表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺を殺した宝箱に俺が転生してどうすんだよ! ~中に入れたものが全部強くなる収納チート~  作者: ぶらっくそーど
第二部 太陽の下の宝箱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/65

第39話「パンドラボックス」


 熱い。


 箱が——箱全体が、燃えるように熱い。


 封じの間の白い床の上で、琥珀色の宝箱が光ってる。


「タカラ、また光ってる! これ……前のときと同じだぞ!」


 ガルドが叫んでる。


 同じ——じゃない。前より、ずっと強い。


 蓋裏がバチバチバチバチしてる。文字が高速で書き換わっていく。



 ──────────────────

   外殻変質 ── 進行中

   魔力経路 ── 全面再構築中

   収納空間 ── 大幅拡張中


   進化条件を判定中……


   ☑ 魔王級の魔力を吸収(浄化による還元)

   ☑ 封印術式の完全解放(実績認定)

   ☑ 封印動力源との完全同調(達成)


   全条件達成


   進化を実行します

   グレーターミミック → パンドラボックス

 ──────────────────



 パンドラボックス。


 また勝手に実行してる。するかどうか、本体に聞けよ。


 ——まあいい。


 来い!




 ◇




 箱が変わり始めた。


 琥珀色が——深くなっていく。黒が混ざる。


 黒と金のツートンカラー。


 箱のサイズが大きくなる。七十センチだったのが——机くらいに。


 表面に紋様が浮かんできた。塔の壁に刻まれてたのと同じ系統の、でもそれより複雑な格子模様。


 蓋が、二重になった。


 外蓋と内蓋。外蓋を開けるともう一枚ある。


 そして——箱の側面にも蓋が出現した。


 左右に一枚ずつ、背面にも一枚。


 全部で五枚の蓋。上面(二重)、左、右、背面。


 ……何に使うんだ、これ。


 光が収まった。


 前より大きくて、前より重厚で、前より——禍々しい。


 でも、きれいだ。


 パカッ。


 上面の外蓋を開けた。滑らか。


 パカッ。


 内蓋も開けた。二段パカパカ。新しい感覚。


 パカッ。パカッ。


 左の蓋。右の蓋。同時に開いた。


 パカパカパカパカパカッ!


 五枚全部同時にパカパカした。



「おい……何をしてるんだ」


 ガルドが呆れてる。


 パカパカを堪能してるんだよ。邪魔するな。


 蓋裏に——取説の全面更新が来た。全部の蓋の裏に、同じ文字が浮かんでる。



 ──────────────────

 〝進化〟──▶ グレーターミミック

         → パンドラボックス


   全ステータス ── 大幅上昇

   収納対象 ── 物体・生体・空間

   解封範囲 ── 接触 → 範囲

   移動速度 ── さらに上昇


   新規スキル取得:

   〝万蓋ばんがい

     複数の蓋を同時展開する

     全方位からの収納・射出が可能


   種族ランク:Sランク相当


   * パンドラボックスは

    あらゆるものを容れ、

    あらゆるものを解き放つ箱です。

    蓋の先に何があるかは、

    開けた者だけが知っています。

 ──────────────────




 おい、取説がポエムになったぞ。急にどうした?


 そして……Sランク相当。


 これでセルディスと同格。


 さらに〝万蓋〟は、五枚の蓋を同時に使える。全方位射出。全方位収納。


 そして——〝収納対象:空間〟。


 空間を、収納できる?


〝解封範囲:接触→範囲〟。


 触れなくても、解封できるのか?


 ……試してみたい。全部試してみたい。


 でもまず——ここを出よう。




 ◇




 塔を出た。


 正面扉から、全員で外に出た。


 太陽が眩しい。


 黒と金の宝箱が太陽の下に出ると——紋様がきらきら光った。


「タカラ……でかくなったな。あと、ちょっと怖くなった」


 ガルドが正直な感想を言ってくれた。


 怖いかな。


「黒いし、紋様が光ってるし、蓋が五枚もあるし。ダンジョンの奥にいたら、絶対開けたくないタイプの宝箱だ」


 ……俺、開けたくない宝箱なのか。


 チョンなら「かっこいい」って言ってくれるだろうな。早く帰りたい。


「タカラ、走ってみろよ」


 ガルドが言った。


 ズズズズズズズズズズッッッッ!!!!


 速い。


 前の超高速ズズズより、さらに速い。


 黒と金の宝箱が地面を高速で滑走してる。砂煙が舞い上がる。地面に轍ができてる。


 風を切る音がする……宝箱が、風を切ってるぞ!


 ガウルが全力で追いかけてきた。


「ガウ……! 速い! 前より、全然速い!」


 すげえ……並んだ。


 俺、ウォーウルフと並走してる。



「ガウッ!? 追いつかれた!? 宝箱に!?」



 ウォーウルフと同速。


 ズズズで。


 ああ……本当に笑える。パカパカは、本当に最高だ!




 ◇




 帰り道で、新スキルを試した。


 まず〝万蓋〟。


 道端の岩を標的にする。


 五枚の蓋を全部開けた。上面二枚、左、右、背面。


 全部から同時に——射出。


 パカンッ! パカンッ! パカンッ! パカンッ! パカンッ!


 白い光弾が五方向から同時に飛んだ。


 岩に——五発同時に着弾。


 ドドドドォォォンッッ!!


 岩が粉々に砕けた。粉だ。粉になった。


「…………」


 全員が黙った。


「おい」


 ガルドが言った。


「やりすぎだろ」


 やりすぎたか。


 でもこれ、戦闘で使ったら——四方八方から弾幕を張れる。


 囲まれても、全方位に撃てる。


 逆に、全方位から同時に収納もできる。飛んでくる攻撃を全方向から吸い込める。


 攻防一体。


 次——〝空間収納〟。


 道端の草むらに蓋を向けた。


〝入れ〟。


 ずぼっ。


 草むらが——消えた。


 草と、その下の土と、土の中の虫が、まるごと収納された。


 地面に四角い穴が開いてる。


「……何が、起きたんだ?」


 ガルドが穴を覗き込んでる。


 空間ごと切り取って収納したんだ。物体じゃなくて、空間を。


 出してみる。


 パカッ。


 ぼんっ。


 草むらが空中に出現して、ぼとっと落ちた。虫がわたわたしてる。


「…………」


 レイスが言った。


「それ、戦闘で使ったらどうなるんだ。敵の攻撃を、空間ごと飲み込めるのか」


 たぶん。


 巨大な魔法が飛んできても、空間ごと吸い込んでしまえば無効化できる。


「……反則だな」


 反則って言うな。スキルだ。


 最後——〝範囲解封〟。


 これは帰り道じゃ試せない。解封する対象がいないから。


 でも、感覚としてはわかる。前は触れないと使えなかった〝解封〟が、半径十メートルくらいの範囲に効くようになってる。


 つまり——触れなくても、近くにいるだけで封印を解ける。


 複数の魔物を同時に解封できる。


 ……これは、世界中の塔を回るときに使える。一匹ずつこつんこつんしなくていい。


 パカッ。


 いい進化だ。最高だ。




 ◇




 パカラ村に帰ってきた。


 黒と金の宝箱が丘の上に高速で滑り込んできた。


 村のみんなが——固まった。


「な、なんだあの宝箱……」

「でかい……」

「怖い……」

「でも、匂いはタカラだ」


 ガウルの仲間のウォーウルフが言った。


 チョンが走ってきた。


 見上げて——目をキラキラさせた。


「かっこいい!!!」


 だろ? だろ?


「紋様が光ってる! 蓋がいっぱいある! 黒くて、かっこいい!!」


 チョンだけは裏切らない。


 ガルドがみんなに説明した。


「タカラが進化した。パンドラボックスってやつだ。しかも……強さSランク相当」


 ざわっ。


「Sランク!?」

「あのセルディスと、同格ってことか!?」

「宝箱が!?」


 宝箱がSランクっていうのは、確かにわけわかんないよな。


 レグナが言った。


「……王の魂を浄化した報いだ。王の力の一部が、タカラの器に還元された。ふさわしい進化だ」


 ふさわしいかどうかはわからないけど——ありがたい。


 グラドルが丘の横から見下ろしてる。


「……おまえ、黒くなったな」


〝中身は同じだ〟


「ズズズもまだやるのか」


〝当たり前だ〟


「……変わらんな、おまえは」


 変わらないよ。宝箱だからな。




 ◇




 夜。


 焚き火を囲んでる。


 今日は——すごい一日だった。


 塔に入って、魔王の魂を浄化して、パンドラボックスに進化した。


 半年の期限のうち、一番大きな問題が解決した。


 でも——終わりじゃない。


 蓋裏を確認した。




 ──────────────────

   通知:第1の塔の封印が解除されました


   この地域の封印は完全に消滅しました

   封印されていた全ての魔物が

   本来の成長力を取り戻します


   * 残りの塔:6基

   * 各塔にも封印が残っています

   *各塔の封印対象に

    個別の魔王級魔力反応を検知

    第1の塔とは異なる魂の署名です

 ──────────────────




 個別の魔王級魔力反応……。


 第1の塔とは異なる魂の署名。


 ……待て。「異なる」ってことは——他の塔に封じられてるのは、さっき浄化した魔王じゃなくて、別の存在ってことか!?


 ……まさか、魔王って一人じゃなかったのか?


 聞きたいことが増えた。レグナに聞こう。あいつなら知ってるかもしれない。


 残りの塔が六基。


 この地域の封印は解けたけど、世界にはまだ六つの塔が残ってる。


 他の地域の魔物は、まだ封印されたまま。


 そして——他の塔にも魔王の魂がある可能性。


 全部の蓋を開けないと、本当の意味では終わらない。


 ……でも、それは今日の話じゃない。


 今日は——勝った日だ。


 リーリアが来た。


「タカラ、入るね。……わ、中が広くなってる」


 収納空間が拡大したからな。


「すごい。前より全然広い。お部屋みたい」


 アイがぷるるん(ひろーい)。


 パタン。


 中が——あたたかい。


 魔王の魂がいなくなって、残響もいなくなって。


 ただあたたかいだけの、俺の中。


 蓋裏で〝万蓋〟の文字が光ってる。


 Sランクの宝箱。パンドラボックス。


 パカパカは変わらない。ズズズも変わらない。


 でも——できることが増えた。守れるものが増えた。


 六つの塔。


 全部開けに行こう。いつか。


 でも今は——寝よう。


 パタン。


 おやすみ。



 ◇



 【次回】封印が完全に解けたことで、この地域に異変が起き始めた。ダンジョン周辺の魔物が次々に進化してる。パカラ村の外にも〝目覚めた〟者たちがいる。そして——セルディスから手紙が届いた。〝約束通り、パカラ村を正式に認める準備を始める。ただし——条件がある〟。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ