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14話 残響する影

ーーあれから数日後


「いやー由美子さんの入れるコーヒーは美味しいですね。」


「そう、悠真くんありがと」


「いえいえ、こんなに綺麗な人が助手なのに、

コイツときたら、資料と睨めっこしてよ。」


「別に良いだろう、それに由美子さんは助手なんだから、俺の邪魔にならないようにするのは当たり前だろう。」


「そ、そうね」


「それに引き換え、悠真…お前はずっとしゃべりやがって、鬱陶しいから帰ってくれないか。」


「久しぶりに再会した友人によくそんなこと言えるな。

俺は悲しいよ。」


ブー、ブーと悠真のスマホが鳴る。


「はい、もしもし……あ、マジですか?今行きます。」


少し顔色を変えた悠真が立ち上がった。

「すまん、修二、今日は俺帰るわ。」


「お、おう、気をつけて帰れよ。」


「悠真くん、気をつけてねぇ」


「はい、ではまた。

修二もまたなぁ」

悠真を見送り、彼が事務所を後にしたのを確認すると、


「はぁ、嵐のようなやつだな。」


「まあまあ、良いじゃない。

賑やかになって。」


「そんなことない。

仕事に集中出来ないし。」


「ふふ。

そんなこと言って、前より少し明るくなってるよ。修二くん。」


「そんなことないよ。」


ピンポーン!

雑談をしていると、チャイムが鳴り響いた。


「はい、どうぞ。」


「あのー心霊研究してる方の事務所は、こちらで合っていますでしょうか?」

そこには、中年の男性が立っていた。


「はい、そうですよ。

依頼ですか?」


「はい、相談したいことがありまして。」


「わかりました。

立ち話もなんですし、こちらにお座りください。」


俺と依頼人は席に腰掛け、話を聞くことにした。


「こちら、コーヒーです。」


「あ、どうも」


「由美子さん、ありがとうございます。

では、話を伺いましょう。」


「はい、私は和彦と言います。

その〜先月私が、管理している公園にある公衆トイレに住み着いていたホームレスが、殺害された事件がありまして。

それからというもの幽霊の目撃情報が後を絶たず、非常に困っていまして。」


「なるほど、調査となると費用をいただくことになりますが、構いませんね。」


「はい、原因がわかるなら。」


「わかりました、では本日の夜から調査しましょう。」


「本当ですか!?ありがとうございます。」


「では、結果の方はまた後日ご連絡します。」


「由美子さん、準備をお願いします。」


「修二くん、わかったよ。

準備しておくね。」


ーー当日の夜


「由美子さん、ここです。

適当な駐車場に停めて行きましょう。」


「わかった。

今日は近くで待ってればいいんだよね?」


「はい、今回は事件当時のまま放置されてるみたいなので、

慣れていない人には少々きつい現場だと思うので、近くで待っててください。」


「うん、わかった。

トイレの前にいるから、何かあったらすぐに出てきてね。」


「はい、ありがとうございます。

慣れているので、危なくなったらすぐに逃げますよ。」


トイレ前の立ち入り禁止テープをくぐり、事件現場に入った。

「まだ、個室ドアを開けていないのに、すごい匂いだ。」


ひどいアンモニア臭に混じって、若干の血生臭さがある。


そういえば、和彦さんも……


あのホームレスのせいで、管理人の私に「臭いが酷い」「ホームレスがいる」ってクレームが何件も届きまして、

言い方悪いですけど、あいつが死んでやっと、清掃依頼してクリーンな公園として、管理できると思ったのに、次は幽霊ですよ。

やってられないですよ……


そう思っても仕方のないくらい、

臭いが酷いな……


「はぁ、よし!開けるか…」


意を決して個室のドアを開ける。


「う、ヤバい、目に染みる」

あまりの悪臭に目をやられるが、

パッと見でも、個室の惨状は酷いものだった。


床には食料品やタバコのゴミが散乱し、トイレットペーパーの置き場には酒の空き缶などがある。

どんな殺され方をしたのか、あたりには血が散乱していた。


そして、便座の上で、うずくまったような体勢で"影"が座っていた。


臭いにも慣れてきたころ、影を観察していると、あることに気づく。


"影"は人の形を保っているが、まるで口元が切り裂かれたような、そんな状態だった。


「ひどいな…この惨状……」


すると、"影"が少し動き始めた。


しまった

無意識に言葉を発してしまった…


だが、脅威は感じない……

もう少し様子を見てみよう。


影は目の前で、暴れては止まり、暴れては止まりを繰り返していた。

まるで、死の瞬間を繰り返しているような……

そんな印象を、受けた。


時守は言っていた…

影に必要なのは、認知だと

だが、他にも条件があるんじゃないのか?

例えば、物や場所などが起因するとすれば、

この現象を治めるのには、清掃や一度潰してその場所をある意味リセットすることに意味があるんじゃないか?


だが、これ以上は調べることはできない…

今回は引き上げて、和彦さんに報告しよう。


俺はトイレを後にして、由美子の元へ戻った。


「由美子さん、お待たせしました。」


「うん、修二くん

う、ごめん、修二くんすごい臭いだよ。」


「あ、すみません、

わかってます、とりあえず僕は近くの銭湯とコインランドリーに寄って帰りますので、


念のため持ってきた替えの服をもらえますか?」


「うん、わかった。」


「ありがとうございます。

由美子さんは事務所に物を置いたら、帰って大丈夫ですよ。

また明日お願いします。」


「うん、じゃあ修二くんも気をつけてね。」


ーー翌日


「来ていただき、ありがとうございます。

和彦さん」


「いえ、私から頼んだことですので、

ところで、依頼の件はどうなりましたか?」


「結論から言いましょう

幽霊は居ました。けど、幽霊は場所にいつくと言われます。

ですので、あれは特殊清掃に依頼するか

トイレ自体を壊すか作り変えることを勧めます。」


「やっぱり、そんなんですね。

わかりました。そうします…」


「はい、その後に結果を報告していただけると嬉しいです。」


「はい、わかりました。

今回はありがとうございます。」


ーー家電量販店にて


本日、2人目の被害者が出てしまいました。


口を裂かれた死体が発見されたとの事ですが、巷では都市伝説!口裂け女の再来との見方が出ていますが、どう考えますか?


そうですねぇ、私としては口裂け女の模倣犯と考えています。

ですが、近隣住民の方は外出時には注意が必要ですね。


「ふーん、都市伝説ねぇ」

時守がテレビを見て、つぶやいた。

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