13話 再会
ーー数分後
「修二くん…」
探偵の時守さんと話してから、修二くんが落ち込んでいる。
けど、私には分からない。
きっと今の彼に聞いても教えてはくれないだろう。
「修二く、」
「由美子さん、すみません。
少し出てきます……」
「うん、わかった。
気をつけてね。」
心配する、由美子さんをよそに、
俺は事務所を後にした。
姉の病院に向かっていると、例の交差点を通りがかった。
事故のあった場所には、花瓶やお菓子が供えられていたが、お参りに来る人がいないのか、
花束は枯れて、あんなにあったお菓子も無くなっていた。
そして、例の"影"はあの時より、形は歪だが、安定している。
でも、薄くなってきている。
凄惨な出来事も時間と共に人の記憶から消えていくようで、どこか物悲しくなる……
交差点を後にし、姉さんのいる病室に着いた。
「やぁ、姉さん
久しぶり、最近来る頻度が減ってごめんな。
前は1週間に一度は来てたのにな。」
相変わらず姉さんからの返事はない。
姉さんに纏わりついている影も、依然そのままだ。
あの男、時守なら何か知っているだろうか……
もらった名刺が頭をよぎる。
「いや、ダメだ!
アイツに頼ったら、俺は……」
俺はきっと、犠牲を許容するだろう…
そしていつか、由美子さんや美羽ちゃんを…
「あ、ごめん姉さん、
何言ってるか分からないよな。
リンゴ剥くよ
リハビリで、少しだけ、
前みたいにはいかないけど、リンゴ剥けるようになったんだよ」
少し不恰好だが、切られたリンゴをベッドの隣に置いた。
ガラガラ…
「あ、修二来てたの」
「うん、母さん。
少し前にね。」
「ちょっと、リンゴなら私が切ったのに…」
「まぁ、いいリハビリにもなると思ってね。」
「ところで、修二
だいぶ動くようになったのね、その腕」
「あぁ、だいぶね」
「ねぇ修二、そろそろうちに顔見せてくれない?」
「母さん、今日は帰るよ
またお願い。」
俺は椅子から立ち上がり、部屋を後にした。
ーー帰りの道中
「母さんに今度、謝らないとな……」
「なぁ、お前もしかして修二か!?」
後ろからどこか聞き覚えのある声がした。
「どなたですか?」
「俺だよ俺!
悠真だよ!
覚えてるか?小学生の時よく遊んだだろう。」
「あぁ、悠真か
久しぶり、元気にしてたか?」
「おう、超元気。
どこに行くんだ?帰りか?」
「まぁそんなところだよ。」
「なぁ修二、久々にあったんだ。
少し話していかないか。」
悠真としばらく話していると、彼がふと思い出したように言った。
「お前の姉さんはまだ目が覚めないのか、
早く目が覚めるといいな。」
「うん、そうだな」
「ところで、修二。まだ時間あるか?」
「まぁ大丈夫だけど、どうした?」
「んーそうだなぁ、ゲームしようぜ!」
いつ以来だろう、
俺たちは小学生の頃に通っていたゲームセンターに向かった。
「剛拳6かぁ
もうそんなにシリーズ出てたのか。」
「修二は小学生以降やってないんだっけ?
なら、俺でも勝てるかもな」
「どうだろうね
あの時は3だったけど、俺にあまり勝ててなかっただろう。」
「それは言わないお約束だろ!」
「はは、ごめんごめん」
KO!!
「かぁ!全然勝てねぇ、
相変わらずゲーム強いな。」
「悠真は動きが単純なんだよ
もっとキャラの特性を把握しないと。」
「クソ〜
まぁでも今日はこれまでだな。
またやろうぜ!」
「あぁ、またな」
旧友に別れを告げ、事務所に戻ると由美子さんが待っていた。
「おかえり、修二くん
あれ、なにか良いことでもあった?」
「うん、小学生時代の友人に会ってね。
少し遊んだんだ。」
「そうなんだ、修二くん、友達いたんだね。」
キョトンとした顔で由美子が言う
「俺にだって、友達ぐらいいたよ。
まぁあったのは小学生ぶりだけどね。」
「そう、でもよかった。
修二くんが元気そうで、じゃあ私は帰るね。」
「あぁ、気をつけて」
由美子さんは事務所を後にした。
由美子さんは、俺を気遣って残ってくれてたんだろうな……
心配させて、申し訳ないことをしたな。
いつか、全てを話そう。
影のこと、姉のことを……




