるのが、うちの流儀〟


「うちの流儀って……パカラ村はそうなの?」


〝パカラ村は……まあ、あれは別の由来だけど〟


「じゃあ流儀じゃないじゃない」


〝細かいこと気にするな〟


 潮音(しおね)がくすっと笑った。


「いいわ。潮音(しおね)の海。気に入った」



 ◇



 潮音(しおね)の海、設立。


 俺の勢力圏が——五方面になった。


 西にパカラ村。東に砂漠の集落。北に知の王の塔。南に芽吹(めぶき)の里。そして——海に潮音(しおね)の海。


 陸に四つ、海に一つ。大陸の全方位をカバーしてる。


「タカラ、おまえの勢力圏、国の領土みたいになってきたぞ」


 ガルドが苦笑した。


〝国じゃない 集落の連合だ〟


「連合って、それを普通〝国〟って呼ぶんだが」


〝呼ばない パカラ村を「国」とは呼ばない それはパカラ村の方針だ〟


「はいはい」



 ◇



 次に、潮騒(しおさい)(みさき)の近くにある街——潮見に寄った。


 バルトの船で港に入った。


 潮見の街は、灰港よりも大きい。人口三百くらいの漁師町。


 街の人たちが、海の変化に気づいてた。


「海が……穏やかになった」


「魚が増えてる。今朝の漁、大漁だった」


「何が起きたんだ?」


 俺たちが港に降りると——灰港と同じ反応。


 宝箱が歩いてる→驚く→蓋を開ける者(オープナー)だと気づく→大歓迎。


 潮見の街の長——若い女性。三十代。名前はミナト。漁師の娘で、父親から街の長を引き継いだばかり。


蓋を開ける者(オープナー)殿! 海が……海が歌い始めました!」


〝知ってる 海の王の封印を解いたから〟


「海の王の封印を!?」


 ミナトが目を見開いた。


「じいちゃんが言ってた……。〝海が歌わなくなった日から、この街は寂れた〟って。あれが……八百年前の封印のせいだったなんて」


〝封印が解けたから、海が元に戻り始めてる 魚も増えるし、海流も安定する〟


「本当ですか!? それは……この街にとって、大変な朗報です!」


 ミナトが深々と頭を下げた。


「何かお礼を——」


〝礼はいらない ただ、一つ頼みたいことがある〟


「何でしょう」


〝この海域に、海の民の自治集落ができた 潮音(しおね)の海って名前だ 潮見の街と、交易関係を結んでほしい〟


「海の民と交易?」


〝魚人族は貝や海藻や真珠を持ってる 潮見の街は穀物や道具を持ってる 八百年前にやってた交易を、復活させたい〟


 ミナトが——目を輝かせた。


「それは……ぜひ! じいちゃんの夢だった。海の民との交易を復活させるのが」


〝じゃあ決まりだ〟


 宝箱式握手。蓋でぽんとミナトの手を叩いた。


「あ、これが……噂の宝箱式握手」


〝噂になってるのか〟


「灰港の長老から手紙をもらいました。〝宝箱に蓋で手を叩かれたら、信頼の証だ〟って」


 ……灰港の長老、そんな話を広めてるのか。


 パカッ。



 ◇



 潮見の街でもう一つ、大事な情報を得た。


 ミナトが言った。


蓋を開ける者(オープナー)殿。マリウスの使者が、ここにも来ていました」


〝カシスか〟


「ええ。にこにこした若い男。〝海の管理権を宮廷が取る〟と言っていました」


 灰港と同じパターン。


「私は断りました。この街は漁師の街です。宮廷に管理されたくありません」


 ミナト、頼もしいな。


「それと——カシスが去り際に、奇妙なことを言っていました」


〝何を〟


「〝第六の塔に近づくのは危険だ。あそこには、大賢者の遺産がある〟と」


 大賢者の遺産。


 第六の塔に。


〝博士〟


『聞いた。大賢者の遺産——知の王の知識にも、断片的な記録がある。大賢者が最後に残した魔法装置の一つ。詳細は不明だが、七つの塔の封印を管理するための中核装置、という説がある』


 七つの塔の封印を管理する中核装置。


 それが第六の塔にある。


 マリウスが欲しがるはずだ。中核装置を手に入れれば、残りの封印を自在に操れるかもしれない。


〝カシスがわざわざ教えてくる理由は〟


『牽制だろう。〝知ってるぞ〟と見せることで、タカラの行動を警戒させる。あるいは——タカラを焦らせて、準備不足のまま第六の塔に向かわせる罠かもしれない』


 罠か警告か。


 どちらにせよ——第六の塔には行かないといけない。


 パカッ。


〝ミナト、情報ありがとう〟


「お役に立てたなら。蓋を開ける者(オープナー)殿、どうかお気をつけて」



 ◇



 潮見の街を出た。船に乗って、北へ。


 パカラ村に帰る。


 甲板でチョンが海を見てる。


「タカラ、海の旅、楽しかったね」


〝楽しかったか?〟


「うん。潮音(しおね)さんの歌、きれいだった。一緒に歌えて嬉しかった」


〝おまえの歌も良かったぞ〟


「えへへ。子守唄しか歌えないけど」


〝子守唄で魔王を救ったんだ 十分だろ〟


「そっか。そうだね」


 チョンが笑った。


 ガルドが横に来た。


「タカラ、帰ったらまた忙しいな。サインの嵐だ」


〝サインは蓋文字だから手は疲れないけどな〟


「管理職だな」


〝管理職って言うな〟


「事実だろ」


〝……否定できない〟


 パカッ。


 パカパカ。


 シロ(仮)が蓋の上で耳をぱたぱた。海風に揺れてる。


 海の旅が終わる。


 次は——第六の塔。


 大賢者の遺産。マリウスの最終目的。そして——|魔王の王の封印。


 残り二基。


 あと少しで——全部の蓋が開く。



 ◇



 【次回】パカラ村に帰還。レイスからの緊急報告。マリウスが——動いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ